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機関投資家が金(Gold)を買わない理由


 金(Gold)に関する質問を多くいただいています。個人投資家の間では金(Gold)に注目している人が非常に多いと思います。
 一方で機関投資家が金(Gold)を買いまくっているという話はあまり聞かれません。株を含めて証券市場では機関投資家の動きが注目されていますが、金(Gold)に関しては中国やグローバルサウスの国が買いまくっているという話は聞かれるものの、機関投資家の話題はあまり出てきません。
 これはなぜでしょうか。

グローバルサウス諸国の影響
 グローバルサウスと呼ばれる国々、特に中国が外貨準備において金の保有を増やしていることも影響しています。

インドでの金(GOLD)関税引き下げの影響

機関投資家が金(Gold)投資に積極的ではない理由①

 まず、機関投資家が金(Gold)に対して積極的ではない理由の1つ目は、インカムゲインを生まないということが大きいと思います。
 皆様、福利効果というのは聞いたことがあると思います。毎年5%で運用すると14年後には2倍になっている、とよく言われるものです。このインカムゲインを再投資する効果は意外とバカにならないわけです。

金(Gold)の特性

 金(Gold)というのはただの物質です。価値のあるものですが、インカムゲインを生むことはありません。
 債券の場合はインカムゲイン、つまり利子があるというのは分かりやすいと思いますが、株についても配当があり、将来的に配当などで株主への還元があるから株価が上がるわけです。配当していない企業についても将来への期待で株価が上がる、これをファイナンスの世界ではキャッシュフローディスカウントモデルと言ったりしますが、こういう考え方が基礎としてあります。

実物資産の扱い

 配当のない実物資産に投資をするというのは、特に長期的に安定した運用を目指す機関投資家にとって、扱いが難しい資産といった位置付けになっています。金(Gold)を持って3年で価格が18%上がったとしても、利回り6%の債券を買った方がリターンは良くなりますよ、という話です。
 そのため、多くの長期目線の投資家は金(Gold)を買うよりも、利回りの高い債券や安定的に配当が期待できる株を買った方がいいと思っているところが多いです。

機関投資家が金(Gold)投資に積極的ではない理由②

 もう一つ、積極的ではない理由は、その市場規模です。
 金(Gold)というのはそもそも地球上に存在する量が限られていて、新たに生産される量も決して多くはありません。そのため、いきなりたくさん買いたいと思っても現実的に難しいというのがあります。

市場規模の小ささ

 例えば、私たちの年金を運用するGPIFは200兆円を超える資産を運用していますが、そのポートフォリオの5%を金(Gold)にしようと思った時に動かす金額は10兆円を超えます。この金額で金(Gold)を買いに行ったら、おそらく金(Gold)の価格が爆上がりしてしまうでしょう。
 多くの機関投資家にとって金(Gold)は市場規模が小さすぎるわけです。少し購入したところでポートフォリオに与える影響はほとんどない。それだったら債券や株でリターンを上げることに取り組んだ方がいい、そう考えているところも多いでしょう。

機関投資家の役割

 機関投資家の中でも特に規模の大きな機関投資家は、非常に大きなお金を動かす中で、単純に投資で利益を上げていくことだけではなく、市場の中で果たすべき役割を考えている場合も多いです。大きな金額を動かしている機関投資家は、あまりに大きな市場シェアを持っていて、何かあった時に売ることができない、自分たちの売りを誰も受け止めることはできない、ということを分かって投資をしている場合もあります。

金(Gold)への投資の未来

 金(Gold)はただの物質なので、そこに投資に値する未来が見えていないというのはあるかもしれません。未来を作っていくことに投資をしていく、そういう観点で考えると金(Gold)は投資の対象になりづらいという面もあるでしょう。

実務的な制約

 もう少し実務的なところで言うと、機関投資家は色々なタイプがいます。年金基金とか保険会社、銀行とか、大きな機関投資家の場合、社内の規定で金(Gold)などの実物資産へは投資しない方針にしていたり、一定の制限を設けているところも多いです。
 これは、金(Gold)だけに限った話ではなく、他の素材だったり絵画だったり、こういうものには投資しませんということにしている機関投資家が多いです。売りたい時に売れないものが多くあるため、実物資産への投資には制限を設けているところが多いというのが実情です。

個人投資家と機関投資家の違い

 個人投資家も同じようにすべきだということではありません。機関投資家は機関投資家、個人投資家は個人投資家です。上記のような制限も個人投資家にはありません。機関投資家のことは気にせず、個人投資家は自身の考え方でポートフォリオを作ればいいと私は考えています。

機関投資家の制約

 私は機関投資家として最大で兆円単位のポートフォリオを担当したこともありますし、個人で自分の資産を運用した経験もありますが、図体の大きい機関投資家は、ある銘柄を買おうと思っても銘柄によっては1日で買えないとか、売る時のことを考えるとあまり買えないとか、様々な制限があり動けないことも多いです。

機関投資家の仕事

 機関投資家はマーケットを裏で動かしているとか、仕掛けているとか色々言われがちですが、そのようなことをしても実際にリターンには繋がらないため、できるだけ市場にインパクトを与えないようにしながら、たくさんの制約の中で工夫をしているというのが機関投資家の仕事です。

総括

  機関投資家が金(Gold)の保有に消極的な理由から、機関投資家の資産運用について解説しました。機関投資家の話は今後も記事にしたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。


ご参考

機関投資家の「騙し」は、機関投資家をよく分かっていない人たちが、よく分からない動きが起こった時に機関投資家がやっているのではないかと説明し、それが都市伝説のように広がったものだと思っています。

機関投資家の「騙し」について

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