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おじさん箪笥|毎週ショートショートnote

2088年。奇妙なネーミングの『おじさん箪笥』なるものが発売された。
人間国宝であり伝統工芸師のおじさんがデザインし、おじさんだけの工房が製作を一手に引き受けたためのネーミングらしい。
伝統的な桐の箪笥に似せたその箪笥は見栄えはいいのに安価であり、クローゼットに慣れた人々には大ウケしたようだった。

本物の桐の箪笥を知る人は、
『一つの引き出しを閉めると別の引き出しが開く、あの密閉度は技術力を結集した結果だ。すごいぞ』
それを聞いた本物を知らない人からは、
『すべての引き出しを閉めるにはどうするんだ?』
『そのために人員が必要になるのか?』
『独り暮らしでは扱いが難しそうだな』などの憶測が飛ぶようになった。

実際に発売された箪笥は最新のよくできた合板だったため、そんなに密閉度は確保されなかったが、ここへきて問題点が指摘された。

合板の質の問題か、おじさんだけが製作に携わった結果なのか、残念なことに脱臭剤が必要になってしまったのだ。
(410文字)

たらはかにさま 参加させていただきました
よろしくお願いします

和楽器バンド  /  花一匁

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