あらすじ感想 佐藤史生『夢みる惑星』
備忘録かつ、創作の練習のために、見た映画や、読んだ小説、漫画のあらすじと感想をつけてみる。挑戦挑戦。
佐藤史生『夢みる惑星』(1980~1984)コミックス4巻、文庫本3巻。
◆あらすじ
遠い世界のお話。
アスカンタ王国という国があった。
王国では、ほとんどの権力を国王が握っていたが、学問と信は神殿のある「谷」が管轄していた。武力、財力などの世俗権力を「谷」は所持しておらず、威光は形だけのものであったが、人々の心の拠り所として存続していた。代々の国王は政治的に邪魔な「谷」をつぶしてしまうこともできたが、信仰心から見逃してきていた。
王の長男であり不義の子であるイリスは、「谷」における最高位にして200年間空位であった大神官の座に就いた。その後、王が死去し、イリスの義理の弟であるタジオンが王の座についた。
「谷」の学術的研究により、1年~10年後に王国西の山脈で大きな地震が起こり、王国の首都が滅ぶことが予想される。混乱を避けるため、大神官イリスを含めた小数名のみの秘事とされる。イリスは国王タジオンにこのことを告げ、災害の影響の少ない僻地への遷都(避難)の必要性を説くが、タジオンは「谷」が勢力の回復を行うための世迷事と判断してしまう。
タジオン王の戴冠式、大勢の民衆が見守る中、大神官イリスは、神のお告げがあり遷都すべしと宣言する。

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信仰の総元締めである大神官イリス自身は、無神論者に近い考え方であるが、民衆を避難させるため、信仰の力を利用することを考える。
そして、「谷」の地下に眠る謎の装置、空中に浮く機械や照明の機械などをこけおどしの道具として利用していく。
国王との仲が悪化していく中、はたして災害が起こる前に遷都を実施することができるだろうか?
◆面白かった点
・大神官は幻視者(いわゆるエスパー)である必要があるが、主人公イリス自身は大神官になるものの実は幻視者ではない。若く経験が少なく、自分に力がないことを自覚している。そのイリスが何とか来るべき災害の被害を減らそうと、民衆の思考を変えるために、宗教心を利用するという形がおもしろい。
・だいぶ小型化しているが、竜(恐竜)が存在している世界で、翼竜を移動手段に利用したり、大型の竜を戦闘に利用している。竜を育てるには熟練かつ秘伝の技が必要であるため、竜は大国だけが保持できる戦力であったが、簡易的に育てる技術が見つかり、小国も竜を使えるようになる。こういったファンタジー要素が物語の展開にかかわっていく事がおもしろい。このあたりのエピソードだけでもお話が書けそう。上橋菜穂子さんの、獣の奏者などまさにそれですね。こういった異世界生物の生態を語った作品のオリジナルはどこなのか?
・よくあるヨーロッパ風のファンタジーではなく、トルコ、ペルシャ、エジプトといった感じの雰囲気があり、新鮮でよかった。
◆気になった点
・やはり、災害の被害を減らすには、弟でもある国王タジオンに協力してもらうことが一番。ちょっとタジオンがやさぐれているため、説得は困難だとは思うが、イリスも説明があっさりすぎたと思う。まあ、ここがすっきり解決しちゃったら話が終わってしまうので仕方がなかったか。
・友人であるカラを頭とするベニ・アスラ族の動きがあまり本筋とは関係なかったように思う。
