あのとき、床だけは「引き算」できませんでした
岡山で注文住宅の設計から完成まで携わる建築士自身の
家づくりの話です。
前回の記事で「正解のプランは引き算から生まれる」と書いたのですが、
床材に関しては、まったくそんなふうに割り切れませんでした。
私はもともと、
木に囲まれていると、なんとなく落ち着くというか、ほっとする。
だから家を建てるなら、
そういうものを自然に感じられる家にしたいと思っていました。
ただ、タイミングがちょっと悪かった。
ちょうど「ウッドショック」が始まっていて
材木の価格が、あれよあれよという間に上がっていく時期でした。
床材は仕入先の営業さんが持ってきた一押しの
ホワイトオーク。
木目がきれいで質感がよかった。
・・・でもお値段もよかった!(highのほう)
それでも、建具は造作にしたいし、
窓枠やカウンターも、できるだけ木を使いたい。
そうやって積み重ねていくと、
やっぱり出てくるのが「予算の壁」です。
これはもう、皆さんと一緒です。
そんな中で、私は家づくりの軸を決めていました。
お客様によくお話ししていることなんですが、
「3つの柱」を自分で持っておくのがいい。
我が家の場合
ひとつ目は「絶対に暖かい家」
ふたつ目は「洗濯動線がラクなこと」
みっつ目は「物が散らからない、すっきりした家」
この3つが叶えば、
暮らしはかなり豊かになると思ったんです。
家づくりって、ほんとに迷います。
あれもいい、これもいい。
気づいたら、やりたいことだらけ。
そんなときは、何度も立ち返ります。
「あれ?私、何がしたかったんだっけ?」って。
で、気づいたんです。
床材へのこだわりって、
この3つの柱からは、外れてるなと。
もちろん大事なんだけど、
マストではなかった。
そうやって最終的に選んだのが、
カバザクラのフローリングでした。
一番気に入っていた床ではないけど、
「今の自分たちにはこれだよね」と思って決めました。
ただ、住んでみて分かることってあります。
カバザクラはやわらかくて、足ざわりもいいし、
あたたかみのある床です。
でもその分、伸縮しやすい。
我が家は床下エアコンで、
冬はじんわり床が暖かくなるんですが、
その影響もあってか、冬場はけっこう隙間が目立ちます。
「あれ、こんなに動く?」って思うくらい(笑)
さらに正直な話をすると、
採用した床材、ちょっと品質にもばらつきがありました。
施工した大工さんからも
「ここまで寸法が揃ってないのは初めてかも」と言われるくらいで、
仕上がりとしては、少し納得しきれない部分も残っています。
今思うと、
ウッドショックの影響で、
材料の質が安定しにくい時期だったのかもしれません。
そして今、また「ナフサショック」と言われるような状況が始まりました。
家づくりって、
こういう“外の事情”にも左右されるなと、改めて感じます。
だからこそ、
「何を優先するのか」
「どこにお金をかけるのか」
この軸を、自分たちの中に持っておくことが大事なんだと思います。
…と、頭では分かっているんですが、
やっぱり——
ホワイトオーク、かっこよかったなぁ。(笑)
