「クライマックスシリーズ」改革私案

NPBの2022年のペナントレースが終了し、セ・パともに「クライマックスシリーズ」に突入した。

今日開催された、セ・リーグのクライマックスシリーズファーストステージ、DeNA対阪神の第1戦は、横浜スタジアム史上最多となる33,033人の観客が詰めかけた。

一方、パ・リーグのファーストステージ、福岡PayPayドームで行われたソフトバンク対西武の第1戦は、観客数が32,134人であった。
これは、同球場における今季シーズン終盤の3連休で開催されたロッテ戦の観客動員数(9月23日(金・祝):34,563人、9月24日(土):38,250人、9月25日(日):36,028人)よりも8-15%程度、少ないという事態になっている
(*注:9月24日は明石健志の引退試合・セレモニーを開催)

それにしても、このクライマックスシリーズというプレーオフ制度は、毎シーズン、モヤモヤが残る。
クライマックスシリーズによって、仮にリーグ優勝しなくても、日本シリーズ進出できる可能性が生まれたことで、各チームはAクラス確定までより真剣に争うことになり、ファンを最後まで飽きさせななった。
特に長らく日本シリーズ進出から遠ざかっていたチームやファンにすれば、「CS進出」という目標はシーズンを最後まで戦う、応援するモチベーションになる。
一方で、1シーズン143試合を戦ってトップに立ったチームが、日本シリーズに進出できない可能性があるというのは、いまだにスッキリしない。

ソーシャルメディアでも毎年、この季節になると「CS不要論」が上がる。
リーグ3位に滑り込んだチームのファンからも、「下剋上による日本一」を望む声よりも、「リーグ3位から日本一になっても釈然としない」「勝率5割を切ってCS進出は胸を張れない」という発言も多く見られる。

では、どうして、NPBがクライマックスシリーズを廃止する方向に向かわないのだろうか?

勿論、あくまで想像の域を出ないが、クライマックスシリーズは、リーグ1位・2位チームにとっては、興行上、「ドル箱」となってしまっているからに他ならないからだろう。

特にクライマックスシリーズの観戦チケット価格は、レギュラーシーズンにおける価格の2倍以上に跳ね上がっている。
試合中継の放映権やグッズ販売の付随的な収益もある。

クライマックスシリーズに進出できなかったチームにしてみても、最後までCS進出を争う可能性が増えることで、各チームの消化試合が減少することの興行上の「利得」は計り知れない。

すなわち、各チームがこうした経済的なメリットを自ら手放すとは思えないのである。

従って、現行の「クライマックスシリーズ」に代わって、「プレーオフ」という「勝負の醍醐味」と「経済的メリット」を残しつつ、よりよい改善案を模索してみたいと思う。


「クライマックスシリーズ改革案」→「前期・後期制」「新プレーオフ」の導入

1.「新プレーオフ」の概要
(1)セ・リーグ、パ・リーグともに、「前期・後期制」を導入する。

①「前期・後期」ともに、各73試合とする。
同一リーグチームとの対戦を22試合、計110試合、
異なるリーグチームとの交流戦を6試合づつ、計36試合、開催し、合計146試合とする
(現行は143試合)。
②個人タイトルは、「前期・後期」を合わせた通年の成績で決定する。

(2)両リーグのペナントレース終了後、各リーグ毎に「新プレーオフ(仮称)」を開催し、両リーグの優勝および日本シリーズ進出チームを決定する。

①「新プレーオフ」は前期の優勝チームと後期の優勝チームで行う。
ただし、前期と後期の優勝チームが同一の場合には行わない。
②先に4試合に勝利したチームをリーグ優勝とする。
③フランチャイズ開催権は、通年で勝率が高いチームに有利な条件を与える。
④「新プレーオフ」に限り、セ・リーグでも「DH制」を導入する。
⑤日本シリーズは全試合、「DH制」を導入する。

2.「前期・後期制」「新プレーオフ」導入の狙い

(1)「クライマックスシリーズ」の制度上の「欠陥」を是正する
・現行のクライマックスシリーズは2007年から導入されているが、リーグ3位チームが日本シリーズ進出、日本一になる可能性があるという、制度的欠陥、理不尽さをなくす。
・現行のクライマックスシリーズは、歴史的使命を終えている。
すでに全てのチームがクライマックスシリーズ進出を果たしている。

(2)「新プレーオフ」開催による興行の経済的効果を維持する
・一方で、プレーオフ開催による興行がもたらす経済的効果も無視はできない。
・従って、「前期・後期制」を導入することにより、シーズンに2つの優勝チームが生まれる可能性があり、プレーオフ開催の意義をもたせる。

(3)「セ・パ交流戦」の増加により、リーグ間の切磋琢磨を促す。

(4)「前期・後期制」の導入により、中継ぎ投手の酷使のリスクを回避する。

3.「新プレーオフ」案のメリット/デメリット

(1)「前期・後期制」のメリット
①前期で優勝を逃しても、後期に優勝のチャンスがあることで、ファンを飽きさせない。
②前期に消化試合が生まれれば、シーズンの早い段階で新戦力を試す余裕ができる。
③シーズンを通して、中継ぎ投手を酷使する必要性が軽減される。

(2)「セ・パ交流戦」の試合増のメリット
・「ホーム・アウェイ」方式で、「1カード・3試合」づつ対戦する形式に戻すことで、両リーグ間で切磋琢磨する機会を増やす。

(3)日本シリーズ全試合で「DH制」を導入するメリット
①両リーグ間の「DH制度」の有無の違いによる不公平を是正する。
②日本シリーズでの「DH制」に慣れる準備として、新プレーオフではセ・リーグでも「DH制」を導入する。

(4)「新プレーオフ」案のデメリット

①「前期・後期」制の導入、「交流戦」を増加することで、試合日程に制限が生まれる。
②「前期」優勝チームが、「後期」の試合であからさまに勝利にこだわらない可能性を生み、野球協約で禁止する「敗退行為」に繋がるリスクがある。
③「前期・後期」の優勝チームが同一の場合、プレーオフが開催できず、興行上の機会損失となる。リーグ2位チームとのプレーオフを検討する余地が必要となる。
④「セ・パ交流戦」の増加は、興行上、損失をもたらすリスクがある。
⑤試合増は、日本プロ野球選手会(労働組合)との協議、承認が必要で、反対される可能性がある。

いかがだろうか?

要するに、この「新プレーオフ」案は大枠でいえば、パ・リーグで1973年から1982年まで導入されていた「前期・後期制」と「プレーオフ」を復活させようというものである。

かつ、本案は、クライマックスシリーズの改革だけでなく、セ・パ交流戦を増加させる、日本シリーズにおけるDH制度の導入など、複合的な改革案を主眼に置いている。

プロ野球ファンにしても、単に「CS不要」と唱えるだけでなく、「代替案」を持って議論を活性化することが必要ではないだろうか。

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