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【心の城・縁側小話】 親知らず歯シリーズ③ 空気を読まない親知らず歯

やってきた。

とうとう、うちの城にも。
空気を読まないあいつ。

そう、親知らず歯だ。

城主
「やだぁ~。なんでそんなに押してくるの?」

城主がグイグイと歯に押されて、
ちょっと困っていた。

張飛がやってきて、
ヒョイッとその歯を持ち上げる。

張飛
「なんだ?こいつ」

城主
「親知らず歯」

張飛
「?なんで、押されてたんだ?」

城主
「分からない。
でも、押したい気分だったんじゃないかな?」

張飛と城主は二人で首を傾げながら、
張飛が吊り下げた親知らず歯を見つめた。

関羽
「城主、張飛、どうした?」

通りがかかった関羽が、
二人を見つけて近寄ってくる。
そして、張飛の手で吊り下げられている
親知らず歯に目を向けた。

それから、城主へ向き直る。

関羽
「城主、
そう言えば歯が痛いと言っていなかったか?」

城主
「……痛くない」

関羽から目をそらし、城主がそう答える。

城主のその様子に、関羽がため息をつき、
腕組みをする。

関羽
「よいか。

歯が痛いければ、すぐに医者にかからねば
取り返しのつかないことになりやすい。
早く、医者へ行け」

城主
「……だって、歯医者嫌いだもん」

関羽
「……行きなさい」

城主
「……どうしても?」

関羽
「どうしてもだ」

城主
「……わかった」

城主と関羽のやり取りを見ていた張飛が、
大きな声で笑い始めた。

張飛
「城主、もしかして親知らずが生えてきたのか!
はははっ!そうか、そうか」

そして、城主の背中をバシバシと叩き、
歯を吊り下げたまま城門へと歩いていく。

張飛
「さっさと医者へ行ってこい。
これはお帰り願ってくるからよ!」

豪快に笑いながら、城門へ歩き去る張飛。

後日、城主が歯医者へ行くと、
親知らず歯がおかしな方向へ
生えているせいで、

組織が破壊され、
すぐに抜かないといけない状態に
なっていたという。

城主
「……手術になった」

しょんぼりとしてそう言う城主を、
関羽が苦笑いをしながら、
ポンポンと肩を叩いて慰めていた。


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