放浪記3日目 6/3 白神山地・十和田湖・奥入瀬渓流
白神山地。日本で最初に世界自然遺産に指定された場所でブナの原生林が広がっていることは知っていた。いつか行ってみたいと思っていた場所だ。まずは散歩がてらホテル近くの弘前城と背後の岩木山を眺め、白神山地に向かう道をマップで調べる。同じ方向に岩木山神社という名が見えたのでまずはそこに寄ってから白神山地に向かうことにする。

神社に到着。鳥居から本殿までの参道は真っ直ぐ、その向こうにまだ雪を頂いた岩木山の山頂が見えた。弘前の街から見える岩木山も美しかったが、山麓に近づくとさらに雄大だ。だが神社からは山頂しか見えなかったので、裾野までもっとよく見える場所を目指して車を走らせる。そして岩木山総合公園の駐車場に車を入れてそこから山を眺めた。テニスコートや野球場のある大きな公園だが広大な駐車場に車は1台もいなかった。


総合公園の中を通り抜けてりんご畑の中を進み白神山地に向かう。まずはビジターセンターへ。西目屋村という初めて聞く地名の道の駅、その向かい側にビジターセンターがある。建物はきれいで館内設備はよく整っている。これで入館無料。ちょうどセンターを出るとき小学1年生くらいの子供たちが見学に来ていて記念写真を撮ろうとしていた。やや年配の女性教員が子供を並ばせるのにあれこれ言葉をかけている。でも子供はそれをあんまりちゃんと聞いていなくて、つい笑ってしまった。たぶん世界遺産の価値なんてわからいんだろうな。ボタンを押して野鳥の声を聞いたり虫の展示を見てキャーキャー言ったりしたくらいかな。この日のことなんて忘れてしまうだろうけど、いつか集合写真を見返して大人になってまたここに来たら、そのときは色々なことがわかるようになるんだろうな。


ビジターセンターを出て白神山地の領域に入っていく。気持ちのいいドライビングロードを進み、山道がだんだん険しくなってきたころ「暗門」という場所に着いた。ここがトレッキングやもっと奥まで行くための拠点になっているようだ。この時点で開通しているのは近辺の遊歩道だけで、それ以外のコースや道路(未舗装)が開通するのは7月上旬とのこと。訪れている人もちらほらで本格的なシーズン前の様子だ。あたりにはまだ雪も残っているがブナやミズナラの葉はまさに新緑。足下も悪くない。1周30分くらいでアップダウンも激しくない入門編のコースだが、歩いたり立ち止まったり周りを見渡したりするだけで気分のよさは格別だった。ずっとここにいたいとまで思った。ミズナラ樽のウイスキーでも飲みながら。コースの出口に水飲み場があったのでそれで我慢。








少し休憩して十和田湖に向かう。白神山地は青森県の西部、十和田湖は南部の県境にあるため距離はややあるのだが、湖から流れ出る奥入瀬渓流も含めてここもぜひ行きたかった場所だ。時間もまだあるしこの日はホテルで朝食をしっかり取ったので昼食不要で車を走らせた。十和田湖は大きな湖のためどこから見ようかと考える。やはりあの特徴的な形が一望できるところと考えて最も高い地点にある展望台まで行くことにした。それは当然山道を登ることを意味しているのだが、前日の恐山で耐性がついたのか躊躇はなかった。それなりには大変だったけど。
山道の途中でときどき霧が出てくる。途中から「クマ出没」の看板が増えてくる。もちろん出会いたくはないが車の中からならちょっと…という不謹慎な気持ちも起こる。山道が終わり視界が開けたところに展望台が見えた。視界はクリアになっている。駐車場に車は1台もない。そういえばここにくるまでほとんどすれ違う車もなかった。周囲何kmに自分以外の人間はいないのだろうかと考えながら車を降りて出て展望台へ。眼下には十和田湖のあの形が見えた。かなりの標高で展望台は崖、その高さに少し怖さを感じる。クマも出るかもしれない。数分眺めて車に戻った。


今度は湖畔を目指して山道を降り駐車場のある場所に出た。売店も遊覧船もまだ営業していない。車は数台。そのまま奥入瀬渓流へ。今日の行程の中では最も多くの人がいた場所だ。道路は渓流に沿って曲がりくねり時折車を停める待避所がある。何か所で降りて流れの近くに行ったり滝の写真を撮ったりした。周りにはゴツゴツした大きな岩があって流れの速さも音も場所によって違う。ここもずっといても飽きることはないだろう。中には歩いて散策を楽しんでいる人もいた。贅沢な時間の使い方だなと思う。白神山地、十和田湖、奥入瀬渓流、もっと時間をかけてもっとちゃんと装備してもう一度来たいなと思った。






渓流を一通り見て泊地大館に向けて走っていくと「乙女の像」の看板が見えた。そういえば、と駐車場を探す。営業している土産物屋の前には停められないので公営の駐車場へ。有料100台は停められそうだが先客は1台、料金所にも周りの土産物屋にも人はいない。乙女の像は駐車場や売店やの喧騒を避けているのか少し離れた場所にあった。だが「これか」という以上の気持ちにはならなかった。高村光太郎って「道程」とか「駱駝」とか上から目線だし、結局智恵子をおかしくしたのも「尊大な羞恥心」だし、戦意高揚詩を書いちゃうのも、ねえ。なんか作品よりも場所が大家然としていて「ここまで見に来い」と言われているような気がして。まあ偏見だろうけど。


大館のホテルは7000円で大浴場つき。近所の居酒屋には1人用のきりたんぽ鍋があって最高だった。みそたんぽを食べるお腹の余裕はなかった。

こうして文章を書くのは時間がかかるけど楽しい行為だ。次回は大館・角館で感じたことを中心に。
