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恋人番号法【笑えるショートショート】

総理が失恋して国の制度が変わった。

永田町の総理官邸、執務室にはどんよりとした雨雲のような空気が漂っていた。
日本の舵取りを担うはずの総理大臣は、高級なデスクに突っ伏し、スマホから流れる失恋ソングをエンドレス再生しながら、鼻声を響かせている。

つい昨日まで、「感情に流されないことこそ政治家の矜持だ」と、記者会見で涼しい顔をして語っていた男である。

「…もう、誰も信じられない。二股なんて、この世から消滅すればいいんだ」

「総理、ティッシュです。鼻をかんでください。国家の損失です」

官房長官が、まるでおむつを替える母親のような手つきで箱を差し出した。
隣に控えるエリート官僚たちも、神妙な面持ちでタブレットを叩いている。

「総理の心の傷を癒やすため、内閣府で検討しました。浮気を物理的に不可能にするシステム…その名も『マイ・ラバー・ナンバー(恋人番号)』制度です」

「…何それ」

「国民一人につき一枠、公式な『恋人』をマイナンバーに紐付けます。登録できるのは一人だけ。二人目以降を登録しようとすると、全国キャッシュレス審査センターからアラートが鳴り、スマホの決済機能が停止します。つまり、物理的に『デート代が払えなくなる』のです」

「まあ、本来は別レイヤーの制度なんですが、総理のご心痛を前に、急遽つなぎ込みました。」

総理は顔を上げた。「…それ、全会一致で通る?」

「もちろんです。野党の党首も昨日、マッチングアプリで業者に騙されて泣いておられました。全会一致、スピード可決間違いなしです」


数日後、国会はかつてない熱気に包まれていた。

「総理! 恋人がいない『フリー枠』の人間に対する減税措置はどうなっていますか!」
「議長! デート中に『やっぱり友達に戻ろう』と言われた際の、登録抹消までの猶予期間を設けるべきです!」
「恋人が二次元キャラクターの場合の取り扱いについて、政府の見解を求めます!」
「『推し』を恋人登録した場合、そのコンテンツがサービス終了したときの救済措置はどうなっていますか!」

「…なお、未登録の関係性や、現金のみでのデートについては、現時点で規制の予定はありません」

議場が一瞬ざわつき、「それじゃ意味ないじゃないか」というヤジと、「そこまで国に管理されたくない」という拍手が入り混じった。

その様子を見ながら、総理は「現金払いって、まだそんなに残ってたんだ…」と小声でつぶやいた。
官僚がすかさず囁く。
(全国でキャッシュレス義務化という法案もセットを…)

そんなズレた議論がテレビで生中継される中、街のカフェでは国民たちがスマホを眺めていた。

「あー、また変な制度始まったね。恋人番号だって」
「なんかマイナンバーカードに『恋人有』ってホログラムが入るらしいよ。恥ずかしいんだけど」
「まあ、役所の手続きさえ済ませれば、浮気調査の手間が省けていいんじゃない?」

SNSでは、
「#恋人番号で人生詰んだ」
「#役所に『推し』登録させろってデモしよう!」
と、半分本気・半分ネタのハッシュタグがトレンド入りしていた。

カフェの大学生たちは、
「どうせまた数年で別の制度に上書きされるでしょ」
「履歴書の『恋人有・無』欄とか、そのうち出てきそう」
「てか、企業説明会で『恋人番号登録済みの方歓迎』とか言われたら、普通に登録しちゃいそうで嫌なんだけど」
と、笑っている。

その向かいの路地では、スーツ姿の男たちが小声で盛り上がっていた。
「裏で未登録のマッチングサービスやったら、儲かるんじゃない?」


一ヶ月後。制度の運用が開始された。

総理はすっかり元気を取り戻し、街頭演説で「一億総一途(いちず)社会の実現!」と高らかに宣言していた。
官僚たちは、恋人番号の登録率が目標の30%に達したことに安堵し、「次は『失恋休暇・国家補償制度』の策定に入りましょう」と、真顔で打ち合わせを続けている。

その頃、街ではささやかな悲喜劇が量産されていた。

ファミレスのレジ前で、スーツ姿の男が青ざめている。
「え、決済エラー? さっきまで普通に…」
同席していた女性のスマホには、「あなたの恋人番号が抹消されました」という通知が光っていた。

市役所の恋人番号窓口の待合スペース。
「ごめん、君を本命にしたいから、今の恋人番号を一回解除してくれない?」
と真顔で頼み込む男と、
「それ、前の彼女にも言ってたんでしょ」
と冷めた目で返す女が、言い争っていた。


そして制度開始から数日後。
官邸の執務室から、またあの失恋ソングが流れていた。

官僚「総理、どうされました」

総理「恋人番号に登録した彼女に…番号返された…」

官僚「…新制度、改正しますか」

総理「うん」

あとがき

本作品は生成AI(Gemini, Copilot等)との対話を通じて着想を得ていますが、構成・執筆の最終決定はすべて人間であるわたしが行っています。

制作補助ツール: Google Gemini 3 高速モード, Microsoft Copilot Smart, Anthropic Claude Sonnet 4.5, xAI Grok 4.1 Thinking


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