【女大学宝箱】(24)かもじ屋

女の髪ゆふことは、天武天皇よりはじまれり。そのかみの女は、みなさげがみなるべし。天照大神、八坂瓊の五百箇乃御統をもつて、髻鬘及ひ腕をまろび給ふとあり。これそのせうこ也。
※ 「さげがみ」は、堕髻。参考:『広益俗説弁(さげがみ)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
※ 「八坂瓊」は、三種の神器のひとつ八坂瓊勾玉。
※ 「五百箇乃御統」は、多くの玉を緒に貫いたもの。八坂瓊之五百箇御統。
※ 「髪鬘」の読みが判別できないのですが、「みづなたき」「みいなだき」と読むようです。
※ 「腕」は、「たゞむき」「たふさ」「たぶさ」「かいな」とも読むようです。

末の世になりていろ/\の名ある。籠しま、かうがゐ、しまだ、ひやうご、むすびしまだ、玉川、とりあげしまだ、よしはらわげ、竹のふし、のるいなり。
※ 「わげ」は、髷。まげのこと。曲。
※ 「籠しま」以下、結髪の名前。楴枝(笄)、島田、兵庫、結び島田、玉川(玉川島田)、取上げ島田、吉原髷、竹の節。参考:『近世世相史』(国立国会図書館デジタルコレクション)

※ 「御長かもじ」は、かもじの一種、毛が多くて長いもの。
※ 「かもじ」は、髪を結うとき添える毛髪のこと。
かくあれども、たゞ何となく、しまだ、かうがゐ、をよしとす。いまやうのやすしは遊女の風にて、いともよろしからず。
※ 「いまやう」は、今様。当世風の意。

※ 「かみのおちかい」は、髪の落買。抜けた髪の毛を買い集めて、かもじを作る女性のこと。「おちやない」と呼ばれていたそうです。

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『百人女郎品定』
〔参考〕

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『近世女風俗考』

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『近世女風俗考』

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『衣服と流行』

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『衣服と流行』

出典:国立国会図書館デジタルコレクション『歴世女装考 : 4巻 冬』
島田髷
島田髷は永き歴史を有するを見るべし、されば島田は島田宿の遊女より起り、其後いろ/\の風あり、大島田、やつし島田、しめつけ島田、なげしまだ、文金島田など多かり、文金島田は上品にしこ大人しきものなれば、今も流行し、近年までわたゆひ、潮来形など行はれたり。
さて島田の流行形の起るは重に花柳社会にあり、その理由はいふまでもなく、芸妓等は大抵年増も妙齢も島田風に結ぶ習慣あればなり(芸妓等が丸髷を結ぶこと稀なり、止むを得ざる場合によりて丸髷を結びて客に連れあるくことあれど、お茶屋、待居などにて、芸妓の丸髷を厭ふの傾向あるをもて、其社会には丸髷盛ならず、故に其流行の新奇なるは、島田にありと知るべし)。
兵庫髷
元禄前より流行し始めしものにて、これも摂津国兵庫の遊女より起りたりといふ、今は此風に結ふもの稀なり、下等な風俗なり。
※ 参考:『歴世女装考 : 4巻 冬(かもじの事)』『大日本国語辞典 巻1(かもじ)』『大日本国語辞典 巻3(ながかもじ)』『近世文芸叢書 第10』『中朝事実』『ポケット中朝事実』『字類訓義 下』『日本書紀 巻第1』『増補雅言集覧 : 57巻 2』『大日本地誌大系 第3冊』『日本側面史 : 情的偉人を中心とせる』『家庭年中行事(垂髪)』『大日本国語辞典 巻3(ただむき)』『類聚名物考 第1冊』『日華新辞典(添髪)』『黒川真頼全集 第4歴史編 風俗編(日本古代女子風俗)』『和漢雅俗いろは辞典 増訂改版(かつら)』『衣服と流行(髷の沿革)(髪風)』『日本社会事彙 上』『日本社会事彙 下』『歴世女装考 : 4巻 炑(島田髷の始原)』『歴世女装考 : 4巻 冬(かうがいわげ)』『束髪案内(婦人結髪の沿革)』『和漢三才図会 卷三(楴枝)』(国立国会図書館デジタルコレクション)
筆者注 ● は解読できなかった文字を意味しています。新しく解読できた文字や誤字・誤読に気づいたときは適宜更新します。詳しくは「自己紹介/免責事項」をお読みください。📖
