白を愛する君へ
山根あきらさんの企画に参加させて頂きます。素敵なイラストも使わせて頂きありがとうございます。
soundwsさんの「Hand Over」という曲を聞きながらお読みください。
長女の一人暮らしを、家族みんなで引っ越し作業をして見送って来ました。
長女は四月生まれ。もうすぐ19歳です。
新居の様々なものを選ぶ時、長女は白を選びました。カーテン、ベッドカバー、テーブル、家具など。白の好きな子だったのです。
彼女は、自分の子供でしたが、「魂に年齢があるとしたら」あちらが年上かもしれません。いつでも穏やかで優しさを感じる子でした。
次女は「スキ・キライ」がはっきりしている子で「嫌なことは嫌」とはっきり言うタイプなのに比べ、長女が「嫌」と言ったことはあまり思い浮かびません。また「嫌いな人はいない」と自分で自覚しているようでした。
子育て中、子供をほとんど叱らずに済んだのは、彼女のおかげです。
長女が1歳半くらいの時のことです。
今となっては何が原因だったのか思い出せませんが、私は長女を叱っていました。すると、まだ言葉を話し始めて間もない彼女が真剣な目で私を見つめ、こう言いました。
「わたし・こまってる!」
その時、雷に打たれたかのような衝撃が走りました。言葉では説明できない何かが自分の中で起きたのだと思います。そこから私の子育ては、より意識的なものに変わりました。
全く叱らなかったわけではありません。でも、極力いつでも機嫌良く過ごすように心掛けました。
小さい時には、どこへ行くにも一緒だったあの頃、「今だけだから心に刻んでおこう」と思いながら過ごしていたはずです。
でも、いざ巣立つ時が来たら、「思ったよりも早く巣立ちの時がやってきた」ような感覚に捕らわれてしまいます。
引っ越しの前夜、次女が偶然にも見始めた「リトルマーメイド」の映画を、長女と私も途中から一緒に見ていました。
アースラーを倒した後の場面です。
アリエルは「人間の世界にまだ未練がある」と感じた父親であるトリトンは「自由にさせてあげたい。でもひとつだけ問題がある。アリエルがいなくなったら淋しい」と嘆きました。
それでも父親は娘のことを思い、魔法で足を授け、彼女はうれしそうに人間の世界へと旅立って行きました。
「リトルマーメイド」で「子供の巣立ちを淋しい」と感じる親の心情のシーンと、自分の状況がシンクロしました。
引っ越しの作業中、長女と次女がベッドやテーブルなど組み立て家具を手際良く組み立ててくれて、とてもスムーズでした。時間に余裕があったので、家電の配達が来るまでの時間に、長女と一緒に新居周りにあるお店に、食料品などを買い物に行きました。
これからお世話になるだろうお店を少し覗いてみたりしながら、「これから長女の街になる場所」を一緒に歩きながら「生活しやすい場所」だと実感しました。
家電の配達も終わったので、足りないものを買いにショッピングセンターに出掛けました。「本棚」が欲しいとのことで、売り場へ行きました。そこにあったのは「木目調の本棚」でした。
「どうする?」と聞くと、「嫌」とは言いません。でも、うれしそうではありません。
「白じゃないからやめとく?」と聞くと「うん」と頷いて、晴れやかな笑顔になりました。
そうなのです。彼女は「控え目に『白』を選択しながら生きてきた」のです。それは「絶対に『白』がいい!」「『白』じゃなきゃ嫌だ!」と言うよりもずっと、「柔軟かつ芯のある人生を生きてきた」のでしょう。
でもこれからは違います。これまでよりも、はっきりと彼女は自分の好きなものを選択して、自分の人生に『白』を増やしていくに違いありません。
今、彼女は「巣立つタイミング」が訪れているのです。
頭ではそれをしっかりと理解して、長女のアパートから帰る時、一回、ハグをして笑顔で別れました。
ところが帰りに寄ったサービスエリアで夕食を食べることになった時、突然に長女の不在を感じたのです。この前来た時は四人で寄った同じ場所でした。言いようのない寂しさは不意に襲って来ました。私は注文した長女の好物でもある「きつねうどん」を前にして涙が止まらなくなったのです。
夫は「どこかで必ず泣くと思ったよ」と言い、次女は「学校で先生に呼ばれて戻ってきた人みたい」と言い、哀しみを笑いに変えようとしているのがわかりました。
自宅に戻ると、引っ越し作業の疲れもあり、少し横になって休んでいました。すると、次女が私のところに来て、私の服のちょうど名札を貼るくらいの位置に何か貼って行きました。
見ると「心♥臓」と書いてありました。
「心がどこかへ行ってしまった」ように見えたのかもしれません。
こんなことでは次女が巣立つ時が思いやられます。明日からは平常運転で臨みたいと思います。

長女に対し「寂しい」を口に出すのは禁句にしておきます。長女も「希望と期待」の他に、寂しさを感じているかもしれません。
長女から「こんなふうに思っている」という言葉は聞けませんでしたが、soundwsさんの曲を聞いていたら「きっとこんなふうに思っている」んじゃないかなと思い、心にとても沁みました。
是非、soundwsさんの記事で「Hand Over」という曲に込められた思いをお読みください。とっても素敵な曲です。
翌日の追記
今日からは、新たな気持ちで日々を送りたいと思います。久しぶりにウォーキングして来ました。体力作りにも励みます♪

