退院後の生活 その3 no.81
去年の今頃だった。
会社の健康診断の結果で、現在、通っている病院の消化器内科に紹介状を書いてもらった。
手帳を見ると12月25日、クリスマスの日が初診だった。
その2日後の27日に内視鏡検査、年明けの結果で内視鏡手術の日程を決めた。
その後、術前化学療法と外科手術の日程が組まれ、並行しながら検査が続いた。
1年の間に3度も入院するなんて、当時まったく想像できなかった。
人生は何が起きるかわからない。
今後も経過観察は続いていくけれど、この病院でよかった。
退院した頃は、こんな生活がこの先ずっと続くのかと、不安しかなかった。
手術の後遺症はこれまでの生活を一変させ、日常生活をいちから作り直すような感じだった。
あれから半年が過ぎ、少しづつ身体が楽になり、生活も慣れてきたせいか、気持ちにほんの少しだけ余裕が生まれた。
・体重が少しだけ戻った
退院直後から体重が減り続け、処方された栄養剤も効果がなかった。
ヘルスメーターの数字が35を切ったときは、さすがにゾッとした。
ガリガリの腕を見るのが嫌で、夏の間はいくら暑くても半袖が着られなかった。
まだまだ手術前(39.5kg)には戻らないけれど、手術後の体重(37.7kg)に近づきつつある。
栄養剤は1日おきで、今もまだ飲んでいる。
体重管理は本当に難しく、1kg増やすのは至難の業だ。
今は、栄養士さんのアドバイスに沿って、炭水化物を優先して摂るよう心がけている。
『体重が戻らないと体力も戻らない』
主治医の考え方は、体感してようやく理解できた。
・筋力は維持しないと!
術後2ヶ月後から、早朝ウォーキングを始めた。
その頃、ちょうど咳も減ってきて咳止めの薬を漢方に変えた。
退院直後は肺の機能が低下して、少し動くだけで息が切れた。
咳は3ヶ月ほどで治り、呼吸もかなり楽になった。
ウォーキングの時間は30分から40分、そして50分でほぼ固定。
時間は同じでも、距離は少しづつ伸びている。
ウォーキングの後は、ストレッチとラジオ体操が日課になった。
そのあとは、プロテイン摂取のために100mlのミルクにミロを入れて飲んでいる。
リハビリの先生からのアドバイスで、1日最低4000歩を厳守している。
・食事と食後のダンピング症状
退院直後は本当に食べられなくて、パン粥やソーメン、お粥ばかりだった。
それもほんの少しだけ。
パンは6枚切が半分、ご飯は80g。
空腹感も食欲もまるでなかった。
食後のダンピング症状が怖くて、心配しながらひと匙ひと匙を口に運んだ。
今は、メニューのバリエーションも増えた。
パンは5枚切が1枚、ご飯は140g、食べられるようになった。
生もの、揚物、蕎麦は、まだちょっと怖くて食べられない。
肉のかたまりや、油ののった魚も避けている。
あえて食べないものもあるけれど、脂質の高い食品を避け、調理方法に気をつければ、だいぶ食べられるようになった。
・睡眠と傾き寝枕
食道癌の手術後は、逆流性食道炎が起きやすい。
その予防は、睡眠中に上半身を斜めにするしかないのだけれど、斜面で眠るのは、いまだに慣れない。
水平面でうつ伏せで寝たい!
でも、これは生涯無理だと主治医から告げられた。
今のところ睡眠中に、胃酸の逆流を自覚したことはない。
退院後は22度の傾斜がある『傾き寝枕』を使っているけれど、途中でずり落ちてくる。
それでも1日6時間ほどは寝ているので、睡眠時間は手術前とそれほど変わらないというか、むしろ少し増えている。
・外出と外食
日課のウォーキング、週1回の買物、月1度の通院。
退院後の外出は、それがすべてだった。
地下鉄も人混みも疲れるので、出かけるのが億劫だった。
今は、外出もそれほど苦にならなくなった。
観たい映画の上映を知れば映画館へ、図書館や本屋にも足を運ぶ。
人に会うのは、2度目の入院の時に同室だったNさんくらい。
同じ区内に住んでいるので、近くでランチをしたりコーヒーを飲んだりする。
時間はかかるけれど、オムライスは7割ほど食べられた。
この前、初めて生クリームのケーキを食べた!
ファミレスならメニューも豊富だし、もうカフェにも行ける。
・仕事ができるようになるだろうか?
できれば手術前と同じインテリアの仕事がしたい。
会社にもよると思うが、この職種は内勤にとどまらない。
建築現場に終日いることもあるし、社外での打ち合わせも多い。
それもかなり長時間に及ぶ。
今の体力では絶対に無理だとわかっている。
どこまで身体が回復するだろう?
フルタイムの仕事が出来るのだろうか?
今はまだわからないので、考えても仕方ない。
仕方ないけど、考えない日なんてない。
・今、感じていること
術後の変化は体力面だけじゃなかった。
例えば、本や新聞を読むとか、映画を見るとか、インプットはそれなりに出来ても、アウトプットにとんでもなく時間がかかる。
思考力と集中力が低下しているのだ。
気持ちと身体がバラバラで、やろうと思っても出来ないことがあったり、やたら時間がかかったりする。
出来ない状態に慣れていくのか、それとも回復するのか、わからない。
今は出来ることをゆっくりやるしかない。
そう思いながら、日々を過ごしている。
