私物語『ご褒美を買ったら夫に叱られた話』
足掛け2週間の看病に終わりが見えてきた金曜日。
この日は子供達の熱も下がり24時間以上経っていたことから試しに半日だけ登園することにしていた。昼食が終わったら帰るという流れ。
つまり、久しぶりに午前中の私はフリーだった。
子供達を送り届け、疎かにしていた部屋の片付けを少しして外へ出る。久しぶりにリサイクルショップに立ち寄ってみた。
以前、今の自分の生活に合ったバッグをPORTERで見つけた。ただ、お値段がお値段のため「そのうち臨時収入でも入ったら買いたいなー」くらいで半ば諦めていた。
そのバッグが、中古品とはいえとても綺麗な状態で販売しているではないか!お値段6500円。新品なら25000円する。
手に取って震えた。これ私が欲しかったサイズなんだよなぁ…収納力もあってかるくて丈夫で…
ただ、いくら半値以下だったとしても普段なら買うのに躊躇う値段(バッグに2000円以上かけることを激しく躊躇するタイプ)
どうしよう…物凄く後ろめたい気持ちになる。
でも、この値段でこの状態。明日買おうと思ってもない可能性だってある。実際このお店でそうゆうことが何度かあった。いいものはすぐに売れてしまうのだ。
2週間、私は頑張った。自分の休日も削って、職場にも何度も頭を下げて病院にも行ったし自分だって風邪ひいた。それでも家事も子供とのことも頑張った!
そうだ!私は頑張った!!!!!
だから、このバッグ買っていいはずだ!!!!!
自分を奮い立たせてレジへ向かう。

ちなみに愛用のiPad Pro10.5インチが楽々入る。
もう、これが壊れるまで新しいバッグは買う気がしない。
そのくらいの喜びである。
しかし、ここで一つ問題がある。
実は夫から母の日にバッグをプレゼントしてもらっている。
今ブームのCHAMS。ペンギンマークが可愛いなぁと一緒に買い物に行った時見ていたのを夫は忘れずにプレゼントしてくれたのだ。

機能的だし可愛いし、重宝間違いなしなのだ。
しかし、今私はPORTERを手に持っている。
夫は傷つくかもしれない。いや、傷つかないにしても絶対不機嫌にはなる。
嗚呼…でも部屋が一緒だし、買ったこどはいずれバレる。
そして、何より心配なのは私があのバッグを欲しかっていることを夫は知っているので、6月の私の誕生日に買ってきてしまいかねない。夫はプレゼントのセンスが驚く程無いためそうゆうことを細かく覚えている人間なのだ。
もう持ってるとその場で言う方がずっとダメージが大きい。
まずい。絶対まずい。
これは、どんな状況になっても説明しなくてはいけない。
それにしてもPORTERもCHAMSも可愛いし機能的。バッグ難民軽々卒業。
夫が帰宅し、上機嫌で話をしている。私としてはちょっとめんどくさいなと思うところはあったけれどタイミングを逃さないようにニコニコ相槌をうっていく。
不意に、そのタイミングが訪れた。一日のことを報告しながら夫にバッグを買ったことを報告した。
冷静になってみれば65万円のバッグを買ったならここまで悩むけれど、6500円だ。別に無職で専業主婦なわけでもないし追加でお金をくれと言っているわけでもないのに何故私はこんなに手に汗をかいているのだろう。
夫はフムフムと聞き、最後に一言
「働いているだろうけど、考えながら使ってくれよ」
と言った。
…何だそれ。
この一言が私の心にグサッと刺さる。
ロンギヌスの槍くらい鋭利ででっかいやつがグッサリだ。
子供の健康を守るのは親の義務である。
しかし、義務だからといって疲労しないわけではない。
夫は2週間仕事に行かずに子供達と24時間体制で育児をすることの壮絶さを知っているのだろうか。いや知らない。やらせたことないから。知らないけど言っているのだ。酷い。せめて労ってから言ってくれよ。そんなこと言わなくてもいいじゃないか。ブツブツ…
心の中で壮絶な悪口を言っている私の表情はもう『無』そのものだったようで、夫はいきなり
「そんな顔しないでくれよ!!いや、欲しかったんだからよかったじゃん!!」
と言い出す。
もう遅い。心のシャッターは閉店ガラガラだ。
適度に夫の弁解を聞いて私が言ったのは
「結婚ってさ、お金とか生活力とかそうゆうこと以前に“人を思いやる気持ち“が大事だよね。思いやりのない人間は結婚とかするべきじゃないと思う」
夫はポカーンとした顔で「わかるよ」と言った。
分かってない。絶対分かってない。
でも、伝わったことにしてこの空気をそこで打ち切ることにした。
夫に盛大なストレッチをかけながら!!
悶える夫を見ながら自分の笑顔が戻っていくのを実感する。
どんな買い物より夫にストレッチかける方が自分の精神衛生上効果的だった。
それを受け入れて悶える夫はどんな趣味してるんだろう…ちょっと心配。
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