朝は、父ちゃんだけが急いでいる。
ムスコは、ご飯を食べるのがゆっくりだ。
一口が、とにかく長い。
口に入れたまま、なかなか飲み込まない。
そのまま遊びに行って、
しばらくして帰ってくる。
まだ入ってる。
父ちゃんは時計を見る。
「早く食べよう。」
やっと終わったと思ったら、
次はオムツ。
最近は、交換しようとすると嫌がる。
なんとか替えて、
次は着替え。
パジャマも脱ぎたくない。
ようやく脱がせると、
今度は泣きながらパジャマを抱きしめて離さない。
いつもの朝なら、
ここでまた時計を見る。
「着替えるよ。」
「もう行くよ。」
「早く、早く。」
でも今日は、盆休み。
保育園には行かない。
それなのにムスコは、
脱がされたパジャマを抱えて泣いている。
いつも急かされて、
着替えたら保育園へ行く。
そんな毎日を、
小さな身体でちゃんと覚えているのかもしれない。
保育園では、
ご飯もちゃんと食べているらしい。
できないわけじゃない。
家ではただ、
自分のペースでいたいだけなのかもしれない。
ご飯も。
オムツも。
お気に入りのパジャマも。
急いでいるのは、
いつも父ちゃんの都合だった。
毎朝、小さな背中に
何度「早く」をぶつけてきただろう。
ごめんな。
盆休みくらい、
父ちゃんがムスコの時間に合わせよう。
