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フェイント犬、爆誕!


迎えた直後の、寅ちゃん。

寅子を迎えて一年ほど、髭丸とわたしは正気を失っていたと思う。

髭丸は犬との暮らしはほぼ初めて。わたしも犬ガチ勢の実家を離れて久しい。寅子の犬生は、ふたりの手腕にかかっていた。


すこしだけ、成長した寅ちゃん。

成長に合わせサークル、ケージを数回買い替えた。トイトレグッズのバージョンアップ、吸水機、フードボウル、やっぱり皿か、と水ボウル。

気づけばずっと手が出なかった最新のお掃除ロボが買えるくらいの額が飛んでいった。

部屋のひとつは、寅子グッズの控室になっていた。


人間は、いいものだ。

犬育の教科書には必ずこう書いてある。「子犬のうちに、たくさんの人と触れ合わせましょう」と。

人間は怖くない。そう寅子の脳に刻みたかった。

でも昔と違って、他人の犬にそう簡単に手を伸ばす人はいない。


撫でてくれそうな人を探して

作戦はこうだ。ペットグッズ販売店に行って、偶然を装って「撫でてくれそうな人」を探す。

髭丸とふたりで店内をうろうろしながら、「あの人、犬好きそう」「声かけてみたら」と小声で相談しては、良さげな人を追い回していた。


作戦の結果

追い回した成果はあった。寅子は人間を怖がらない犬に育った。

見知らぬ人にも尻尾を振る。近づいていく。手が差し出される。

そして、すんでのところでかわす。

立派なフェイント犬に育った。

人間は安全だと学んだ。でも触らせない。それが寅子流。


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猫山福子 『いただいたチップは、寅子のおやつと健康維持に使わせていただきます。』