王家の書【共鳴編】 第61話から第70話までのストーリーまとめ&人物紹介
あらすじ
ラゲル率いるノルディア軍は、ティルガ軍やカルム平原民と連携しながら、決戦の地グラウ荒原へと進軍していた。
その道中、ラゲルはサイラスたち三人に、かつての戦について語った。夫エルドを失ったあの日から、ラゲルの胸には消えない疑念が残っていた。あの戦には、裏切り者がいたのではないかと。
決戦の火蓋が切られる直前、バルドはラウレンの妻子を見せしめとして殺害し、ティルガ軍の怒りと憎しみを煽る。
戦いが始まると、サイラス、オスカー、ケイレブたちは圧倒的な力で敵陣を押し崩していく。しかしバルドは、敵味方ごと戦場を炎で囲い込み、逃げ場のない地獄へと変えていった。
さらに戦いの最中、ノルディアを守っているはずのラゲルの義弟レイデルが、エマとルカを人質に取り姿を現す。思いもよらぬ裏切りと、囚われた二人の姿を前に、サイラスたちは凍りついた。
そしてレイデルの口から、ラゲルの夫エルドを毒で殺害していた事実が明かされる。その言葉を聞いたラゲルは、隠し持っていた小刀でレイデルの喉元を狙う。
一瞬、レイデルの意識がエマから逸れる。その隙を逃さず、サンとルカはエマを助け出そうと動いた。だが次の瞬間、怒りを露わにしたレイデルの剣がルカの背を切り裂いた。
激昂したサイラスは共鳴の力を解放し、空間を裂いてレイデルを討つ。だが直後、これまで誰も見たことのない武器が火を吹いた。吹き荒れる炎は瞬く間に戦場を飲み込み、尋常ではない勢いで広がっていく。その光景に、人々は底知れぬ恐怖を覚えるのだった。
共鳴の力を封じられ、追い詰められていくサイラス。だがその時、重く垂れ込めていた空から雨が降り始める。
サイラスは空気中に漂うわずかな水を捉え、龍の姿へと変えて解き放つ。うねる水龍は炎を押し流し、激しく燃え盛っていた戦場は静寂に包まれた。
その頃、グラウ荒原での激戦の裏では、ドルグ族が別行動を開始していた。彼らはグラウ荒原同盟の中枢であるザル=ナハを陥落させ、人質の救出に成功する。
そしてついにバルドは討たれ、長く続いた抗争はラゲルたち反バルド陣営の勝利によって幕を閉じた。
しかし戦いの終わりは、新たな謎の始まりでもあった。イサミ(138)と観察者77は、イトハル(1086)の後を追い、北へと馬を駆けさせた。
同じノースリアでありながら、彼らは相反する思想を抱えていた。
「人類は排除すべき存在」と考える者。
「ともに未来を選び直せる」と信じる者。
その対立は、やがて人間をも巻き込みながら、大きなうねりとなって広がろうとしていた。
一方サイラスは、イーリスの歌を通じて金色の文字――「共鳴する者」「古の誓い」を目にする。その言葉は、北の果てへ続く新たな道しるべとなっていた。
ラゲルは、サイラスからこれまでの出来事と金色の言葉について聞かされる。そして、その意味を知るため、白の一族にいるラゲルの爺やーーカゲミを訪ねるべきだと助言する。
さらに彼女は、敵陣だけでなく味方の中にもノースリアが潜んでいた事実を明かす。
それはイサミだった。
怪我を負ったサンとオスカーはノルディアに残ることになり、サイラス、エマ、ラゲルはともにヴァルディアへ向かう。
その道中、一行はヴァルディアから駆けつけたカイ・ロウルとエドリックと再会し、戦場で使われた新たな武器について言葉を交わす。
さらに旅の中で、エドリックが白の一族の出身であり、ラゲルとは幼い頃から深い絆で結ばれていたことが明らかになる。ラゲルが青の一族へ嫁いだこと、そしてその後、エドリックは密偵として生きる道を選んだことが語られる。
やがて一行はヴァルディアへ辿り着き、サイラスはケイレブと再会する。
彼らが近況を確かめ合う中、ロウル兄弟は戦場で使われた新たな武器を調べていた。彼らはその構造の中から、あるものを見つけ出す――それは火薬だった。
新たな時代が、静かに動き始めていることを告げる兆しだった。
人物紹介
サイラスとともに旅をする者たち
サイラス・アストリア
アヌシー王国の正統な跡継ぎ。自然が放つ波動と共鳴する力を持つ「共鳴士」。「0」と「1」の数字を読み解くことができる。
オスカー・ストラザール
左頬に傷を持つ大柄な男。武術に長けている。ケイレブと共に旅をしている。
