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音楽朗読劇「仮面の男」~アレクサンドル・デュマ・ペール「ダルタニャン物語」より~2025年3月9日18時回公演分レポ

冒険活劇の金字塔である「三銃士」で有名な「ダルタニャン物語」
その中の「仮面の男」に絞って朗読劇化された本作を観てきました

個人的にMAパブリッシングさん主催の作品としては若きウェルテルの悩み・少年探偵団-化人幻戯-に続く三作目

17世紀フランスの王宮が舞台とこれまで自分が観た作品の中でもスケールの大きい作品で、
どのように朗読劇として調理するのか気になったのが第一印象

そんな本作の千穐楽である9日(日)夜の部の感想を書いていきます


博品館劇場

・銀座の一角に居を構える、日本最大の玩具店である博品館の8階に位置する劇場
・1978年創業なのでそろそろ50年
・エントランスがザ・劇場って感じ、床が赤いカーペットで荘厳
・席は381席なのでキャパはそこそこ
・縦長型の劇場
・今回席が前方寄りだったので傾斜とかの感じがどんなもんかはわからないが、
舞台の高さはしっかりだったので後方でも見やすそう
・今回はマイクを置いてる場所に立ち台?があってなおさら見やすかった

MAパブリッシング

・全然どうでもいい個人的な話なんだけど朗読劇こぞって行くようになったきっかけが去年5月のウェルテルだったので印象深い
・作品の内容が非常にイヤ〜な刺さり方したのもある
・その時も今回いらっしゃる幸村さん広瀬さんが登壇されていた
・昔の何かと重たい名作を朗読劇化している公演によく当たるイメージ
・若きウェルテルの悩み、明智小五郎、そして今回のダルタニャン物語
・演出は派手さよりも観客の想像で補わせる朗読という媒体(?)の強みを活かした方向性が多い(気がする)
・なのでシーンを思い出そうとすると台本を持って台詞を読み上げている風景ではなく、
演者さんが実際にそのシーンを演じていたような風に錯覚してしまうほどに臨場感がある
・画の代わりに音でこういう風に表現するんだ〜って発想に感心してしまう

ダルタニャン物語

アレクサンドル・デュマが書いた「ダルタニャン物語」は三部構成
三銃士
二十年後
ブラジロンヌ子爵
・今回の「仮面の男」は第三部「ブロジロンヌ子爵」の終盤のエピソードから抜粋されており、
そのため昔を振り返る論調の台詞が多いと思われる
・ただまとめ方が上手いのか
4人は昔からの仲間で数々の功績を建てた
今はそれぞれ異なる立場にいる
位の認識が序盤で理解出来るので初見でもストーリーに追いついていける
・というか世間一般に言われる三銃士の元ネタがこの作品なの見始めてからのようやく気づいた
・17世紀舞台でかつフランス語圏だからかやや登場人物の名前が馴染み薄めな気がした
・「アトス」「アラミス」が最初(というか中盤くらいまで)ア〇〇スって被っているのでこんがらがった
・というかこれ書いてる今もだいぶこんがらがってる
・反面ポルトスという名前とキャラのポルトス感、親和性がやけに良い
・タイトルの通りダルタニアンが主人公ずっと語り部のアラミスが主人公だと思ってた、タイトルを見ろ

仮面の男

重税に次ぐ重税で苛烈な貧富の格差が広がるルイ14世統治下のフランス
かつて銃士隊として国のために戦った4人は引退し、それぞれ別の人生を歩んでいた
そんな中バスティーユ牢獄と王に纏わる重大な秘密を知ったアラミスは
かつての仲間を招集しある計画を持ちかける――

って感じ

・実はこれ、原作ではなく映画「仮面の男(1998年)」がベースになっているっぽい
・原作の方は三部作の最終章だけあり四銃士をはじめとした主要人物の死や時代の移り変わりなどが描かれた締めくくりの話なのだが、
映画は引退した英雄達が再度フランス王国のために奮起する物語となっている
・今作はその映画版からもアレンジが加えられている
・具体的には登場人物の削減・顛末の変更のほかに「ルイ/フィリップの父親の変更」、
ルイとフィリップの兄と弟の順序が変更」など
・朗読劇として分かりやすくするための変更のほかに
「フィリップ、ひいてはそれに協力する四銃士の行動に正当性を持たせる」アレンジが加えられている
・ちなみに映画だとルイ/フィリップを演じているのはあのレオナルド・ディカプリオ、すげえ

