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「干し柿」と暮らす東北の冬。年中使える干し柿の有効活用レシピまとめました

私が暮らす宮城県栗原市では、11月中旬を過ぎると民家の軒先にずらっと干し柿が並びます。

我が家にもご先祖様が植えたのであろう干し柿用の木があり、毎年秋に収穫して家族で皮をむいて干し柿を作ります。
いつもたくさん作って冷凍庫に保存するので、冷凍庫を圧迫し始めると母が「まり~、干し柿どうする?」とアイディアを求められるので干し柿を使ったレシピを考えるのは私のライフワークのようになっていました。

日頃から甘いものを欲しがる子供たちへのおやつは、できるだけ砂糖の量を減らしたいと思いながら作っているのですが、砂糖の代替品として干し柿はとても優秀なんです。

どうせ甘味を与えるなら砂糖ではなく、食物繊維や他の栄養価が高い食材のほうが良いと思いませんか?

そうこうして出来上がった干し柿を使ったオリジナルレシピを6種類ほどご紹介します。

本記事は8000字超と長いですが、干し柿についてかなり詳しく調べてみたのでぜひ最後まで読んで頂けると嬉しいです。(※最初のレシピまで無料でご覧いただけます!)

「昔の人は干し柿を砂糖替わりに使っていた」と祖母が教えてくれたことをヒントに作った「干し柿あんこ」のレシピもありますので、良かったら挑戦してみてください。

干し柿あんこ以外の「干し柿×スパイス×薬膳」のオリジナルレシピは有料となっていますが干し柿が有効活用できるレシピになっています。


1.日本で干し柿の生産量・出荷量が多い都道府県はどこなのだろう

「そういえば干し柿ってどこでも作られているんだろうか?」

一度、東京で住んでいた時に干し柿を作ってカビさせてしまったことを思い出しました。

「干し柿って、寒くないとカビが生えるし、寒い地域特有の加工品なんだろうか」とふと疑問に思ったので調べてみると意外とそうでもないらしい。

寒い時期といえば「干し柿」というくらいに一般的だと思い込んでいましたが、「この認識は地域によって違うのでは?」と思って調べてみると、あれだけずらっと干し柿が並んでいる私の住む「宮城県」が生産量&出荷量の上位10位までに見たりません。

農林水産省の特産果樹生産動態等調査よりデータをお借りし、グラフを作成(縦軸はt/トン)

干し柿の生産量、出荷量ともに日本一なのは長野県

東北では福島県、山形県が入っていますが、西日本や四国なんかでも作られているのは驚きでした。上記グラフは生産出荷量に関するグラフなので、上記に記載のない都道府県でも個人消費の範囲内などで作っているところはたくさんあると言えそうです(宮城・岩手が入っていなかったのは意外でした)

少し気になったので、ついでに柿の生産面積についても調べてみました。

令和3年産特産果樹生産動態等調査 柿の品種別栽培面積

私が住むエリアのスーパーでは、柿は奈良県産のものが多いのですが、これを見ると甘柿の栽培面積は一番大きくて、干し柿用の渋柿より甘柿をたくさん作られてることがわかりますね。

こう見ると、柿の栽培自体は沢山の地域で行われているようですが、栽培している品種や渋柿/甘柿の違いも顕著に見ることができて面白いです。

2.なぜ渋柿は干すと渋が抜けるのか?

実は、柿の種類は1000種類以上あると言われていて、しかもそのうちの99%以上が渋柿ということをご存じでしょうか?

我が家では甘柿渋柿(蜂谷丸/ハチヤマル)の両方を育てています。

左が甘柿、右が渋柿(ハチヤマル)

甘柿は干し柿にすることができないわけではないのですが、作る過程でカビが生えやすいことや、渋柿の方が干すことで糖度がより高くなるので、基本的に干し柿には使いません。

そもそも、渋(しぶ)ってなんだ?

という方に向けて簡単に説明しますと、柿には「カキタンニン(シブオール)」という成分があって、これが渋みを感じさせます。

甘柿にもシブオールがあるんですが、甘柿のシブオールは不溶性のため口に入っても渋みを感じませんが、渋柿のシブオールは水溶性なので、口内で溶けだし渋みを感じるというわけです。

つまり「渋を抜く」というのは、"水溶性のシブオールを不溶性に変えること”なんです。

では、どうやったら不溶性に変わるのかというと「シブオールはアセトアルデヒドとくっつくと不溶性になる」(アセトアルデヒドがタンニン同士をくっつけて溶けにくくする)という性質を利用します。

アセトアルデヒドを作り出す方法にはいくつかあって、一番ポピュラーなのが「アルコール度数の高い焼酎をつかう方法

我が家で使ってるのもこの「しぶぬき職人」という焼酎で、アルコールは酸化するとアセトアルデヒドに変わるのでアルコールに柿のヘタを浸すことで渋が抜けます。5~6日で渋が抜けるので、渋柿を生の合わせ柿として食べたい方はこの方法がオススメ。

もう一つは「柿を酸欠にさせるとピルビン酸という物質が分解されずにアセトアルデヒドを作り出してしまう」ことから、ドライアイスを使う方法*¹なんかもあります。(*¹:箱の中に渋柿を並べ入れ、上に板を置いてその上にドライアイスを置く。すると二酸化炭素は重いので柿の方に沈んでいき、酸欠状態を作り出すことができる)

干し柿も、「皮をむいて干す」という工程によって、乾燥して皮膜ができ、柿が呼吸できず酸欠に陥るのでシブオールが不溶性に変わるということなんです。

童話「さるかにがっせん」で、サルが完熟した渋柿を食べ、まだ渋が残った固い柿をカニにぶつける描写がありますが、渋柿はぐちゃぐちゃに熟すると渋が抜けるので食べることができます。

それは柿が果実内に種子がしっかりできる前に動物や鳥に食べられてしまうといけないので、カキタンニンの渋さを利用して頃合いが来るまでは食べられないように自衛していると考えられてます。面白いですよね!

