星以上の、確かな輝き book review
『スター★ガール』
ジェリー・スピネッリ・作
千葉茂樹・訳
理論社 2001
「こんな人間いるわけがない」
もし読後もこう感じている人は、幸せなのかもしれないと思ったりした。
誰がなんと言っても、私は彼女を最高にステキな女の子だと思っている。この物語の主人公、スターガールのことだ。そして、語り手のレオも、それは同じはずなのに、途中、私は彼を何度も殴り飛ばしたくなった。今、彼を許せるのは、きっと大人になった彼が、彼女の確かな輝きに気付ける人間でいるからだと思う。
9月、ハイスクールの新学期が始まって、突然現れた女の子、スターガール・キャラウェイ。床をひきずるような長い裾の開拓者風のドレス姿。バックの中にはペットのネズミ。ランチタイムは背中にかついだウクレレをかき鳴らす。
彼女は、まったく人目を気にすることなく、自分の意のままに振る舞い、他人の幸せに歓喜し、悲しみに涙する。
学校中のみんなは、彼女を定義したがった。だけど、彼女はどこにもあてはまらない。それが彼らを不安にさせ落ちつかなくさせる。彼女と比較できる人はいないし、評価するモノサシもない。あまりにも彼女は突拍子もなく未知すぎたからだ。
でも、いつだって話題を提供してくれる彼女は、次第に学校の人気者になっていく。
それも束の間、ある事件をきっかけに急降下で彼女は嫌われ者に。そしてスターガールのBF、レオも学校中から「沈黙の刑」にさらされる。
二人だけの楽しい世界は、いきなり孤独な世界へと変貌する。学校中が二人を無視する。まるで、そこには存在しないように。
「いいじゃん、べつに」と、私は言いたい。レオには親友のケビンが、スターガールにも、彼女を理解してくれる友人のドリがいる。それで、いいじゃない。だけど、レオは耐えられない。そんなレオのために、スターガールは自分を捨てる。普通の女の子、スーザンになろうとする。そのため友人のドリが自分から離れていっても。
彼女の努力は束の間、レオをよろこばせただけに終わる。再び、自分が自分でありつづけることを選んだスターガールのもとには、誰も残らなかった。だけど、ドリは戻ってきた。彼女が好きなのはスーザンではなく、スターガールなのだから。
わかっているのに、レオは最後まで本心を伝えられない。自分が好きなのはスーザンではなく、スターガールなのに。
ラストシーンはとても印象的だった。ダンスパーティーで、幸せそうに一人踊るスターガールも、彼女のナイトをつとめるドリも。そして、バニーポップの行列。あんなに楽しい曲なのに、せつなく響いてくる。
このパーティーを最後に、スターガールは消えてしまう。数々の?を人の心に残して。その謎に気づいたとき、本当の彼女に会えるのかも知れない。
「彼女ほど素敵な女の子って、いないよね?」
そんなことを問えば、レオは黙り込んでしまうかもしれない。そのことをいちばん知っているのは、彼自身なのだから。
ヤマアラシのネクタイをして、もう一度、彼女に会って欲しい。
同人誌『季節風』掲載 後修正
