ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集/斉藤倫【読書記録】 ✳︎詩って、こんなに自由でいいんだね


詩ってむずかしいと思ってた。でも―
詩ってむずかしいと思ってた。
でも、この本を読んだら、子どもとの毎日の会話や、
わたし自身の子ども時代のことまで、
まるごと「詩」だったのかもしれないって思った。
読売KODOMO新聞で紹介されていて、思わず手に取った一冊。
『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』斉藤倫

読み進めるうちに、「詩って難しいもの」だった私の中のイメージがやわらかくほどけていくのを感じました。
日々、2人の娘と向き合いながら、
ふとした瞬間の会話ややりとりが、この本の世界と重なって―
読み終えたあと、胸がじんわり温かくなりました。
少年とおじさんのやりとりから見えてくる、ことばの世界
物語は、一人暮らしのおじさん(たぶんアパート)を、少年が訪ねていくところから始まります。
おじさんがごはんを食べようとしているときに訪ねてきて、少年がふとした疑問を投げかける。
するとおじさんは、本の山から詩集を取り出して渡す―
そんなやりとりが繰り返される、連作形式です。
最初は「詩ってこんなに適当でいいの?」と戸惑っていた少年が、少しずつ詩の世界に馴染んでいき、
「しらないことばがあったけど、なんかよかった」
そんなふうに感想を伝えるようになっていく姿。
その様子を見つめるおじさんのまなざしが、あたたかくて。そして、読み手の心もやわらかくほどかれていきます。
子どものことばと、失いたくない日々の記憶
この詩集に出てくる、少年の聞き間違いや、音のとらえ方、ことばの選び方が、わたしの娘たちにも重なりました。
思わず笑ってしまったり、
はっとして胸がつまったり―
そんな瞬間がぎゅっと詰まっています。
子ども時代の自分にも、
こんなふうに耳を傾け、ことばを拾ってくれた人がいたのかな?そんなこともふと思ったりして。
詩のように感覚で描かれるやりとりは、
すんなり心に入ってくるものもあれば、「なんだかよくわからないけど気になる」という詩もあって。
世界にはまだまだ、自分が知らない言葉や表現がこんなにあるんだ、とあらためて感じました。
そして、今この瞬間の子どもとの会話も、
いつか失われてしまうかもしれない―
そう想像すると、胸が苦しくなるほど。
だからこそ、大切にしたいと思います。
おすすめの読み方・活用法
声に出して読むと、ことばの響きやリズムがより感じられて◎
子どもとの「ことば遊び」のヒントにもなる一冊
小学生くらいのお子さんと一緒に読むのもおすすめ
忙しい大人こそ、夜にひとりで読みたい詩集です
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きみはいつものように、あけっぱなしの玄関から、どんどんぼくの部屋にあがりこみ、ランドセルをおろしながらこういった。「せんせいが、おまえは本を読めっていうんだ。ことばがなってないから」。ぼくは一冊の詩集をきみに手渡す。「ここんとこ、読んでみな」。詩は、おもしろい。そして、詩はことばを自由にし、ことばはわたしたちを自由にする。20篇の詩を通して、詩人斉藤倫と楽しみ、考える、詩のことそしてことばのこと。
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