配給の関係なのかサブスクの配信がやたら少なく、見る難易度が地味に高い
いつか見てみたい

ルイ14世

・この作品を語る上で外せない存在
・「フランス絶対王政の最盛期を作り上げた
現在のフランスの領土を作った
として名君と見る声もある一方、
フランスの財政を圧迫した
宗教的不寛容・産業衰退
など暴君とも評されるなど評価が一定しない
・この辺りは王権・権力を忌避するフランス革命期のネガキャンと、フランスが国際的競争力で弱い時期に強いフランスを求む声で立場が真逆になるのも一因らしい
・その辺りの評価の別れ具合が「途中で入れ替わって別人になっててもおかしくないよね」という遊び心に繋げられる隙にもなっている
・「本当は父親がルイ13世じゃない説」や
「本当は兄弟がいるが身分を隠されて生きている説」など
出生に纏わる眉唾物の噂話が多く都市伝説の題材にされやすかったり
・実は先代ルイ13世の時期から三十年戦争への介入で財政は既に困窮気味だったらしく、
その戦争の途中でわずか4歳で王位を継ぐことになったり、
その後戦争の負担によって国内で反乱(フロンドの乱)が起きて一時パリから避難を余儀なくされたりと彼も彼で幼少期から苦労人ではありそう
・宰相を置かず直接王自ら統治する親政を開始(当時23歳)し、貴族の権威を弱めた
・年齢設定的にはこのくらいが本作の時期っぽくはある
ヴェルサイユ宮殿の建設はフロンドの乱でパリという街や住民にトラウマ・不信感があったからという説もあったらしい、
本作のルイもあんなに固執したのは豪勢趣味以外にもこういう側面があったり?
・その後は対外戦争を繰り返し領土の拡大に務め、
ギネスに「中世以後国家元首として最長の在位期間を持つ人物
と認定されるほど長い間フランスに強い影響力を持った
・実際今にまで伝わるフランスの基盤の多くを作った功績もありつつ、
晩年の戦争による重税やヴェルサイユ宮殿に政治を集中した結果パリ市民と生まれた隔絶が2代後のルイ16世の治世におけるフランス革命の遠因になったり功罪混じる人ではある
・本作のフィリップに照らし合わせるなら「フランスという国のため」という行動原理は一貫していたと言えるだろうか

バスティーユ牢獄

・そんなルイ14世の統治化に王政を批判した者を収容にするようになったのがバスティーユ牢獄
・元は対イギリスの要塞だった物が牢獄として転用され、
ルイ13世の宰相リシュリューが王の逮捕状で収容できるように整備した経緯がある
・フィクションで描かれるように極悪非道の監獄……ということもなく愛用の家具を持ち込み可」・「専属のシェフや使用人を雇うの可」・「服装自由・オーダーも可」・「図書室・遊戯室・医療体制完備」ともはやちょっとした宿泊施設である
・食事に関しても比較的豪勢な上、嫌いなものがあれば交換することが出来たなんだそら
・環境が良いため出所期限が来ても出ない囚人がいたり、債務者が債務逃れで自ら入所したりすることもあったそうなんだそら
・そんな内情とは裏腹に当時の市民からは絶対王政の象徴と見られていたこともあり、
後年不満の矛先としてバスティーユ襲撃が起こりフランス革命の引き金となる
・しかしそんな意外と快適そうなバスティーユにも厳重に収監されていた囚人がおり……

鉄仮面

・17世紀後半にバスティーユ牢獄に収監されていたという囚人
・監獄長自ら世話をするなど丁重に扱われたが、
人と対面する時は必ず仮面をつけていたという謎の人物
・「殿下」と呼ばれていたらしく王族ではないかという推測もあった
・牢獄も特殊仕様で厚い壁特別製の扉
・創作等で鉄仮面のイメージがついてしまったが実際は黒ビロードの仮面だったらしい
・丁重に扱われる一方「その仮面を人前で外そうとしたり、自分の素性を明かそうとした場合には射殺する」命令が
監獄長に与えられるなど情報統制には細心の注意が払われていた
・徹底ぶりは鉄仮面の死後も続いており、使っていた家具等は全て燃やされ、壁と床は全て剥がされた
・この謎だらけの男は当時の市民から後年の創作者までの興味を惹きつけ、
様々な人物の名前が正体として挙がったが「ルイ14世が排除したいが、殺すことは出来ない高貴な存在」というのが大まかな共通認識に
・その中で「ルイ14世の双生児にスポットを当てたのが原作映画版、そして今作である