因みに、甘柿に関しても、完全甘柿は早くにタンニンの生成&蓄積が終了するので果実が大きくなれば渋がなくなり、不完全甘柿の場合は種子の数と発達度合いによって渋が抜けるかが決まるようです。

3.「生の柿」と「干し柿」の栄養学的&薬膳的違いについて考える

生のまま食べる甘柿干し柿(渋柿)とでは以下のような違いがあります。

A. 栄養学的比較

※数値はそれぞれ渋抜き柿・干し柿1つ分の栄養価です(100g単位ではありません)

同じ渋柿を干し柿にした場合と、渋抜きをした柿(通称:合わせ柿)にした場合の比較なので、100g単位の量での比較ではないことに注意。(※水分が抜ける干し柿は当然のことながら質量が減るので、量を合わせて比較すると当然カロリー他数値は爆上がりします)

この表を見ると、干すことで「ビタミンCが大幅に減少」しています。これは皮をむいて干すのでビタミンCが破壊されて抜けていってしまうから。

"柿が赤くなれば医者が青くなる"なんて言葉もありますが、干し柿にしてしまうと減ってしまう栄養素もあって、特にビタミンCはほぼ無くなってしまうため、ビタミンCを取りたい方は生の柿の方がいいんです。

一方で、食物繊維とビタミンA、必須脂肪酸が大幅に増えています。表中のオレイン酸、リノール酸、αリノレン酸は、コレステロールの低下や血液をサラサラにする効果があるので食品からの摂取が推奨されています。

B. 薬膳的比較

干し柿と柿の薬膳的比較 「薬膳食典 食物性味表」参考

薬膳的に考えると生の柿は体を冷やす作用の強い「寒性」の食材ですが、干し柿にすると温めも冷やしもしない「平性」の食材に変わります。

生の柿は「清熱、潤肺、生津、止咳、止渇、解酒」という効能があり、具体的には、むせるような空咳、口渇、口内炎、熱による下痢、発熱、酒酔いなどに効果があります

ただし、胃腸が冷えている人は冷えすぎてしまうので要注意です。

一方、干し柿にすると「潤肺、渋腸、止血、健脾、美肌」という効果になり、空咳、喉の乾燥、声のかすれ、渋り腹、胃逆、消化不良、各種出血、しみなどに効果があります

私は冷え症なので、干し柿の方が体質には合っているようです。

しかも、柿霜(干し柿の表面に出来る白い粉)は特に潤いを生み出して乾燥を予防し、喉の調子を整える効果があります。

我が家の冷凍庫に保存している干し柿は真っ白に粉を吹いているので、効果も高そうですね。

我が家の自家製干し柿

4.干し柿は家族で作る大事な季節の手仕事

干し柿は子どもたちも大好きで、干し柿を仕込むときには子どもたちにも手伝ってもらっています。

長男は3歳くらいの頃から、柿をもいだり、干し柿の皮をピーラーで剥いたり、紐でつるしたりと大部分の手伝いをしてくれています。自分で作った干し柿は特別美味しく感じるようです。

柿を取るところから全てやりたがります。
何度ピーラーで手を切ったことか…。
子ども用のピーラーがあるのを最近知って来年用に買おうか迷っています
小さいころから干し柿が好きで、よく低い場所につるしてある干し柿をつまみ食いしていました。

5.干し柿を使ったレシピ

①砂糖不使用!「干し柿あんこ」

冷凍庫にたくさんある干し柿。真っ白に粉を吹いていて、そのまま食べると砂糖よりも甘いくらい。というか、甘くて一個丸ごとは食べられない。

昔は砂糖替わりに使ったというばあちゃんの話を聞いて、小豆と一緒に炊いて砂糖なしの餡子を作りました。

材料
・干し柿 5個
・小豆 200ℊ
・塩 一つまみ

作り方
1.小豆を良く洗って、たっぷりのお湯で茹でて沸騰したらザルにあけてお湯を捨てる
2.圧力鍋に小豆の3倍くらいの水を入れて沸騰したら弱火で15分煮る
3.自然に圧が下がったら刻んだ干し柿と塩一つまみ入れて好きな硬さに煮詰める
※普通のお鍋で煮る場合は小豆が柔らかくなるまで弱火でコトコト煮ます。

干し柿が分かりやすいようにスライスしていますが、細かく刻んだ方が小豆と馴染みやすいです。
小豆を一緒に少し煮ると柿がなじんできます。
粒あんが好きな方はそのまま、こしあんが好きな方はミキサーにかけるといいです。

干し柿の甘さによって、甘さが変わると思うので、甘みが足りなければ蜂蜜やお砂糖を足してくださいね。ミキサーにかけると小豆感が薄くなり、柿の風味が強くなります。私は小豆が好きなので粒あんが好みです。

この干し柿あんこを使って干し柿あんこパン、ゴマ団子を作りましたが子どもたちに大好評でした。

干し柿あんことクリームチーズを巻いたパン
豆腐と片栗粉で作った餅生地に柿あんこを包みます

因みに、薬膳的に小豆はむくみやデトックスに良いとされています。

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