見出し画像

「突然、別人のようになった夫・入院中に始まった『せん妄』と家族の戸惑い」

主人が「蜂窩織炎」で入院して2日後に、病院から電話がかかってきました。

「ご主人が少し混乱されています」

最初は何のことかわからなかった。

会いに行くと、夫は落ち着かない様子で、
「ここはどこや?」
「家に帰る」
「仕事に行かんといけん」

そんなことを繰り返していました。

25年前に脳出血で倒れた後も、数々の困難を乗り越えてきた夫。

そんな夫が、まるで別人のようになっていました。

3年前にも、同じ病気で入院した時も、
せん妄が激しくて人相まで変わり、怖かった記憶があります。

昨年も同じ病気で入院し、その時もせん妄が激しかったのですが、
2度目はまた始まったかと慣れてました。

今回は、なぜ入院するとせん妄が起こるのか、
そして家族はどのように接すればいいのか、
私自身の体験を交えながらお話ししたいと思います。


せん妄とは何か

せん妄とは、一時的に脳が混乱した状態になることです。
認知症とは異なり、急に症状が現れるのが特徴です。

時間や場所が分からなくなったり、
現実とは違うことを話したりすることがあります。

入院や手術、発熱、薬の影響、環境の変化などによって、
一時的に脳が混乱している状態なので、原因が取り除かれたり、
体調が回復したりすると落ち着いてくる場合が多いそうです。

特に高齢者は起こりやすいといわれています。

認知症なら常に症状が続くことが多いのですが、
せん妄は時間によって状態が変わることも特徴らしいです。

朝はしっかりしていたのに、夕方になると急に混乱する。

さっきまで普通だったのに、急に昔の職場にいるつもりになる。

そんなことが起こるのです。

なぜ入院するとせん妄になるのか

入院中は普段とは違う環境で生活するため、
心身に大きな負担がかかります。

  • 環境が急激に変わる

  • 昼夜の区別がつきにくい

  • 病気や手術による体への負担

  • 点滴や薬の影響

  • 人との会話が減る

  • ベッドで過ごす時間が長くなる

こうした要因が重なり、せん妄が起こることがあります。

私が見た夫の変化

夫にもせん妄の症状が現れました。

昔の職場の事を何度も繰り返したり、
「家に帰る」と言い出したりすることがありました。

また、夜になると症状が強くなり、ベッドの柵をはずそうと、
激しく揺さぶるので困るので、退院してと言われました。

3年前に同じ病気で入院した時に、この症状が出た時は、
病室にいない人が見えたり、「部屋の中をイタチが走ってるから捕まえないといけない」と動き回る姿を見て、とてもショックでした。

これまでの夫とはまるで別人のように感じ、
不安な気持ちでいっぱいになったのを覚えています。

家族はどう接したらいいのか

せん妄の症状があるときは、
本人の言葉を強く否定したり叱ったりしないことが大切です。

せん妄の方に対して、
毎回「違うでしょ」「何を馬鹿な事を言ってるの」と否定を繰り返すと、
不安や興奮が強くなることがあります。

「大丈夫だよ」「もうすぐ家に帰れるから」など、
安心できる言葉をかけながら穏やかに接する事です。

また、昼夜のリズムを整えたり、
面会時にゆっくり会話をしたりすることも
助けになると言われています。

看護師から言われたこと

せん妄は一時的なもので、
日常生活に戻ることで改善する人も多いと説明を受けました。

せん妄の方は、現実認識が揺らいでいるため、
強く訂正されるより、安心できる反応のほうが
落ち着きやすいことがあります。

家族も無理をしない

せん妄の症状を見る家族も、とても辛いものです。

「このまま元に戻らないのではないか」と不安になることもあります。
でも大丈夫です。

多くの場合は回復が期待できます。

もし不安なら、一人で抱え込まず、
医療スタッフに相談するのが大事です。


私の体験談

せん妄の夫を見ていると、家族の方が不安になってしまいますよね。

私もそうでした。

「認知症になってしまったのではないか」
「もう元には戻らないのではないか」

何度もそう思いました。

でも看護師からは、

「せん妄は珍しいことではありません」
「環境が変わり、身体が回復していく中で改善することも多いですよ」

そう説明を受けました。

私は最初、せん妄というと幻覚や幻聴が見えるものだと思っていました。

でも夫を見ていて感じたのは少し違いました。

夫には昔働いていた現場が見えているようでした。
部下に指示を出し、仕事の段取りを考えている。

「おいもうパレット段取りせんと間に合わないぞ」と言うので私は
「わかりました、すぐに準備します」と言うと「任せたぞ」と安心した様子でした。

また私のことも、デイサービスの職員さんだと思っていました。

私を見て笑顔で手を振り会釈しながら「いつもお迎えありがとうございます」と言ったので
私は「いいえどういたしまして」「明日も来てくださいね」と言ったら、
にっこりしました。

つまり夫は「幻」を見ているというより、
過去と現在の区別がつかなくなっていたのです。

長年働いてきた記憶や、ディサービスの送迎の女性スタッフさん、そして
今の病院での生活が、脳の中で混ざり合っていたのです。

「その世界が事実かどうか」よりも、相手が感じている不安・役割・感情を受け止めることを優先する関わり方が大事だそうです。

今は焦らず、一歩ずつ。

まずは夫が再び歩けるようになる様に、しっかりリハビリです。

そして、またいつもの笑顔を見られる日を待ちたいと思います。

最後に

もし今、ご家族のせん妄で悩んでいる方がいたら伝えたい。

あなた一人ではありません。

病室で戸惑い、心配しながら見守っている家族は、きっとたくさんいます。

せん妄は本人だけでなく、家族にも大きな不安を与えます。
私自身も戸惑いましたが、正しい知識を持つことで少し気持ちが楽になりました。

私も何度も不安になりました。

でも、「これはせん妄かもしれない」と知っているだけで、気持ちは少し違う。

慌てて悲観するのではなく、

「今は脳が混乱している時なんだな」

そう考えられるようになるからです。

もし今、ご家族が急に別人のようになって戸惑っている方がいたら、
まずは医師や看護師さんに相談してみて下さい。

認知症だと思っていた症状が、実はせん妄だったということも少なくないそうですよ。

これは脳の中で昔の記憶が強く呼び起こされ、その記憶を「今起きている現実」として認識している状態と考えられます。

高齢者のせん妄では、実はこうした症状は珍しくありません。

昔、長年続けてきた仕事や子育てなど、その人にとって大切だった時代の記憶が前面に出てくることがあります。

だから本人は、

「嘘をついている」
「ボケている」

わけではなく、

脳が一時的に「昔働いていた頃の世界」と「今の病院の世界」をうまく整理できなくなっている状態なのです。

医学的には「過去と現在の区別がつかなくなること=せん妄そのもの」
と言い切るのではなく、

「せん妄によって起こる症状の一つ」

と表現するのが正確だそうです。

私は「せん妄を治す薬があると思っていましたが、
特効薬があるわけではなく、

体が回復し、昼と夜の区別がつき、
安心できる環境の中で過ごすことが大切なのだそうです。

だからこそ焦らず見守ることも大事なのだと思いました。

この記事を読んで、家族の「せん妄」で悩んでる方の気持ちが、
少しでも軽くなれば幸いです。

大丈夫!  きっとよくなりますよ

いいなと思ったら応援しよう!