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タダでもらえる【ヘルプマーク+♥】が転売? なぜそんなことが起きるのか

ヘルプマークは、なぜ“本来の趣旨とずれた使われ方”をされてしまうのか

最近、調べ物をするついでに、

ふと、ヘルプマークについて調べてみると…

なんとびっくり!

ヘルプマークが、ヤフオクで販売されている…だと…。

ちなみに、この発見はヘルプマークが全国の自治体で無償配布されるようになった2017(平成29)年頃からありましたが、久しぶりに調べたらいまだにそんなことやっている人がいるって、驚いてしまいました。

しかし、なぜこんなことが。

本来は、外見からは分かりにくくても援助や配慮を必要としている人のために、自治体が無償で障害者手帳を取得されている方などに配っているヘルプマークなのですが、配布当初からフリマアプリやオークションサイトで販売されているのを見かけていました。

それは、そこに必要としている人の需要があるから、に他ありません。

つまり必要とする“動機”です。

デザイン権利者の東京都福祉局の説明によれば、ヘルプマークは、義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている人が、周囲にそのことを知らせ、援助を得やすくするためのマークです。

つまり、ヘルプマークは「かわいいアクセサリー」でも、「優先的に扱ってもらうための記号」でもなく、困りごとを抱えた人が社会の中で生きやすくなるための、小さな意思表示の道具です。

それなのに、なぜ本来は無償でもらえるのに、わざわざ購入してまで『使用したい』方が生まれてしまうのでしょうか。

今回はこのことを、制度の話だけでなく、社会の空気や人の心理も含めて考えてみたいと思います。




1.まず確認したいのは、ヘルプマークは「見えない困りごと」のためのものだということ

最初に大事なことを書いておきます。

言わずもがなヘルプマークは、見た目だけでは分からない困難を抱えている人のためのものです。

ちなみにこのヘルプマークは東京都発祥のマークです。

東京都福祉局は、対象として、

  • 義足や人工関節を使用している方

  • 内部障害や難病の方

  • 妊娠初期の方 など

を挙げています。
出典:東京都福祉局ヘルプマーク

そして、ヘルプマークを見かけた人には、

  • 電車やバスで席を譲る

  • 困っているようなら声をかける

  • 災害時には避難の支援をする

といった行動が呼びかけられています。

ここで気をつけたいのは、外から見て元気そうだから必要ない、とは言えないということです。

ヘルプマークの趣旨そのものが、「見えない困りごと」にあります。

ですから、誰かが身につけているのを見て、「この人は本当に必要なのか」と簡単に決めつけることには、やはり慎重であるべきだと思います。

詳しくは↑こちらの【第7章手帳がないと「障害がない」ことになるのか】をご覧ください。

つまり、“なぜ本来は無償でもらえるのに、わざわざ購入してまで『使用したい』方が生まれてしまうのか?”の疑問の一部はこういった理由(動機:障害者手帳は無いけど日常生活はしんどいから何かあったら助けて欲しい)によるものなのかもしれません。

しかし、それだけではないと思います。


2.それでも感じる“違和感”は、どこから来るのか

そうは言っても、ヘルプマークをめぐって違和感を抱く人がいるのも事実だと思います。

特にその道(どんな道だよ…)を通ってきた私のような人は、そんな風に考えてしまいます。あれ、私だけ?…。

実際、オークションサイトやフリマアプリでは、ヘルプマーク関連の商品が出品されているページを確認できます。

たとえばYahoo!オークションでは「ヘルプマーク キーホルダー」といった営利目的で自作したと思われる商品の出品ページがあり、説明文には「東京都福祉局届済」などの記載も見られます。

↑この出品者の評価欄を見ると、このキーホルダーを何百個も売っているようです。

デザイン権利者の東京都のホームページには、営利目的での使用は認めておらず、あたかも東京都がこの商品を承認しているかのようにも書かれているので、正直言ってかなり悪質だと思います。

ちなみに、東京都の【ヘルプマークのデザイン及び利用方法】には、以下のように記載されています。

2 多様な主体による作成・活用について
多様な主体による作成・活用を促すため、一定の要件を満たす場合に、作成・使用できることとします。
なお、作成・活用状況の確認・把握のため、事前に東京都福祉局障害者施策推進部企画課(送付先は次ページを参照のこと)に対する情報提供(別紙参考様式)をお願いします。
<ヘルプマークの使用に関する注意>
営利を主たる目的とした使用例は、当方から確認をさせて頂き、利用方法の見直しをお願いすることがあります。
・また、ヘルプマークを掲載することで、あたかも東京都がその個別の商品等を承認・推奨しているかのように、消費者に誤解を与えかねない利用をしている場合には、利用方法の見直し等をお願いする場合があります。

出典:ヘルプマーク作成・活用ガイドライン

さらに、ヤフオクではどこかの自治体から無償でもらってきたと思われるシリコン製のヘルプマークを、転売と思われても仕方のないように販売しているこんなケースもありました。

↑この出品者の評価欄を見ると、72件の評価の内、56件はこのヘルプマークによる取引でした。

1個や2個ならまだしも、56個?