演出

・入場するとまず目に入るのは壇上にさらに台が置いている点
・一律同じ高さではなく真ん中が一番低く、両端が高かった気がする
・アラミス役のところには椅子が置いてある、語り部として出番多いからかと思ったけど公演によっては置いてない日もあるっぽい?
・サスペンションライトが3つだけ「」「」「」で点灯している、
視覚的にもこれからフランスの物語が始まることを感じさせられる演出
・開演すると舞台最奥に登場人物5人の名前と剣が描かれた(ホリゾント幕と言うらしい)がせり上がってくる
・名前がこんがらがりやすい(個人的に)ので誰がどのキャラを演じているか分かるほか、
その該当キャラが喋っている間名前の部分が照らされるのが分かりやすかった
・逆を言うとライトが点いていなければモブ役なんだな、とか分かる
・シーンがフランスの街、王宮、隠れ家、牢獄など目まぐるしく変わり、
その分演者さんのモブキャラ兼役も多いため物語の把握に助かる演出だった
・これまでの凶器がピンポイントで印象的に出てきたウェルテルや化人幻戯に比べると
剣や銃がより身近な時代のため派手なシーンや立ち回りが多く
演者さんの演技も相まって今まで見た朗読劇の中でも迫力は随一だった
・剣戟や激情、演説など近世フランス王国舞台の冒険活劇だからこそ出せる迫力のシーンが多い

・表題にもある通り今作は音楽朗読劇なのだが恐らくその要素が一番色濃く出ているのがババ抜き
・というか見たフォロワーに聞いてみてもここ以外無くね?という結論に
・ババ抜き一人で音楽朗読劇要素背負いすぎている
・ここ一連のシーンだけ他のシーンと比べてギャグ要素が飛び抜けて多い
・主にポルトス役とベーズモー役の人の遊びっぷりが光るシーンである
・音楽に詳しいとあそこの選曲の理由も分かったりするのだろうか
・ちなみにババ抜きの元になったイギリスのオールドメイドはクイーンを1枚抜き、
最後に余ったクイーンを持っている人が負け(ジョーカーをババと呼ぶのはこれが語源)というゲーム
・この作品でバカラでもポーカーでもなくババ抜きが選ばれたのは、
王政を打倒するのではなくフィリップというジョーカーを加えることでフランスを変えるアラミス達の行動の隠喩……ということは……ないか……
・また「最後に悪い物を持ったまま損害を被る」ことの比喩として「ババを引く」と表現するが、
これはフィリップを陥れたツケが最後に自分に回ってきたルイの顛末を想起させる

・(台本を見て気づいたが)そういえばフィリップの特訓のシーンでも音楽が効果的に使われていたかもしれない
・今作は登場人物と兼役が多いため真逆の関係でも同じキャストさんが演じるパターンがちょいちょいある
・アトスとルイのような「因縁の相手同士」とかフィリップとアンヌ王妃のような「母と子」など
・映画ではフィリップとアンヌ王妃の再会シーンは見せ場の1つらしいので、
それが物理的に再現しきれないところは残念ではありつつ
やっぱり声優さんのファンとしては演じ分けを見られるのは嬉しいポイント

ダルタニアン(演:石谷春貴さん)

主人公、四銃士の最年少
・現在はフランス国王軍の総督ということで一番出世している
・が、実情は国王王宮市民との板挟みで一番肩身が狭そう
・昔は無鉄砲が売りだったらしいのでそんな若造がこうなっている現状はアトスからしてもあまり見たい状態ではないのかもしれない
・生真面目が故に一人で抱え、三銃士とも仲を違える寸前まで行ったが最終的には己が信念を再度見据えることが出来た
・尤も余計なことをしなければ誰も何も失わずに王位簒奪がスムーズに出来たんじゃないかっていう気がしないでもない
・最後の決闘で三銃士三人を相手取ったのは本人なりのケジメだったのかもしれない、どこまでも生真面目な男である

・なんとなくフランス……ではないけど外国人役が似合う顔立ちの方だった
・出演作見ていると自分の生息範囲とは被らないけど結構聞いたことある作品出ててすごいな~ってなった、主役張られるだけある
・そんな中に「ゴールデンカムイの三島」……?あ、あいつか!?
・いい奴だったよ……三島……
・生真面目板挟みなダルタニアンの演技となんだか憎めない典獄ベーズモーの演技全然違う別人すぎてすごかった
・記憶や台本見て思い浮かぶ情景がそれぞれ別の人っぽくイメージが湧くくらいには別人
・特に前半はダルタニアンの出番が少ないので余計にクセの強いベーズモーの印象が残りやすい
・苦悩する役回り、モノローグの長台詞、叫びなどカロリー消費の高そうな演技が後半に続いて大変そうだった
・ベーズモーもベーズモーでカロリー消費は高そうではあるが
・実際ベーズモーの演技終わった後だったか汗拭ってた気がするしその後もしばらく暑そうでちょっとおもしろかった、そらあんな立ち回り暑くもなる

