【なんのはなしです家】クラスメイトのお家はリアルリカちゃんハウスだった
小学生の時に習字を習っていた私は、小学校裏の書道教室の側にある大きな家をいつも羨まし気に見上げていた。こんな大きなお家、一体どんな人が住んでいるんだろう。普通の会社員の娘の私には想像のつかない世界なんだろうなと子供心に思っていた。その大きな家にお邪魔する日が来る事をその時の私はまだ知らなかった。
五年生になった時、私はあの大きな家の子と同じクラスになったのだった。その子はHさんといって、見るからにゴージャスな雰囲気を持った女の子だった。身長も高く目鼻立ちのはっきりした綺麗な子で、髪の毛も天然パーマでふわふわしていた。そう、まるで「エースをねらえ!」のお蝶夫人のようだった。やっぱりお金持ちの子は見た目から違うものなんだなあと思った。
私は当時地味で大人しいヤツで、スクールカーストとやらで例えると二軍から三軍の辺りだったと思う。そんな私だったからHさんの事が眩しくて、なかなか親しく話すという間柄にはなれなかった。それでも月日が経つうちに多少は話せるようになってきた。そんなある日、私はHさんの家に遊びに行く事になったのだ。HさんのグループのSさんと私は多少仲が良かった。Sさんは私にHさんの家に遊びに行くから一緒に行かないかと誘ってくれた。私は嬉しくて二つ返事でOKした。
その日の放課後、私とSさんはHさんの家にお邪魔した。恐る恐る玄関に入り、二階のHさんの部屋に通された。その日は三人でリカちゃんで遊ぶ事になったのだけど、これが凄かった。リカちゃんは三体以上あったし、三つ子やパパやママもいたと記憶している。もちろん、リカちゃんの着せ替えのお洋服や靴もたくさんあるし、リカちゃんハウスも一つだけではないしお店もあった。私もリカちゃんは持っていたけれど、一体しか持っていないしお洋服もそんなには持っていなかった。不思議と嫉妬の感情も芽生えず、ただただたくさんのリカちゃんとグッズに囲まれて楽しく遊ばせてもらった。
しばらくするとHさんのお母さんがおやつを持ってきてくれた。出して下さったおやつは普段口にしないようなものでとてもおいしかった事を覚えている。遊んでいるうちにゴミが出た私はHさんにゴミ箱の場所を聞いた。するとHさんはここに捨ててと壁を指差した。そこにあったのは扉だ。この扉の中にゴミを捨てるダストシュートが付いていたのだった。私は初めて見るこの設備に目を丸くした。私も結構長く生きてきたけれど、ダストシュートを見たのは後にも先にもHさんの家だけだ。私が見たのは、某宿泊施設に昔あった設備で料金を支払うエアシューターくらいなものである。
この日Hさんと遊んだ事でHさんは気さくでいい人だという事が分かった。お金持ちで美人なのにいい人だなんて素敵過ぎるだろう。それからはHさんとは同じグループではなかったけれど、親しく話せるようになっていた。私たちの自治体の小学校は二年ごとにクラス替えがあるので六年生も同じクラスだった。結局、この二年間に数回Hさんの家にお邪魔して一緒に遊んだ。その度に私はこのお家はリカちゃんハウスみたいだなあと思ったものだった。
六年生の二学期の終業式の日、Hさんはクラスのみんなを家に呼んでクリスマスパーティを開いてくれた。当時四〇人のクラスメイトのうち半分以上は来ていたと思う。広い広いリビングに並ぶご馳走の数々。とてもゴージャスなクリスマスパーティに私たちはウキウキして楽しんだ。みんなでプレゼント交換をしたりゲームをしたり。そんな夢のように楽しかったクリスマスパーティの事は今も思い出に残っている。
卒業後、Hさんと同じ中学校に進んだものの、いかんせん私たちの中学校は人数が多過ぎた。Hさんとは同じクラスになる事もなく、校内ですれ違う事すらあまりなかった。Hさんは今どこで何をしているのかは全く分からない。
実家に行った時、たまにHさんの家の側を通る事もある。今もそこに建っている大きな家を見ると、小学生の時のあの楽しかったたくさんの思い出が私の頭の中に浮かぶのだ。そして、リカちゃんハウスのような家の中にあったダストシュートに、私のいろんな捨てたい思いやしがらみや腹の肉をぶち込んでみたいと思うのだった。・・・なんのはなしです家?
こちらの企画に参加しています💛
希望者は『なんのはなしですか』のZINEに載せて頂けるそうなのです。
家にまつわる事というお題に何にしようか悩みつつ、noteを始めた頃に書いた記事をリライトしました。
ここに出てくるSさんって、中学に入ってからより仲良くなった彼女の事でした。
すのうさん、今回もお世話になります。
よろしくお願いします😊
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