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コカ・コーラのコスタコーヒー売却検討の背景


 この記事では、イギリスのコーヒーチェーン、コスタコーヒーについて説明します。最近になって親会社のコカ・コーラがコスタ事業を売却する方針だと報道され、大きな話題になっています。

出所)coca-cola.com/jp

コスタコーヒーの歴史

 コスタコーヒーは1971年にロンドンで創業し、現在はイギリス国内に2,000店舗以上、世界50カ国で3,000店舗以上を展開するグローバルブランドに成長しました。もともと創業者の兄弟が始めた小さなコーヒーショップでしたが、1990年代にホテル・レストランチェーンのウィットブレッド傘下に入ったことで急速に拡大しました。その後、株主からの圧力によりウィットブレッドはコスタを売却し、2018年にコカコーラが50億ドルで買収しました。
 しかしここにきて、コカコーラは投資に見合う成果が得られなかったとして、30億ドル以下での売却を検討しているとロイターなどが報じています。買収から7年足らずでの判断となり、期待外れの事業とみなされた形です。

軽食を取りたいときには、多くの人々がプレタ・マンジェをはじめとしたコーヒーショップを利用します。プレタ・マンジェの他にも、コスタ、カフェ・ネロ、スターバックスなどがあります。

コーヒーショップに見るイギリス経済の変化

競争激化と苦戦の理由

 なぜコスタコーヒーがうまくいっていないのか。その理由のひとつに、イギリス国内外での競争の激しさがあります。日本でのイメージでは少しお洒落で価格もやや高めに設定されている印象がありますが、イギリスではむしろ大衆的な存在です。スターバックスよりも価格が安く、店内もビジネスマンが静かに作業するというよりは、若者や建設作業員などでにぎやかな雰囲気が強くなっています。その分、店内がやや雑然として清潔感に欠けることもあり、私自身も積極的には利用していません。
 
コスタでなければならないという明確な理由が乏しく、他ブランドとの差別化が不十分だというのが現状です。イギリス国内には食事メニューに強みを持つプレタマンジェ、本格エスプレッソを売りにするカフェネロ、そして世界的に展開するスターバックスなど競合が多数存在します。その中でコスタが突出した魅力を打ち出せていないことが、苦戦の大きな要因と言えるでしょう。

海外展開の壁と中国市場の変化

 コスタは近年海外展開にも積極的でしたが、ここでも成果は限定的でした。私自身、シンガポールでコスタを利用したことがありますが、正直「わざわざコスタを選ぶ理由はない」と感じた経験があります。北米やヨーロッパではすでにカフェ市場が飽和しており、これから成長が期待できるのは従来お茶文化が中心だった国や、経済成長を遂げつつある地域に限られます。

 中国はかつて急成長を遂げた代表例です。1999年にスターバックスが進出して以降、市場は大きく広がり、さらに中国発のラッキンコーヒーも台頭しました。ラッキンは不正会計で一時的に失速しましたが、その後経営を立て直し、再び急成長を遂げています。2025年7月にはニューヨークにも初店舗をオープンし、米国市場への進出も始めました。

 こうした新興ブランドの攻勢もあり、スターバックスでさえ中国市場で苦戦しているとされます。今後大きな成長が見込まれる市場はインドやベトナムといった人口が多く経済発展が進む国々に限られますが、それでも競争環境は厳しく、欧米の既存チェーンにとって逆風が続く状況です。

日本市場での展開と課題

 コスタコーヒーは日本でも店舗を拡大しています。かつては銀座など限られた場所にしかありませんでしたが、現在は東京都内を中心に12店舗まで広がりました。運営は「双日ロイヤルカフェ」というフランチャイズ会社が担っており、総合商社の双日とロイヤルホールディングスの合弁によって設立されました。そのため、イギリス本社やコカ・コーラとは直接的な資本関係が異なります。

出所)https://www.srcafe.co.jp/

 したがって今回のコカ・コーラによる売却が日本の店舗に直ちに影響を与えることはないと考えられます。ただし、日本市場もすでにドトール、タリーズ、エクセルシオール、スターバックス、上島珈琲などがひしめき、飽和状態にあります。コーヒーという商品の特性上、高級路線を打ち出しても価格設定には限界があり、競合を超える差別化を実現するのは容易ではありません。立地確保も厳しく、参入は簡単ではないでしょう。一方で、コカ・コーラが展開するペットボトル事業は店舗とは別の運営体制で進められています。最近は新しい広告展開もあまり見られず、親会社が売却を検討している状況からも、積極的な投資は控えられているように感じます。

 私は甘いものが好きなため、上島珈琲店の「黒糖ミルクコーヒー」が特にお気に入りです。特に夏に飲むアイスの黒糖ミルクコーヒーが最高です。

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今後の展望と注目点

 コスタコーヒーが売却されれば、事業は新たなオーナーのもとで再編される可能性が高いでしょう。採算の悪い店舗を閉鎖し、事業規模を縮小しながら存続していくのではないかと見られます。食事メニューの拡充などによって差別化を図る道も考えられますが、イギリスの現状を見るとそこまでの革新は期待しにくいかもしれません。
 日本市場においても、今後の展開が注目されます。親会社の売却によって広告戦略やブランド展開が見直される可能性があり、ペットボトル事業や綾瀬はるかさんのCMがどうなるかも気になるところです。

欧米コーヒーチェーンの今後

 今回取り上げたコスタコーヒーは、かつて急成長を遂げたイギリス発のコーヒーチェーンですが、いまや競争の激しい市場で苦戦を強いられ、親会社コカ・コーラが売却を検討する状況にあります。日本ではまだ拡大途上にありますが、市場環境は厳しく、今後の方向性は不透明です。欧米のコーヒーチェーンが逆風の中でどう生き残りを図るのか、その一つの事例として引き続き注視していきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。


ご参考(コーヒー記事のまとめ)

■ スターバックスの店舗拡大計画について(2023/12/5)
■ コーヒーショップに見るイギリス経済の変化(2024/2/20)
■ ラッキンコーヒーのスターバックスとの差別化(2024/6/24)
■ プレタマンジェの戦略変更と英国コーヒー業界(2024/10/8)
■ 国際情勢とコーヒーと関税とカナディアーノの話(2025/5/2)

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