【シロクマ文芸部】お姉ちゃんと電話した夜
「甘いものじゃないわね、結婚は。あんたも結婚する時はよく考えなさいよ」
久々に姉から掛かってきた電話はこんな言葉から始まった。先日離婚したばかりの姉はあまり電話を掛けてくるタイプではないが、よほど誰かと話したかったんだろう。
「何、どうしたの?飲んでるの?」
「ああ、少しだけよ。心配しないで」
姉は飲むとおしゃべりになる。けれど、その日の姉は何となく様子がおかしかった。声の感じがどことなく沈んでいるからだ。
「やりがい搾取、だったんだよね。結局さ」
「やりがい搾取?」
「そう。やりがい搾取。私は、ダンナの家の為ならと思って家業を手伝ってきたし、お金だって融通したわ。でも、こちらから与えるばかりなんだもの、やってられない」
姉は結婚してから、嫁ぎ先の家業で一緒に働いていたのだった。もちろんそこでは義兄も働いていた。姉なりに一生懸命やっていたけれど、このご時勢でなかなか業績も上がらず姉達は貰う物も貰えていないようだったのだ。ただ、同居をしているのでどうにか生活はできているとは言っていた。
「で、お姉ちゃん、今はどうしてるの?」
「うん、元いた会社に戻って来てって前から言われてたから戻ったよ」
「ひとりで寂しくない?大丈夫?」
「うん、大丈夫よ。ひとりだから気楽なものよ。まだ結婚して長くないから傷も浅くて済んだわ。子供もいないしね」
「そっか。なんかさー、結婚するの怖くなっちゃう」
「何言ってんのよ。あんた、その前に彼氏はいるの?」
姉は私と話しているうちにいつもの姉に戻ったみたいだ。寂しくないなんて言ってはいるけど、少しくらいは寂しいんだろうなと思う。電話しながら、私はいい事を思いついた。
「ねえ、お姉ちゃん。今度お互いに有休を取って、どっか旅行に行こうよ。どこ行きたい?」
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シロクマ文芸部に参加します💛
今週のお題は「甘いもの」です。
フィクションです。
けど、お姉ちゃんは傷が浅いうちに決断しましたが、私は傷が深すぎるのかもしれませんね(謎)
やりがい搾取・・・
まあ、姉妹の旅行は楽しいものになればいいですね!
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