アトス(演:三木眞一郎さん)

最年長酒豪でもあるただし酒好きのイメージはポルトスの方が目立つ
・息子ラウルを失い、現在は銃士隊を退いている
・年長者らしく若輩者を導く一面がある一方、頑固さが目立つ一面も
・ただトータルでは調子づくポルトスを諌めたり、冷静にすり替え前夜にも警戒を解かなかったり常識人としての側面が強い
・ラウルを失ったことでやや自棄になっている側面もあり、フィリップに会うまでの前半においてその部分が目立つ
フィリップを助けたと同時に、自分を父親のように慕ってくれたフィリップに救われた部分もあったのではないだろうか
・ルイ14世との確執が兵士の教育係になるのを妨げていたのでこの物語の後には復帰したのだろうか

最年長の役柄ということで多くの公演で一番ベテランな方が演じられている役っぽい
・三木さんといえば飄々としているけど頼れる役みたいなのがほんと~に似合うのだがこの役でもそれが遺憾なく発揮されている
・初期のラウルを失い、銃士としての活力も失われた”枯れ”感というか世の中に対する諦観が見えるような演技がすごかった
・それでいて叫び語気を強める演技の時は空気が震えるような迫力を醸し出していてこの緩急がともかくすごかった
・フィリップと会ってから見せる父性の出し方まで含めて一役の中に何重にも重なった演技で「アトス」という人間を見事に描き切られた
・だいたいMAパブリッシングさんを始めとした朗読劇はだいたいベテランの方を一人入れて空気を引き締める柱になっていることが多いのだが、
今回に関しては三木さんがやはりこの舞台の説得力重厚感を何倍にも高めていたように思える

アラミス(演:神尾晋一郎さん)

・三銃士の頭脳担当っぽい落ち着きを見せる男
・現在は修道院の司教
・「人の心を見抜くのが商売」と自分で発言するだけあり作中の様々な人物の行動に影響を与えている、そもそも彼が今作の王位簒奪計画の発起人である
・その一方端々に女性関係のエピソードが出てくる辺り、やっぱり常識人枠はアトスに譲るようである


・うっすい知識で申し訳ないながら顔が若い方っていう印象があったのでイメージと結びつかず「めっちゃ渋い方いるな、ベテランの方かな?」ってずっと観劇してて、
終劇後に出演者欄を見たら神尾さんの名前で「え?????????????????あれ神尾さんなの???????????????」ってなった
・言われて記憶を探ってみると今まで見た役もよく通る低音の声の方だったような気もしてくる、直近見た作品から探してみたらぼっち・ざ・ろっくの宇宙の解説の声(10秒も出てない)だった、どんなピンポイントの起用やねん
・物語の半分以上で語り部を務める役なので落ち着いた渋い声が作品のベースカラー(?)になっていた気がする
・この辺は「アラミスが基礎を作ってアトスが引き締める」っていう作中の役割と重なる部分あるかも
・兼役も比較的少ない(無ありキャラは無い?)のでより一層語り部としての存在感が際立っていた

ポルトス(演:広瀬裕也さん)

腕っぷし担当のムードメーカーって感じ
・現在は仕立て屋細かい作業似合わねえ
・最初の酒場の集合に仕事で遅れる辺り意外と繁盛している様子
・宮廷のゴシップ通と見た目によらず(?)多才で伊達に三銃士の一角ではないのが伺える
・いるとシーンの明るさが二段階くらい引き上がる気がする、
四銃士時代も彼の存在が調和をもたらした部分も大きそう
・特に序盤の酒場のシーンとか、間の悪さが逆に持ち味なんではないかとすら思わせる
・その一方容姿口臭は散々な言われようである
・体型はともかく口臭に関しては良く結婚できたな
・バスティーユ牢獄は実質ポルトス(とベーズモー)の独壇場というか見せ場というか

