やる気がない人はいない——マインドセットを知ると、関わり方が変わる
こんにちは。理論が好きで、物事を分解して考えることが好きなパーソナルトレーナーです。(ストレングスファインダー:原点思考・分析思考)
お客様の継続率を上げるために、日々試行錯誤しています。
頑張って準備して、丁寧にセッションをしても、なかなか変わらないお客様がいます。
宿題にした自宅トレーニングはやってこない。
モチベーションが上がったと思ったら、次の週には下がっている。
そのうち来なくなってしまう。
👉 「自分の関わり方が悪いのではないか」と悩んだことはありませんか。
そんなとき、心のどこかでこう思ってしまうこともあるかもしれません。
「この人、やる気がないのかな」
私もそう思っていた時期がありました。
でも今は、少し違う見方をしています。
やる気がない人はいない——そう思うようになった理由
「やる気がない」という言葉は、とても便利な言葉です。
なぜなら、それで思考が止まってしまうからです。
やる気がないと結論づけると、
「だから仕方ない」「本人の問題だ」で終わってしまいます。
でも、本当にそうでしょうか。
これまで関わってきたクライアントを振り返ると、
やる気がなかった人は一人もいませんでした。
全員、何かしら「変わりたい」という気持ちを持って来てくれていました。
では、なぜ続かないのか。なぜ変わらないのか。
その答えは、やる気ではなく
👉 「思考のクセ」にあると感じています。
なぜ変わらないのか——固定マインドセットという思考のクセ
心理学者キャロル・ドゥエック博士の研究に、
「固定マインドセット」と「成長マインドセット」という概念があります。
固定マインドセットとは、
自分の能力や可能性はすでに決まっていると信じる思考のクセです。
例えば、
「自分には無理だ」
「続けられない人間なんです」
「もともと運動が苦手で」
こういった言葉の背景には、
「どうせ変わらない」という信念があることがあります。
これは意志が弱いのではなく、
これまでの経験の積み重ねによって生まれたものです。
そしてこの思考のクセは、
トレーニングの内容よりも前に、行動そのものにブレーキをかけてしまいます。
現場でよく聞く「止まってしまう言葉」
固定マインドセットは、日常の言葉に現れます。
「最近忙しくて、全然できなかったです」
「時間がなくて」
「どうせ私には続かないと思うんですよね」
これらの言葉を聞いたとき、
「言い訳だ」と感じてしまうと、関わり方が少しずつズレていきます。
でも実は、これらの言葉の奥には
👉 「怖さ」があります。
変わろうとしたけれど、またできなかった経験。
期待して、また裏切られるかもしれない不安。
その積み重ねが、「できない理由」として言葉に出てきているのだと思います。
ここに共感できるかどうかが、
継続率に大きく関わってくると感じています。
トレーナーにできること——関わり方を変える3つの視点
では、私たちに何ができるのか。
現場で意識していることを3つ挙げます。
① 英語でいう「YET」、私は「成長の途中」という言葉を使う
「できない」を「成長の途中」に変えるだけで、
まだこれからできるようになる空気に変わります。
「成長の途中」は、終わりではなく未来への伸びしろであることを示す言葉です。
👉 「ここから先がある」という感覚を持ってもらうことができます。
② 小さく始める設計にする
続かない原因の一つは、
トレーナー側が難しくしすぎていることもあります。
完璧なメニューよりも、
「これなら絶対できる」という小さな一歩の方が、結果的に続きます。
私自身、このことに気づくまで時間がかかりました。
③ 成果ではなく、行動を評価する
「体重が減りましたね」よりも、
「今週3回来られましたね」と伝える方が、
クライアントの自己効力感は高まります。
結果はコントロールできませんが、
行動はコントロールできます。
👉 行動を見てあげることが、次の行動につながります。
行動が、人を変える——80代のお客様から学んだこと
以前担当した、80代の女性のお客様の話です。
腰痛と膝痛があり、足が思うように動かない状態でした。
セッションのたびに、こう言われていました。
「昔は正座ができたのに…」
「きっともう年だから、できるようにはならないですよね」
「もう無理ですよね」
最初は、どう関わればいいか正直迷いました。
でもあるとき、こう感じました。
この言葉はあきらめではなく、
これまでの長い時間の中で積み重なってきた現実なのだと。
だからまず、その気持ちを受け取ることにしました。
「それだけ辛い状態が続いていたんですね」
その上で、こう伝えました。
「今はまだ結果が見えにくい時期なんですけど、ちゃんと成長の途中にいます。」
「焦らず、一緒に積み重ねていきましょう」
焦らず、小さな変化を確認しながらセッションを重ねていきました。
最初は「できない」という言葉が多かったのですが、
少しずつ変化が見えてきました。
「痛みが少し楽な日がありました」
「痛くなっても早く回復するようになったかも?」
「もしかしたら、少し良くなってきているのかも?」
そんな言葉が、少しずつ増えていきました。
できることが増えたというより、
👉 “自分は変われるかもしれない”という感覚が芽生えてきたように感じました。
そしてあるとき、
「正座は難しいですよね」と話されていたので、
「もしかしたらできるかもしれません。一度試してみますか?」とお声がけしました。
ゆっくり、少しずつ。
そして——
「お座りできた」
本人が一番驚いた表情をされていました。
私も思わず一緒に驚いてしまいました。
でも振り返ると、
この変化はその瞬間に起きたものではなく、
👉 それまでの小さな積み重ねと、マインドの変化の延長にあったものだったと思います。
それ以降、「もう無理」という言葉は自然と聞かれなくなっていきました。
👉 アイデンティティは、結果によって変わるのではなく、行動と感覚の積み重ねの中で少しずつ変わっていくものなのだと、この方が教えてくれました。
まとめ——トレーナーの価値は、設計と関わり方にある
やる気がないクライアントはいません。
続かない理由は、意志の弱さではなく、
思考のクセと、設計と関わり方のズレにあることが多いと感じています。
そしてそのズレを整えられるのは、
トレーナーである私たちです。
技術と同じくらい、言葉と関わり方を磨くこと。
👉 「やる気を引き出す」のではなく、「やる気が続く環境をつくること」
それが、トレーナーとしての役割の一つなのかもしれません。
同じような経験をしているトレーナーの方がいれば、
ぜひ現場での工夫も聞かせてください。
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