誰も僕を知らない街で──『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』感想
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観終わった直後、最初に口から出たのが「これ、まだ次があるな」だった。物語が閉じたというより、次の扉を意図的に開けたまま終わった感覚。
パニッシャーとの共演は、実は”初対面”だった
観ている間ずっと引っかかっていた。「この二人、前に一緒に戦ってなかったっけ?」
でも調べてみたら、映像作品でピーターとフランク・キャッスルが直接顔を合わせたことは、これまで一度もない。フランクはNetflix版『デアデビル』から歩いてきた男で、まったく別の路地を通ってここに来ている。今回が本当の初共演だ。
なのに”旧知の二人”に見えてしまうのは、原作コミックでの因縁が濃すぎるから。パニッシャーの初登場は『アメイジング・スパイダーマン #129 』。もともと彼は、スパイダーマンの世界から生まれたキャラクターなのだ。だから今回の共演は、ある意味で原点回帰でもある。
捕まえる男と、終わらせる男
• ピーター「人を殺してはいけない」
• フランク「二度とやれないようにする」
同じ敵を追いながら、絶対に交わらない正義。この衝突がとにかく面白い。
でも今回、二人には静かな共通点があった。どちらも大切な人を失い、その喪失を抱えたまま戦っている。誰にも知られないヒーローと、誰にも理解されようとしない男。並んで立つと、悲しいほど似ている。ピーターのこれからの人格に、フランクの影が落ちる予感がした。
いちばん残酷だったのは、MJの記憶
これは「恋人と別れた」という話じゃない。
ピーターの中にはMJとの人生が丸ごと残っているのに、MJの中ではその人生が最初から存在しなかったことになっている。「君は僕を知らない。でも僕は君を知っている」——この一方通行が、ただただ痛い。
だからこそ、ラストのネッドの兆しが効いてくる。あれは「一人が思い出した」以上の意味を持っていて、消されたはずの記憶はどこかに残っているのでは? という可能性を差し出してきた。もしそうなら、MJの中にも何かが残っているはずだ。
ジーン・グレイと、宇宙へ出たピーター
このまま退場するキャラには、到底見えない。「大きすぎる力をどう使うか」というテーマは、ピーターの物語そのものと重なる。味方にも、脅威にもなり得る立ち位置だと思う。
そして最後の宇宙。孤独なストリートヒーローに戻ったはずの彼が、また宇宙規模の物語へ接続されようとしている。高校生 → アベンジャーズ → 多元宇宙 → 孤独 → ??? この振れ幅の大きさに、正直ちょっと身構えた。
それでも、また出会えるのなら
一度すべてをリセットしたからこそ、「もう一度出会う」こと自体が物語になる。
次にMJがピーターを見つけたとき、たぶん僕らは泣くと思う。だから今は、その日が来るのを楽しみに待ちたい。
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