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フルリモートに疲弊した中年は南へ行く〜与論島ひとり旅 後編

夏至と社長

宿泊したゲストハウスは期待していなかったものの結構良かった。スプリングのマットレスは寝心地良く、ドミトリーにシャワーとトイレが付いてるので快適だった。屋上に行けば水着も干せるし。
あと地味に嬉しかったのはカードキーがリストバンドになっている事。
すぐ「どこ行った!」ってソワソワしてしまう自分には安心感半端ない。そのまま海にも入れる点も良かった。

そして宿泊者は朝食が550円。
この内容でこれはかなりお得だと思う!添えられた島野菜も美味しかった。

お腹いっぱいになって部屋に戻ると、同室の女性が「すみません、昨日遅くに帰ってきたからうるかったでしょう?」と話しかけてきた。昨夜は疲れ切って爆睡してたから「全然気づかなかったですよ〜」なんて返していたら、そのまま「どちらからですか?」なんて話になって、

「実は私、こういうもので・・・」

と名刺を渡されて私はビックリした。そこには見たことのある社名と『代表取締役』の文字。

・・・いや、こんなことある?
「何で社長さんがゲストハウスに・・・?」と言わずにおれなかった。
社長さんは気さくで、生粋のソーシャルディスタンスBBAの私でも、つい色々と話してしまう不思議な人であった。話の流れでデザインの仕事をしていると言ったら「ええっ、実は今デザインできる人を探してて」と言われ、まさかのビジネスチャンス到来、連絡先を交換するという流れになった。PCから何やら仕事に関するものは家に放り投げて来たので、見せられる制作物が近年の超大作(?)九州場所ポスター・・・を持ってニヤニヤしている自分の写真しかなく「これしか無いんですけど」って見せたら「!?・・・うち親戚が力士やってたの。昨日相撲の話したばっかりだわ」と言うではないか。なんとも不思議な偶然が交差し「なんか、怖っ」とお互いに顔を合わせた。
社長さんが与論島に来たのは久しぶりだったようで、これも不思議なタイミングで来ることが叶い、とても良い滞在だったと言っていた。その最終日に私と出会ったこともとても意味がある事のように捉えてくれていて、それが何だか嬉しかった。
まぁ悲しいかな中年にもなってくると「盛り上がるほど意外とその後は繋がらない」と言う経験が多いので「よっしゃーこれでジリ貧脱出!!!」とは単純に舞い上がれないんだが、それでも不思議な縁を感じた出会いだった。そもそもこのゲストハウスも直前に変更したし。

「夏至の出会いはね、大きな意味を持つのよ」

と言う金言(?)を残し、社長は去っていった。

皆田海岸

今日は原チャリを借りて、皆田海岸と言うところにシュノーケルにやってきた。ウミガメがめっちゃいるらしいと口コミで見たからだ。

ここの海も信じられないほど美しかった。ちょうどシュノーケルから上がってきた男性に「カメいました?」と聞いたら、「今日は居なかったけど居るとしたらあの辺」と場所を教えてくれた。せっせと泳いで行ったけど、結局カメちゃんは居なかった。

それでもどうでも良くなるくらい海が綺麗なので、プカプカしているだけで幸せで、心が洗われるようだった。1時間ほど泳いでヘトヘトになって戻ってきたら、真っ黒に日焼けした絶対島民おじさんが話しかけてきて、「ここより、おっちゃんがもっと良いところ連れてってやるよ」と言ってきた。
爆裂に怪し過ぎる。
すでにヘトヘトだしお腹も空いてたんでめちゃめちゃ渋ったのだが、「こんなに良い海は滅多にないんだよ〜!」と全く引き下がらない。同乗するお姉さん二人組が居た事もあり、一人じゃないならまあ大丈夫か・・・と了承したのだった。

おっちゃんの言う通り、めちゃめちゃ珊瑚の綺麗なところに連れて行ってくれたので嘘ではなかった。
外海に近い所だったから波がまあまああって酔ったけど・・・。
後でGoogleを見たらちゃんとした業者さんだった。港でナンパされた・・・ってちょいちょい書かれてたから、こうやってよく声かけてんだろうな。

ヨロンケンポウ

それで、夜は夜でこのおっちゃん家の飲み会に参加する事になった。毎年与論に遊びに来る女の子が今日来るからだそうだ。「絶対来たほうが良い!人生観変わるから」と、これまた爆裂にインチキ臭い誘い文句で熱心に誘うおっちゃん。普通だったら絶対断るんだけど今朝釣れたトビウオの刺身が食えると聞いて・・・食いしん坊万歳。
「夏至の出会いはね、特別な意味を持つのよ」と言う社長さんの言葉も地味に効いていた。

飲み会には近所に住む牛飼いや花農家など、普段話を聞くことのない地元民が参加していて、興味があるから沢山話が聞きたかったが、早々に「ヨロンケンポウ」とかいう回し飲みが始まり、あっという間に全員ベロベロ、偏差値ゼロ会話と化してしまった。「ちゅっ♡ちゅっ♡」しか言わなくなった牛飼いのおっちゃんにダル絡みされながら、これが夏至の出会いか・・・と若干来たことを後悔し始めていた。

ヨロンケンポウ、私は脳内で「与論憲法」に変換していたので「俺の酒が飲めねぇのか」的な悪魔の儀式だと思っていたが、家帰って検索したら「与論献奉」だった。

客人を島の酒で歓迎しますというおもてなしの意味が込められているのです。いや、おっちゃんは確かにそう言っていたけれども。地元民の酒のペースに圧倒されっぱなしだった。これ酒強い人なんか最高に楽しいだろうなぁ。
私は酒が弱いので加減してもらったけど、それでもチリツモだったのか後でめっちゃ吐いた。何やってんだまじで。

しかしそれと引き換えに?「チャゲにポップコーン作ってもらった事あるよ!」という、牛飼いの奥さんから謎レア情報を手に入れることができた。昔の話だし、与論でチャゲさんがポップコーンを献上した訳でもなんでもないのだが、周り回ってこんな話が聞けるのって不思議だなと思った。やはり夏至、なのか・・・
ちなみに奥さんには、チャゲファンの友達がいるらしいんだけど、未だにこの事は話してないんだそう。「なんか悪いなぁと思ったら言えなくてねぇ」と言っていて、めっちゃ良い人だなと思った。

こうして濃密な与論の夜は更けて行った。
基本旅先で人とコミュニケーションをとることなど殆どない私が、こんなに色んな人と会うなんて滅多にない経験だ。交流過多で耳キーンなりそうな。
ほんとに不思議な1日だった。

品覇海岸

最終日、早起きして日の出を見ようと思っていたが流石に無理だったので、宿からすぐの海岸に行った。街から近くても綺麗な海だった。

泳ぐつもりだったけどシュノーケルが壊れたらしく断念。

チェックアウトした後はゲストハウス下のカフェでゆっくり過ごして、空港へ。帰りも帰りとてめちゃくちゃ飛行機遅れたけど、無事に帰路に着くことができた。

鹿児島に着いたら、梅雨ど真ん中に逆戻り。あの与論の日々は幻だったのではないかと思うほどに・・・

また行きたい場所の一つになった。


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