輪郭|風まかせ文芸部
『輪郭って言葉を聞いて何を連想する?』
『顔の形とかその人のフォルムとか?』
『僕は風を思ったんだ』
『風の輪郭?』
『そう』
『そんなのある?』
『たとえば柔らかい風ってあるよね』
『ふわーって感じの風?』
『そうそう、言ってみればトイレの消臭剤をプシュってしたら微かに香る時あるでしょ。あんなイメージかな』
『なんかあんまりシチュエーションがよくないな。もう少しいい例えがなかったのかよ』
『えっイメージ湧かない?』
『いや分かるよ、分かるけどさぁ、たとえばお祭りの綿菓子つくってる機械を見てるとふわふわっとした雲の切れ端みたいなのが飛んでる時あるじゃん、そんな感じとか』
『う〜ん、ちょっと違うかな?』
『じゃあ、通り過ぎた女性からいいシャンプーの香りがしたとか』
『あっそれ近いかも』
『トイレの消臭剤から随分イメージが良くなったろ?』
『でもそれってセクハラにならない?』
『どこの誰かもわからないし、直接いい香りですねって言ったわけでもないし、なんなら架空の話なんですけど』
『じゃあ大丈夫だよね』
『これがセクハラなら人類は言葉を放棄しなくちゃならないよ』
『そうだね。じゃあ次は強い風いってみようか』
『台風みたいな風のこと?』
『僕のイメージはもっと鋭角なんだんだよね』
『鋭角?』
『頬に触れるとシュって傷が付くような』
『鎌鼬かよ』
『じゃあこんなのはどう? 人混みの中を縫うように歩く人いるよね』
『うんいるね』
『その人に正面からぶつかっていこうとする感じ』
『人混みの中を縫うように歩いてるんだろ?』
『優雅に人を避けて通るのを邪魔する感じっていうのかな』
『それは避けられないんだ』
『だっていきなりドンってくるんだよ』
『うわぁ迷惑な話だよな』
『その強い風を打ち負かすような存在の到来が待たれてるって話だよ』
『どこの世界の話?』
『えっとね、風さんのファンクラブ』

強く吹く風はどこにでも存在する。
それが天災であるならば、少しは慰められるのだろうが、開発に開発を重ねた挙句の人災に近い状態であったならきっと諦められないだろう。
それでも人は再び立ち上がる。
あなたもファンクラブに入りませんか?

iさま 今回もお世話になります
よろしくお願いします
Bob Dylan / Blowin' in the Wind
賑やかし帯はいつきちゃん。いつもありがと。
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