この記録の残るプラットフォームで、よくこんな大胆なことできたなぁと、あきれています。

私自身、障害者手帳の発給を受けている障害者なので、このシリコン製のヘルプマークを自治体からもらい実物がありますが、この出品物は、ほぼ間違いなく自治体から無償でもらったものだと思います。

どういった手法で、この出品者がこのヘルプマークを入手したのか知りませんが、深い闇を感じます。

また、メルカリでは明らかに営利目的とした利用方法で、「【防水・光る】ヘルプマーク ステッカー 蓄光シール 水筒 スマホ 5枚セット」といったページもありました。

こうした流通を目にすると、

「これは本来の趣旨に沿った使われ方なのか」
「援助が必要な人のためのマークが、別の意味で消費されていないか」

と感じる人が出てくるのは、ある意味で自然なことだと思います。

もちろん、出品されているからといって、そのすべてが不適切だと断定はできません。

また、出品者や購入者に実際にどんな事情があるかも、外からは分かりません。

1章の最後に書いた

“なぜ本来は無償でもらえるのに、わざわざ購入してまで『使用したい』方が生まれてしまうのか?”の疑問の一部はこういった理由(動機:障害者手帳は無いけど日常生活はしんどいから何かあったら助けて欲しい)によるものなのかもしれません。

ただ少なくとも、ヘルプマークが「支援を必要とする人のためのサイン」であることと、「売買の対象として流通している現実」のあいだに、ズレが生まれているのは確かだと思います。

この営利目的について、どう思われますか?


3.東京都のガイドラインは、かなり慎重に作られている

2章でも触れましたが、この点について、東京都のガイドラインはかなり慎重です。

東京都福祉局のガイドラインでは、ヘルプマークを多様な主体が多様な場所で作成・使用できるようにしつつも、適切な活用のためのルールを定めています。
出典:ヘルプマーク作成・活用ガイドライン

