ジョージアで出会った友人が、イギリスのお土産にくれた1枚のレコードの話。
ジョージアで暮らす中で、きっと一生忘れないんだろうなと思う出来事があった。
ジョージアに来て最初に仲良くなった男友達が、イギリスへ旅行に行った際、お土産として1枚のアナログレコードを買ってきてくれたのだ。
「レコードが好きなこと」を覚えていてくれて、わざわざ旅先のレコード屋で私の顔を思い浮かべながら選んでくれた。その気持ちが何よりも嬉しかった。
旅先からの、思いがけないお土産
渡されたのは、ジョナサン・ケリー(Jonathan Kelly)というアーティストの『Twice Around The Houses』という1972年のアルバム。

正直に言うと、私は彼の名前もこのアルバムのことも全く知らなかった。友達に聞くと、彼自身もこのアルバムを知っていたわけではなく、直感とジャケットの雰囲気だけで選んでくれた「ジャケ買い」だったらしい。
コートを羽織り、新聞を小脇に抱えて街を歩く男のジャケット写真。渋く、どこか哀愁漂うそのルックスは、確かに手に取りたくなる空気感を纏っていた。
手元に持ち込めるレコードの数が限られている海外生活だからこそ、こうして誰かの手から贈られた1枚が増えることの重みが、じんわりと心に染みてくる。
針を落として出会った「Madeleine」
部屋に戻り、さっそくプレイヤーに針を落としてみる。
溝から流れてきたのは、温かく、少し切ないフォーク・ロックのサウンドだった。まったく予備知識のない状態で聴くからこそのワクワク感。
中でも特に心を掴まれたのが、「Madeleine」という曲だった。
どこかポール・マッカートニーを思わせるような、親しみやすく情緒的なメロディと優しく包み込むような曲構成。「ビートルズ味」を感じさせるようなキャッチーさと温かみがあって、一発で好きになってしまった。
友達がジャケットだけを頼りに選んでくれた盤の中に、こんなにも自分の心に刺さる名曲が眠っていたなんて、なんだか不思議な奇跡のように思えた。
一生忘れない、レコードの記憶
音楽は不思議だ。サブスクで検索すればどんな曲でも一瞬で聴ける時代に、誰かが自分のために盤を選び、国を越えて運んで来てくれたという事実。
レコードに針を落とすたびに、ジャケットの質感とともに、その時の友達の気遣いや、渡された瞬間の嬉しさが鮮明に蘇る。
手元にある数は少なくても、ここにある1枚には濃密なストーリーが詰まっている。ジョージアの部屋で「Madeleine」を聴きながら、この日の記憶とこの音を、私はこれから先も一生忘れないのだろうと思った。
【本日ご紹介した作品】
アーティスト: Jonathan Kelly(ジョナサン・ケリー)
アルバム: 『Twice Around The Houses』(1972年作)
おすすめ曲: 「Madeleine」
友達がイギリスのお土産として届けてくれた、私にとって「一生忘れられない特別な1枚」。ぜひ彼らの温かい音楽世界に触れてみてほしい。
