見出し画像

「行政書士試験で“ん?”となった肢の正体を探る|令和6年-問16 行政不服審査法

令和6年 問16「行政不服審査法と行政事件訴訟法との違いに関する問題」の攻略法

この問題は、まともに全選択肢を検討すると時間が足りなくなります。
しかし、全ての肢を完璧に覚えていなくても、 “あ、この論点だけ押さえておけば勝てるやつだ” と気づければ一気に正解にたどり着ける問題です。

本記事では、テキストには載っていない「本試験でのリアルな選択肢の切り方」を解説します。

【問題の難易度】A(絶対に落とせない)
【目標解答時間】1分30秒



1. この問題の「絶対軸」となる知識

結論から言うと、この問題は「選択肢アとエ」の知識さえ確実に持っていれば解けます。
・必要な知識
①行政不服審査法18条と行政事件訴訟法14条の「ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」というルール
②行政事件訴訟法27条の「内閣総理大臣は、裁判所に対し、執行停止の決定の前後を問わず異議を述べることができ」というルール

2. 秒殺!選択肢の切り方プロセス

本試験の現場では、以下の順番で思考し、選択肢を切っていきます。

【STEP1】まずは一番分かりやすい「選択肢」を見る
・判定:【✖】
・理由:行政不服審査法と行政事件訴訟法のどちらも、国民の権利利益の救済の実効性確保という観点を持っていますので、行政不服審査法に「ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」という規定がないとする本問の記載は妥当ではないと容易に判断できないと正解への道は遠のきます。
・結果:この時点で、「5択」から「3択」に絞られます。

【STEP2】残った選択肢から「比較しやすいもの」を見る
・次に確認するのは「選択肢ウかエ」です。
理由はウかエのどちらかを判定できれば「1択」に絞られるためです。
・判定:ウは【△】エは【✖】
・理由:ウとエを比較したときにエの問の「内閣総理大臣は、裁判所に対し、執行停止の決定の前後を問わず異議を述べることができ」という条文知識は行政事件訴訟法のみの規定であるということは過去問でも頻出問題で確実に抑えておくべき知識のため。

【STEP3】解答確定!
・結果:STEP2により、正解は「5」と確定します。
※本問は妥当なものの組み合わせを問う問題ですが、妥当な記載の「選択肢ウ・オ」の判定をすることなく、正解までたどり着くことができます。 【(選択肢を読んで少しでも違和感を感じる場合は)△】 で構いません。

3. (おまけ)他の選択肢の深掘り

※本試験では不要ですが、今後の学習のために本問の妥当なものの選択肢の内容も軽く触れておきます。記述の対策にもなります。

・選択肢ウ 
★行政事件訴訟法の拘束力とは取消訴訟の実効性を確保するための効力★
行政事件訴訟法33条では、「処分または裁決を取り消す判決は、その事件について、処分または裁決をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する」としています。
(取消訴訟の拘束力とは行政庁に対し、処分または裁決を違法とした判決の内容を尊重し、その事件について判決の趣旨に従って行動すべきことを義務付ける効力をいいます。)

★行政不服審査法の拘束力とは、裁決の実効性を確保するための効力★
行政不服審査法52条では「裁決は、関係行政庁を拘束する」としています。
(行政不服審査法の拘束力とは裁決が確定した場合に、関係行政庁に当該裁決の趣旨に従って行動する義務を負わせる法的効果をいいます。)

・選択肢オ
行政事件訴訟法3条7項で、「この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。」としています。

行政不服審査法はこのような処分の差止めを求める不服申立てについて明文の規定を置いていません。

💡 今日のまとめ・教訓

本試験でこのパターンの問題が出たら、「全部読まずに確実な知識だけ探す」を徹底してください。


法律初学者のための「最短合格」解答ロジック解説書:行政不服審査法 vs 行政事件訴訟法


1. イントロダクション:満点を目指さない「戦略的合格法」

行政書士試験や公務員試験の合否を分けるのは、知識の量ではありません。「時間」の使い方です。特に、行政不服審査法と行政事件訴訟法の比較問題は、全選択肢を丁寧に読み解こうとした瞬間に不合格へのカウントダウンが始まります。

プロの受験生が実践しているのは、満点狙いの完璧主義を捨て、限られた1分30秒という極限状態で正解だけを「もぎ取る」格闘技のような解法です。

ここから先は

2,096字 / 1画像

¥ 300

共感していただけたら、「スキ」や「チップ」で応援していただけると嬉しいです。 あなたの応援が、次の発信の力になります。