・広瀬さんは前述した通り自分が観たウェルテルの回にもいらっしゃった
・その時は結構モブ役が多かった(持ち役自体もメインよかモブ寄りだった気がする)んだけどその演じ分けがすごくて感動した
・所謂「七色の声」ってわけじゃないんだけど女性役やる時にも女性声を出すんじゃなくて、
喋り方抑揚で女性っぽさを出すという中々テクニカルな手法で演じ分けをされていた
・今回は比較的ポルトスの比重多めだったかも
・やはりボルトス役でも「太ってそうな声色」というか「太っている人間の声帯から出てきそうな声」のそれっぽさが上手いな〜ってなった
・兼役としては序盤の囚人だろうか、正統派の演技が逆に新鮮だったかもしれん

フィリップ(演:幸村恵理さん)

・バスティーユ牢獄に20年収監されている囚人
・その正体はルイの兄本来の王位継承者
・ずっと牢獄に閉じ込められていたにも関わらず、いや、だからこそなのか高潔な精神の持ち主
・実は主人公のダルタニアンより悩むシーンが少なく、
最初に自分の境遇を知らされた後「田舎に帰る選択肢」と「この国を変える選択肢」を提示された時くらいか
・その後はひたすらに使命に身を投じる、意思が固い
・特訓に関しては本人の吸収力もありつつ、教育係が三銃士なのも大きそう
・この教育の手腕を見るとアトスのことを教官として呼び戻したがったダルタニアンの意向も、
決して友を気遣う親切心だけではなかったことが伺える
演説シーンは作品全てを通しての山場、クライマックス
・大勢の観衆を前にしてもあの堂々とした佇まいは生まれながらにして王の資格威厳を持ち合わせていたと言えるだろう
・後に太陽王と称される、フランス王朝の最盛期を作り上げるのも納得の力強さでカリスマ性を感じた

・今までの朗読劇でも兼役のモブで少年役を演じることはあっても、
ここまでガッツリメイン役で演じられるのは初だったのでは
・「凛とした気品に溢れる青年」という再現が中々難しそうな役を見事に演じられていた、声質が元々上品寄り(?)だからだろうか
・フィリップ状態とルイに擬態(?)状態も「同じ人間だけど別の人間を演じている」のが分かりやすく表現されているというか「演じている人間を演じる」のが上手かった
・たぶん意図的にルイ役の三木さんとお互いに寄せてないんだろうな〜って思った、
実際時代的に本人を観る機会とか手段無かっただろうからこちらの方が自然
・ババ抜きのシーンは丸々出番無かったので基本台本読んで後方で待機してたけどちょっと笑ってて草だった
・演説のシーンは音楽の効果も相まって圧巻、幸村さんの「女性としてかっこいい」演技はあれどこういう系統のかっこよさは見たこと無かったのですげ〜良かった、朗読劇の醍醐味
・兼役ではマリア王妃やコンスタンス、パリの住民など、青年役をやりながら女性役やるのは切り替えが大変そうである
・1回目のパリの住民の演技が時代がかった喋り方だったのが印象的、あれは何を参考にしたんだろう

ルイ14世(演:三木眞一郎さん)

・兼役の中でもここだけはさすがに分離せざるを得なかった
悪役らしい悪役ぶり悪い王様を地で行くキャラ造形
・このような人格形成には史実と同様、幼少期から陰謀渦巻く宮廷の中に置かれたことで
力や権威を示さなければ生き残れないという生き方が染み付いてしまったところが大きかったのかも
・その結果諌めてくれるのは母親ダルタニアンくらいだが両者とも真っ向から立ち向かえるほどの力は無く、それが増長に一役買っていた
・自らの行いが結局身を滅ぼした訳だが、
彼がそのまま王で居続けた場合それはそれで革命が2代早まっただけな気もする
・そう考えると三銃士は忠誠の通りフランス王政を守ったと言えるのかもしれない

・アトスと全然違う声でさすがにビビった
・甲高い声で癇癪を起こす様子は子供のようでも老人のようでもあり不気味だった
・「次に何を言ってくるか読めず、周囲が萎縮してしまう」タイプの権力者の再現がともかく上手かった、こっちまで緊張感が伝わってくる空気のピリつき具合
・因縁があるアトスとの対面の演技も見たかった気はするが、そこが主題では無いので致し方なし

「MAパブリッシングさんってド暗い話以外にも作れたんですね……?」と思わず思ってしまった冒険活劇の本作
朗読劇で再現できるジャンルというイメージが無かったのでこれまた新鮮でした

今回は1公演しか見に行けない日程だったので他の回だとどういうフィリップだったんだろう?と気になるところ
古典作品の朗読劇はハードル低くて見やすい(上に演者さんのお洒落な衣装が見られる)ので、次の作品はどんな題材だろう?
今回もそんな風に楽しみに思えた作品でした


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