ゴールデンウィークの宿を探して
もうすぐゴールデンウィークが始まるけれど、この時期になると思い出す事がある。
あれは90年代に入ってすぐの頃。
今では数年前と比べてホテルもだいぶ高くなっているけれど、当時も意外とホテルは高くてチェーンのビジネスホテルでもツインで13,000円とかしていた。
だからか、旅行の時に女の子同士でも「愛を育むホテル」に泊まる、という事が流行っていた…と思う。雑誌などでもそんな記事を読んだ事があるような気もする。そういう所なら宿泊でも6,000円とか7,000円とかだったような記憶がある。
私の会社の先輩(♀)も友達と旅行する時に泊まったと言っていて、部屋も広いし綺麗だし、なかなか良かったとの事だった。
ゴールデンウィークに同じ会社の親友のひろちゃんと旅行をする事になった。当時はネットなんてなくて、お得に旅行するには旅行代理店に行くのが手っ取り早かった。
ゴールデンウィークの旅行を申し込むには遅すぎる時期だったものの、会社の後輩のお母さんが勤めている事もありダメもとで旅行代理店を訪れた。
色々パンフレットを見ながら検討して鹿児島に行く事にしたのだけど、そのプランは1泊2日だった。もう1泊したかった私達は後輩のお母さんに聞いてみるも動き出すのが遅かったせいか連泊する事ができなかった。
それでももう1泊したかった私達は、そこで「愛を育むホテル」に泊まろう!という事になった。鹿児島から地元駅に着いたら、停めていた車で福岡方面に走って翌日福岡をドライブしようと決めた。
そうと決まれば下見だ。
翌日から数日に渡り私達は仕事帰りに「愛を育むホテル」を探してあちこち行ってみた。
こちらの方は車社会なので、そういう宿泊施設は全室離れ形式の所が多い。
入り口から車で入ってくるーっと通路を走り、部屋の写真を眺めて良さげな所を探す。そして、さりげなく出口から出るのだ。もちろん、辺りに車のいないタイミングで出入りするのは基本中の基本だ。
大体、「愛を育むホテル」はホテル街みたいな感じでまとまって建っている事が多い。だから、比較的楽に下見をする事ができた。
2人で色々比較検討して数軒の候補を決めた。
それというのも、「愛を育むホテル」は予約はできないので部屋を取るには早い者勝ちだからだ。
それにしても、連日女2人で「愛を育むホテル」巡りをするなんて本当にどうかしている。何も知らない人が見れば、私達はどんな風に映っていたのだろう。
若い娘の私達がどうしてそんな場所を知っていたかというと、彼氏と行きまくっていたからだ。
…なんていう訳ではなく、数ヶ月前のクリスマスイブの前日に私は当時好きだった彼氏か彼氏じゃないかよく分からない人と「愛を育むホテル」を探して探して探して長距離を移動した事があるからだ。
まあ、その時は日にちが日にちだったので、どこにも空室は無かった。長距離走ったのに、結局何をするでもないモヤっとする展開になったのだった。
#なんのはなしですか
そんなこんなであっという間にゴールデンウィークが始まった。
5月3日は雨だったけれど、鹿児島に向けてJRに乗り込んだ。
当時は九州新幹線は無かったので、特急でも結構時間が掛かる。けれど、若かったし仲のいいひろちゃんとのお出掛けが楽しくて、思っていたより早く着いた感覚だった。
ホテルは指宿だったので、砂蒸し温泉に入ったり、フラダンスに引っ張り出されたり、バスツアーに参加していろんな所に連れて行ってもらって鹿児島を目一杯満喫した。
遊び過ぎて帰りのJRはちょっぴり疲れたけれど、地元に着いたら運転も待っているので眠ったりして大人しく過ごした。
地元に着いて車に乗り込み、目星をつけた宿泊施設に向かって車を走らせる。一発で見つかったか数軒回ったかは覚えていないけれど、無事に部屋を取る事ができた。
中に入ると、可愛くて綺麗で広い部屋だった。
私達は大きなテレビを見ながら買ってきたご飯を食べた。テレビではAVも当然見れるが、若い娘なのでそこはスルーして普通のテレビ番組を見ていた。
愛を育むためなのか、お風呂も広くジャグジーも付いていてのんびりと旅の疲れを癒した。
当然の事ながら、ベッドも大きいので充分に手足を伸ばして眠った。
翌朝スッキリ目覚めた私達は福岡の郊外まで車を走らせ、水族館なんかに行ったりして楽しんだ。翌日から仕事という事もあり、早めに切り上げてひろちゃんを家まで送ってから家に帰った。
疲れたからか「愛を育むホテル」に興奮したからか、帰り着いて早々私は軽く熱を出して寝込んでしまった。けれど、連休後に仕事を休むのもなんなので気合いで熱を下げたような記憶がある。
それでも、旅行は楽しかったし「愛を育むホテル」で一晩過ごして社会勉強になった。
私は「愛を育むホテル」の場所には詳しかったけれど、今となってはそんな知識も全く無駄なものだし、遠出した際にたまに通り掛かると「まだここやってるんだー」とか「ここはもう辞まってるー」なんて感慨にコッソリ耽ってしまうのである。
#なんのはなしですか
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