【毎週ショートショートnote】恋のカンフル剤
美菜と瑛士は付き合い始めて5年になる。美菜は年齢的な事もあり多少焦りがあるが、瑛士はのんびりとしており、2人の仲はマンネリ化している。
土曜日に2人で街を歩いていると不思議な店があり、変なモノがあれこれ売られていた。店の壁に“長距離恋愛販売中”の張り紙があるのを見つけた。
店主に聞いてみると、マンネリ化したカップルのカンフル剤なのだそうだ。
2人は長距離恋愛なるモノを買ってみる事にした。
美菜が週明け会社に行くと急に転勤を言い渡された。しかも来週の頭には赴任先に行かなければならないらしい。すぐさま美菜は瑛士にメッセージを送る。
みな : 私、転勤になって来週頭から着任だから
えいじ : え、マジ?
急過ぎるだろ
みな : うん。でも、とりあえず仕事だからね
仕方ないよね、社畜だし
それから美菜は引越しをしたり、残務整理をしたり慌ただしい日々を送り瑛士に会う事無く転勤先に向かった。
美菜も瑛士も仕事が忙しいうえ、なぜかスマホやネットが使えずに連絡手段として使えるのは公衆電話や瑛士の家の固定電話だけだった。
「仕事って言ってるけど、ほんとは浮気してるんじゃないかしら」
「美菜、電話の一本も掛けられないのかよ」
2人は自分の妄想で頭が一杯になり、疑心暗鬼になっていた。
ようやく休みの取れた美菜は、アポ無しで瑛士の自宅に行ってみる事にした。最寄り駅に降り立つと、知らない女の子と一緒に瑛士がいた。目と目が合う2人だったが、美菜は思わず背を向けて駆けだした。
「待って!違うんだ」
「何が違うのよ!やっぱり浮気してるんじゃないの」
「違うよ、これは妹だよ」
そこへ瑛士と一緒にいた女の子が声を掛けてくる。
「本当に私妹なんです。帰省したので駅まで迎えに来てもらったんです」
瑛士の家で3人でお茶を飲みながら、ちょうど掛かっていたTVドラマを見ていると瑛士の妹が
「ねえ、これってお兄ちゃん達みたいね。なんか笑える―」
とケラケラと笑った。
そのTVドラマとは昭和末期から平成初頭に大流行した男女のすれ違う様を楽しむトレンディドラマというものだった。
「私達には刺激が強すぎたね。もう長距離恋愛はいらないよね」
美菜と瑛士は顔を見合わせ苦笑いした。
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今週のお題は「長距離恋愛販売中」です。
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