哲学対話書簡「大人になるってどういうこと④」
うまく言葉にならなくても、考えがまとまらなくてもいい。
思いつくことを思いつくままに、けいこさんと始めた哲学対話書簡です。
一緒に考えてみませんか。
唾液の質がわるい。
歯のクリーニングをするために、初めての歯医者に行った。
夜の8時までやっている。それなら仕事終わりに行ける。クチコミも悪くない。ホームページには、患者様に寄り添いますと書いてある。ここで決まりだ。
画像通りのにこやかな医師がやってくる。
「はーい、開けてー。うん。うん。唾液の質が悪いね。はーい、お願いしまーす」
歯科衛生士さんが入ってきた。
「開けてください」
唾液の質が悪いんですけど、それでもいいですか。目で聞く。口には出さない。仕方ない。口は開ける。
家に帰り検索すると、どこかの歯医者のページにこう書いてあった。
「リラックスする時間を意識的に作りましょう。ストレスは唾液の質を下げる原因になります」
あの歯医者がめちゃくちゃストレスなんですが。先ほど歯医者にストレス感じさせられたんですが。
めちゃくちゃ毒づいてやった。口には出さなかったけど。
歯医者は悪口を言ってくる。
「磨き方が良くないですね」これは気合を入れて磨いていった日のやつ。
「そういうタイプだから仕方ないですね」これは歯石はどうしたらつきにくくなりますかと質問した時のやつ。
クリーニングは続く。急にしみて、ビクッとなった。
「痛かったら早めに手をあげて教えてください」
何だかため息をつきながら言われた気がする。急にしみたんだからと思いつつ
「ぅあぃ」
口を大きく開けて横に引っ張られたまま返事をした。聞こえたかどうかは分からない。
きれいになった歯で会計に向かう。
「次のクリーニング、予約されていきますか」
「いえ、仕事の時間がいつあくか分からないので。予約できる時に連絡します」
もうここには来ないと決めている。もったいぶってやった。
「ではお大事に」
クリーニングしただけです。何を大事にしたらいいですか。唾液の質のことですか。口には出さない。にこやかに礼をして出口に向かう。
余計なことは言わない。
無駄な争いはしない。
思っていても態度に出さない。
そんなことが上手くなった。
「そういえば〇〇さんのこと苦手ですよね。顔に出てます」
付き合いの浅い知人に言われた。
「そんなことないですよ」
笑いながら答える。顔には出てるらしい。
