【シロクマ文芸部】鍋も続くと……|エッセイ
鍋の具は、定番の白菜・春菊・えのき・ぶつ切りの骨付きの鶏肉・鯛・豆腐・安倍川などなどだ。当時は今のように市販の鍋つゆが豊富にある訳でもなく、我が家の鍋は水炊きが定番だった。
水炊きとはいっても、博多風の白濁したスープのものではなく、昆布だしのあっさりとしたものだ。これをポン酢で食べるのだけど、ネギ、紅葉おろしや柚子胡椒などを薬味に入れる。
両親は水炊きが好きで、季節を問わず週末のどちらかは水炊きをする事が多かった。冬場だと週2で食べる事も割とあった。
ぐつぐつと煮える水炊きは美味しい。途中、お餅を入れたりもする。お餅を入れると、びろんと白菜などの具がくっついてくる。締めにはお醤油を足してうどんを入れたり、ご飯と卵を入れて雑炊にもした。
時々、カニやシャッパ(全国的にはシャコっていうのかな?)が入る事もあって、それも美味しい鍋の具だ。

そんな美味しい水炊きだけど、しょっちゅう食べるとさすがに飽きる。大人ならあっさりして美味しく食べられると思うけれど、当時中学生だった私は、部活後(一応運動部所属)の夕飯ではもっとガッツリしたものが食べたい時もあった。凝ったものではなくても、焼いただけのウインナーでも湯煎したミートボールでも何でもいいから肉っぽいものが食べたかった。
それで私は母に「違うものが食べたい」とキレ気味に言ってみたのだった。
母はプンスカしながら、鍋の具にする私の分の鯛を1匹煮てくれた。私はその鯛でご飯を食べた。鯛の煮付けは美味しかったけれど、それで良かったのかという気持ちにもなった。私以外の家族は、私の目の前で水炊きを食べている。横目で見ていたら、なんだか美味しそうに見える。たしか、締めの雑炊は食べたような気がするんだけどどうだっただろうか。
あの時私は母に酷い事をしたんだと思う。食事を作る立場になった今、家族にそういう事を言われるとものすごくへこむと思う。挙句、「だったら自分で作れ」とブチギレそうだ。
結局、私はあの日からは「違うものが食べたい」などとは言わなかった。週2で水炊きが出ても美味しく食べた。もちろん水炊きだけではなく、どんなものが出ても美味しく食べた。
今、私が鍋をする時には市販の鍋つゆを使う。そんな時、実家で食べていたあっさりした水炊きの事を思い出す。これも立派な母の味だったんだよなと。
母は料理上手だったので、美味しい料理をたくさん作ってくれた。また母の料理を食べたいなと思うけれど、もうそれも叶わない。いつか私もあの世に行って母に再会したら、またご飯を作ってくれるだろうか。
それとも、「今までお母さんが作ってきたから、あんたが作って食べさせて」と言われるだろうか。その答え合わせは、まだずっとずっと先の話だ。
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シロクマ文芸部に参加します💛
今週のお題は「鍋の具は」です。
母の話を書くと、なんだか食べ物の事ばかりになっちゃいますw
一部貼ってみますねー。
今日も最後まで読んで下さってありがとうございます♪
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