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『欲望という名の電車』19年ぶりの篠井版ブランチの復活。欲望とは人間の生きるエネルギー?足枷?

今回もまた趣向を変えて、先日観たお芝居の話を…。

テネシー・ウィリアムズが遺した傑作戯曲『欲望という名の電車』。
この作品には、数々の名優たちが挑んできましたが、私たち演劇ファンにとって「伝説」として記憶に刻まれているのが、篠井英介さんが演じるブランチ・デュボアです。

前回の2007年から、なんと19年の時を経て、この2026年に奇跡の復活を遂げました。
当時、客席で息を呑んで見守っていた私も、あれから同じだけの歳月を重ね、年齢を重ねました。

男性である篠井さんが、なぜこれほどまでに女性の、それも崩れ落ちていく魂の叫びを体現できるのか。
そして、作品のテーマである「欲望」とは、私たちにとって一体何なのか。
人生の後半戦を生きる今だからこそ感じる、篠井版ブランチの凄みについて、少しお話しさせてください。


2007年から2026年へ。熟成された「美しき狂気」

篠井英介さんといえば、現代演劇における女形の第一人者。
19年前の2007年、彼が演じたブランチは、繊細なガラス細工のような脆さと、鋭い神経症的な美しさがありました。

そして2026年、今回の再演。
篠井さんも、そして観る側の私たちも、等しく19年分の年輪を重ねました。
だからでしょうか。ブランチが抱える「失われていく若さへの執着」「孤独への恐怖」が、演技を超えたリアリティを持って、胸に迫ってくるのです。

かつての大地主の娘としてのプライドと、現実の惨めさ。
その狭間で引き裂かれそうになる姿は、単なる悲劇のヒロインではありません。
老いと向き合い、それでも「誰かに必要とされたい」「美しくありたい」と願う、人間の業(ごう)そのものを見せつけられているようでした。

欲望は「生きる力」か、それとも「重たい足枷」か

この作品のタイトルにある「欲望(Desire)」
本来は舞台であるニューオリンズの通りの名に過ぎないはずが、ブランチは、欲望という名の電車に乗り、破滅へと向かいます。

彼女にとっての欲望とは、「現実逃避」の手段だったのではないでしょうか。
辛い現実を見たくない、魔法のような幻想の中にいたい。その強い想いが彼女を支えるエネルギーであり、同時に彼女を現実から遠ざけ、孤立させる重い足枷でもありました。

私たちもまた、年齢を重ねるごとに、様々な「欲望」との付き合い方に悩みます。
「ずっと美しくいたい」「豊かな老後を送りたい」「誰かと繋がっていたい」。
こうした欲望は、生きる活力にもなりますが、執着しすぎれば自分を苦しめる鎖にもなります。

篠井さんのブランチを見ていると、こう問いかけられているような気がするのです。
「あなたは、自分の欲望とどう折り合いをつけて生きていくの?」と。

まとめ:欲望を肯定して、軽やかに生きる

19年ぶりに再会した篠井英介さんのブランチは、美しくも哀しい、人間の真実の姿でした。
欲望を持つことは、決して恥ずかしいことではありません。それは私たちが生きている証拠なのですから。

大切なのは、その欲望に振り回されるのではなく、上手に手綱を握ること。
そして、いくつになっても「観たい」「知りたい」「楽しみたい」という気持ちを大切にすることではないでしょうか。

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浮いたお金で、また次の舞台の幕が開くのを待ちましょう。
人生という舞台は、まだまだ続きますから。

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