ケイレブ・リー
商家の息子。料理が得意で、珍しい食材を求めて各地を巡る。神がかった美しい顔立ちで人々を魅了する。
エマ
左手に紅い痣を持つ少女。「紅血の一族」の一人。「痣者」とも呼ばれる。サイラスたちと旅を共にしており、「0」と「1」の数字を読み取ることができる。
ルカ
エルデンで出会ったエルナの息子。エルナは「ショコラ・エルナ」というチョコレート専門店を営む女性で、ケイレブは想いを寄せている。
サン
オスカーの飼い犬。黒い毛並みの大きな犬。
ツキ
ケイレブが連れている白い猿。人の言葉を理解しているような賢さを持つ。
青の一族
ラゲル
青の一族の長。白の一族の出身。
エルド
ラゲルの夫。先のグラウ荒原抗争で命を落としている。
イーリス
ラゲルとエルドの娘。「ノルディアの真珠」と謳われる。
レイデル
エルドの弟。エルドやラゲルを裏切る。
ドレイク
ラゲルの親衛隊の一人。ラゲルの右腕。
ティルガ自治区
ラウレン・ギルドール
ティルガ自治区の長。
イサミ(138)
ラウレンに仕える傭兵。ティルガ自治区の先鋭部隊を率いる影の指揮官。
ミラ
ラウレンの娘
カルム平原民
ゼファル・カルム
カルム平原民の長。
ドルグ族
ドゥルガム
ドルグ族の長。
グラウ荒原同盟
バルド
グラウ荒原同盟の首長。
ガレス・ローデン
バルドに仕える傭兵。グラウ荒原同盟の軍を率いる人物。
ロウル商会の人々
リク・ロウル
ロウル商会の当主。
カイ・ロウル
リクの双子の弟。グランブルー号の船長。
ガルド・ハーク
ロウル商会の実務責任者。リクの右腕。
エドリック・フェン
元傭兵。白の一族の出身で、ラゲルとは幼馴染。現在はロウル商会に身を置き、密偵としても動いている。
トビアス・メルク
幼い頃にリクに救われ、孤児院で育つ。現在はロウル商会を支える屋台骨のひとり。
白の一族
カゲミ
白の一族の長の血を引く人物。ラゲル、ライラ、エドリックの育て親でもある。
ライラ
ラゲルの姉。次代の白の一族の長を担う人物。エドリックに想いを寄せていた。
ノースリア(造られし者)
イサミ(138)
ティルガ自治区で指揮を執っていた兵士。2000の指示を受け、イトハルの監視を続けていた。
イトハル(1086)
バルドに力を貸すノースリア。「人類は排除すべき存在」とする思想を持つ。
77(観察者)
2000の指示を受け、バルド陣営に紛れ込みイトハルの監視を続けていた。
コハル(586)
幼いリクとカイを助けたノースリア。彼らが生きていけるように温かく導いた。
2000
ノースリアのひとり。サイラスを見守る。
物語の鍵となる要素
アヌシー王国
ウール川が国の中央を横断する小国。農作物に恵まれ、「知の国」として知られている。
王家の書
アヌシー王国に代々伝わる書物。この世の理や、国を守るための知恵が秘められていると伝えられている。サイラスは、自らの国を守る鍵として、この書物を求め旅に出ることになった。
共鳴士(きょうめいし)
生命のうねり――あらゆるものが放つ波動に寄り添い、その声を感じ取る者。共鳴した力を引き出し、時に常人では成し得ない力を発揮する。
紅血の一族(こうけつのいちぞく)
左手に紅い痣を持って生まれる者たち。「未来を視る」力があるとされている。
ティル・マーレ(海の母)
船乗りたちの守り神として信仰を集める存在。その台座には「0」と「1」の数字が無数に刻まれている。
エルデンの城壁
エルデンの町をぐるりと囲む巨大な城壁。その町に住まう人々を守っているのではなく、地下にある広大な森と湖を支える杭の役割を果たしている。
数字を読む者
紅血の一族。正体を隠すために、「数字を読む者」と称している。壁の秘密を知っており、エルデン家をそば近くで見守る。
ノースリア(造られし者)
遥か昔、先の世に造られた存在。ーーその正体は謎に包まれている。
青の一族
ノルディアを治める一族。かつてアヌシー王国と袂を分かち、独自の道を歩んできた歴史を持つ。ノルディアは鉄鉱石の採れる産地としても有名。
白の一族
ウール川上流を治める一族。青の一族同様、かつてアヌシー王国と袂を分かった歴史を持つ。
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