そこでは、

  • 営利を主たる目的とした使用については、利用方法の見直しを求めることがある

  • 東京都が個別の商品を承認・推奨しているかのような誤解を与える使い方は見直しを求めることがある

  • デザインの変更や文字・絵の追加、縦横比率の変更などは認められない

といった注意点が示されています。

つまり東京都自身も、

ヘルプマークが広く使われることは大切だが、営利や誤認を生む形で使われることには慎重である

という立場を取っているわけです。

これは当然だと思います。

ヘルプマークは、ブランドでも商品ロゴでもなく、困っている人が社会に向けて出すサインだからです。


4.では、なぜ本来の趣旨とずれた使われ方が起きるのか

ここから先は、制度の説明というより、社会の空気の話になります。

私が思うに、ヘルプマークの本来の趣旨とずれた使われ方が起きる背景には、いくつかの要因が重なっているのではないかと思います。

●ひとつ目は、「配慮が必要なことを一言で説明できる記号」への需要です

本来、ヘルプマークはそのために作られたものです。

でも逆に言えば、社会の中に「しんどさや困りごとを、いちいち説明しなくても伝えたい」という気持ちが、それだけ強く存在しているとも言えます。

人は誰でも、弱っているとき、疲れているとき、心身に不安があるとき、周囲に少しでも配慮してほしいと思うことがあります。

そうした気持ちが、制度上の対象かどうかとは別に、ヘルプマークのような“わかりやすい記号”に引き寄せられてしまうことはあるのかもしれません。

●ふたつ目は、「見えない困りごと」への理解がまだ十分ではないことです

ヘルプマークが必要とされるのは、社会の側が、見えない困難を自然には読み取れないからです。

だからこそマークが必要になります。

けれどこの仕組みは裏を返せば、

マークがなければ配慮されにくい社会】

でもあるということです。

そうなると、人によっては「このマークさえあれば、少しは理解してもらえるかもしれない」と感じてしまうことがあるかもしれません。

本来の対象ではない人であっても、しんどさや生きづらさを抱えているなら、なおさらそうです。

●みっつ目は、「支援の入り口」が足りないことです

ヘルプマークは本来、医療や福祉の給付そのものではありません。

けれど、社会の中で「困っている」と伝える入口にはなります。

もし別の形で困りごとを伝えられる仕組みや、気軽に配慮を求められる文化がもっと育っていれば、ヘルプマークだけに期待が集中することも少なくなるのかもしれません。


5.問題の本質は、“ずるい人がいる”だけではない

こういう話になると、つい

「モラルのない人がいる」
「悪用する人がいる」

という方向に話が寄りがちです。

もちろん、それで片づけられない問題はあると思います。

売り方がいるということは、需要(買い方がいる)があるということなので。

しかし、困っている人のための仕組みを、自分の利益や商売の道具のように扱うなら、それはやはり健全ではありません。

さらに、ちょっと話はそれますが、障害者手帳を持っているとテーマパーク(TDLやUSJ)などで優遇を受けられるので、知り合いや知人から障害者手帳を借りて行くといった話も聞いたことがあります。

その時のなりすましアイテムとして、ヘルプマークを悪用する…、私は性格が悪いので、そんなことも考えてしまいました。

ただ本質を言えば、私はこの問題を、単純に「ずるい人がいる」で終わらせるだけでは足りない気がしています。

なぜなら、そこには

  • 見えない困りごとが理解されにくい社会

  • 配慮を求めにくい空気

  • 困りごとを説明する手間の重さ

  • 支援の入り口の少なさ

  • 記号だけが一人歩きしやすいSNSやフリマ文化

といった、もっと広い背景があるように思うからです。

つまり、ヘルプマークの問題は、単なるマナー違反の話ではなく、
社会の中で「助けてほしい」と言いにくい構造そのものも映しているのではないか、ということです。しらんけど。


6.本当に守るべきなのは、ヘルプマークの“信用”だと思う

ヘルプマークをめぐるいちばん大きな問題は、売買そのもの以上に、このマークへの信頼が傷つくことだと思います。

もし人々のあいだで、

「どうせ本当に必要な人ばかりじゃないのでは」

「ただのアピールでは」

という疑いが広がってしまえば、いちばん困るのは、本当に援助や配慮を必要としている人たちです。

というか私も困ります。

まあ、車椅子は見た目で配慮が必要って分かるから、本来、ヘルプマークは必要ないんですけどね。

かといって、ヘルプマークは、身につけた人が優位になるためのものではありません。

困っていることを、最小限の形で社会に伝えるためのものです。

だからこそ守るべきなのは、マークそのものの見た目だけでなく、

「このマークをつけている人には、何らかの配慮が必要なのだろう」と周囲が受け止められる社会的な信用なのだと思います。

その信用が崩れてしまうと、制度も善意も、どちらも弱ってしまいます。


7.では、どう考えればいいのか

私はこの問題を考えるとき、二つの姿勢が必要だと思っています。

ひとつは、外見だけで「必要ない」と決めつけないことです。

ヘルプマークは、もともと外から分からない人のために作られたものだからです。

もうひとつは、本来の趣旨からずれる使われ方には、きちんと違和感を持つことです。

東京都のガイドラインも、営利目的や誤解を招く利用に慎重な姿勢を示しています。

この二つは、矛盾するようでいて、実は両方とも必要なのだと思います。

疑いすぎてもいけない。

でも、何でも見過ごしていいわけでもない。

ヘルプマークを守るというのは、厳しく取り締まることだけではなく、
その趣旨を社会全体で丁寧に共有し続けることなのかもしれません。

ちなみに、身体障害は全くなくて、すたすた歩けるのに、「車いすに乗っているとみんなやさしくしてくれるのよぉ~ 車いすって便利よね~」と、車いす使用者の私に平然と言ってきたオバハンがいましたけど、世の中にはいろいろな人がいますね。

最後に台無しなこと書いてスミマセン。


まとめ

ヘルプマークは、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている人が、周囲にそのことを伝えるためのマークです。

一方で現実には、フリマアプリやオークションサイトで関連商品が流通しているページも確認でき、本来の趣旨とのズレに違和感を抱く人がいるのも自然なことだと思います。

ただ、この問題を単純に「悪用する人がいる」で終わらせてしまうと、本質を見失う気もします。

背景には、

  • 見えない困りごとが伝わりにくいこと

  • 配慮を求めにくい社会の空気

  • 記号に役割が集中しすぎていること

  • ヘルプマークの意味が十分に共有されていないこと

といった、より広い社会の課題があります。

本当に大事なのは、

ヘルプマークを疑いの目で見る社会にすることではなく、

必要な人が、必要なときに、ためらわず使える社会を守ることではないでしょうか。

そのためにも、ヘルプマークを「便利な記号」として消費するのではなく、
援助を必要としている人の小さなSOSとして、もう一度ていねいに受け止め直す必要があるように思います。


参考


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