ADHDとパターナリズムは、なぜ相性が悪いのか
ADHDの人と関わるとき、多くの人は善意から「もっと管理した方がいい」と考える。
予定を決めてあげる。
行動を指示する。
忘れないように何度も注意する。
本人に代わって判断する。
本人のためを思って、「こうした方がいい」「これはやめた方がいい」と細かく介入する。
こうした関わり方は、心理学や倫理学では「パターナリズム」と呼ばれる。本人の利益のために、本人の自由や自己決定に介入する考え方である。
もちろん、子どもや判断能力が著しく低下している人を守る場面では、パターナリズムが必要になることもある。
しかし、ADHDの人との長期的な関わりにおいては、この考え方はしばしば逆効果になる。
ADHDは「自分で選ぶこと」で動く
ADHDの人は、興味や好奇心によって行動する傾向が強い。
何をするかだけではない。
「自分で決めた」という感覚そのものが、大きなエネルギーになる。
自分で思いついたことなら夢中になれる。
しかし、まったく同じ内容でも、「これをやりなさい」と言われた瞬間に急にやる気がなくなる。
これは反抗しているわけではない。
脳の報酬系が、「自分で選んだ」という感覚によって強く働くからである。
パターナリズムは、この内発的な動機づけを奪う。
本人のために管理しようとするほど、本人のエネルギーは失われていく。
ADHDの人は、「管理されること」に敏感である
ここから先は
1,528字
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
