なぜ人は動かないのか?――人・場・目的で読み解く、停滞の正体とその突破口
4月。新しい年度が始まり、多くの人が新たなスタートラインに立つ。
期待と不安が入り混じるこの季節。
「これでいいのだろうか」
「どこか違う気がする」
もしこの先、そんな違和感が、膨らんでいったとしたら――
それは気のせいではない。
やるべきことはやっている。
間違っているわけでもない。
それでも噛み合わないとしたら、
それは“何かが足りていない”のではなく、
“何かがズレている”のかもしれない。
■ 違和感の正体は、「三つのズレ」である
最近、Noteでの発信を活性化させて以来、
読者の皆さまとの対話をきっかけに、
私はひとつのシンプルな構造に行き着いた。
それは、
人・場・目的
という三つの要素である。
そして多くの場合、
現状への不満や違和感は、
この三つがバラバラになっているか、どれかが欠けている
ことによって生まれている。
■ 人を見つめ直す――自分は「自分」でいられているか
まず「人」。
これは単なるスキルや役割ではない。
内面と外面の両方を含む「存在の全体性」である。
自分らしくいられているか
本音を言えているか
スキルや役割が活かされているか
人が分断されると、エネルギーは出ない。
もちろん自分だけでなく、
周囲の人はどうだろうか?
と観察してみてほしい。
■ 場を見つめ直す――そこは「生成の場」になっているか
次に「場」。
場とは、単なる場所ではなく、関係性・構造・空気の総体である。
心理的安全性はあるか
違いが許容されているか
対話や試行錯誤が自然に生まれているか
場が閉じていると、人は縮こまる。
場が開いていると、人は自然と動き出す。
どんな「場」になっているかということについて、
ファシリテーターや上司などの影響力が強いことは間違いない。
だがしかし、実のところ、「関係者全員で作り上げている」ものだ。
関係者全員に、やれることはある。
例えば、誰かのチャットの投稿にこれまでとは異なる絵文字で反応をしてみたり、ミーテイングの後に今ままで声をかけたことがなかった人に声をかけてみたり。
一人ひとりの「些細な史上初」が空気を変える原動力だ。
■ 目的を点検する――未来は「引力」になっているか
そして「目的」。
ここでいう目的は、短期目標やKPIではない。
それは何のためにやるのか
どんな未来につながっているのか
自分やこの場にとって意味があるか
重要なのは、
目的は“設定するもの”ではなく、“人と場のあいだで立ち上がるもの”である
という点だ。
なぜ我々は今ここにいるのだろうか?
という問いについて、一人でも多くの人が、
自分の言葉で語れるようになっている組織は、
間違いなくしなやかで強い。
■ なぜ「正しいこと」をしても、人は動かないのか
制度を整えた。
戦略もつくった。
ルールも変えた。
それなのに、なぜか人が動かない。
そのとき、こんな問いが有効かもしれない。
それを決めた人たちは、本当にイキイキとしていただろうか
どんな場で議論され、協働されていたのだろうか
そもそも、それは何のために行われていたのだろうか
つまり、
人・場・目的が揃っていたか
を問い直すことである。
多くの場面で重要になるのが
「我々はどんな一次情報に基づいて行動しているだろうか」
という目線だ。
例えば、顧客第一と謳いながら、具体的な顧客の顔が浮かばない状態で仕事をしている人は思いのほか多い。
課題解決を目指しながら、その課題を解決することで、どんな問題が解消されるのか、具体的にイメージがついていないことはかなり多い。
■ 三位一体開発という視点
この構造は、企業経営にもそのまま当てはまる。
多くの企業では、
新規事業開発
人材開発
組織開発
が、それぞれ別々に進められている。
しかしこれらは本来、分離できるものではない。
■ 新規事業開発=目的を生み出す営み
新しい事業とは、単なる収益源ではない。
それは「どこへ向かうのか」「我々にはどんな可能性が宿っているのか」
という未来の方向性そのものだ。
■ 人材開発=人の全体性を解放する営み
スキルだけでなく、価値観や意志も含めて、
一人ひとりが「その人として」「大切にしたいものを大切にするために」
立ち上がること。
■ 組織開発=場を設計し続ける営み
チームの関係性や、組織全体の構造・文化を整え、
「誰かのせい」から「なぜそうでなければならなかったのか?」へと問いを転換し、
生成が起き続ける状態をつくること。
そして重要なのは、
この三つは同時に動くときにしか、本質的な変化は起きない
ということだ。
■ ウィルハラが起きる理由
「何がしたいの?」
この問いが人を苦しめることがある。
それは、
人と目的だけが切り出され、場が欠けているからだ
本来、目的は個人の中に最初からあるものではない。
人が場に入り、関係性の中で揺れ、対話し、試行する中で、
あとから立ち上がってくる。
「何がしたいか(Will)」が湧いてこないのは、その人が悪いのではなく、心が動くような「生きた情報」に触れる場がないからかもしれない。
■ 三位一体という見方
ここまでを踏まえると、こう言える。
目的は、人と場によって生成される
人は、場と目的によって支えられる
場は、人と目的によって立ち現れる
どれが先でもない。
すべてが同時に関係しあい、循環している。
■ 「生きている」から「生きていく」へ
流れに乗るだけの生き方もある。
与えられた役割をこなす生き方もある。
それは「生きている」状態かもしれない。
しかし、
人・場・目的がそろったとき、
私たちは「生きていく」状態に入る。
■ 新しい季節に
私自身、この春、人事異動によって新たなスタートを切る一人である。
だからこそ、これらの洞察を、
「自分が決して忘れないために」書き残しておきたいと思った。
もし今、違和感を感じているなら、
それは何かが欠けているサインかもしれない。
無理に答えを出さなくていい。
ただ、
人はどうか
場はどうか
目的はどうか
この三つを、そっと見つめてみてほしい。
人は場に支えられ、目的に引かれ、
場は人によって形づくられ、目的によって方向づけられ、
目的は人と場のあいだで生成される。
この循環が回り始めたとき、
人生も組織も、静かに、しかし確かに動き出す。
私も、この三つの循環を回しながら、新しい場を耕していきたい。
最後までお読みい頂きありがとうございました☆
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