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AI映画を見ながらAIに繋がらない旅 〜上海を経由してアムステルダムへ〜

今回利用した中國東方航空は、搭乗してみると想像していたよりずっと快適だった。朝食に出てきた点心とおかゆもなかなか美味しい。機体もサービスも特に不満はない。

ところが機内に乗り込んで早々に問題が発生した。機内で見るためにiPadにダウンロードしておいたAmazon Prime Videoの映画が一切再生できないのである。原因はよくわからない。離陸前までは見られていたのに、なぜか全部ダメになってる。やばい。仕方なく機内エンタテインメントシステムを立ち上げた。

AI裁判官が無実を裁く世界

すると今度は別の驚きが待っていた。東京発の機材なのに、機内映画の日本語表示がない。中国語か英語だけ。仕方なく英語で映画を見ることにした。選んだのは『Mercy』というSF映画(日本では2026年1月に公開)。妻を殺害した容疑で逮捕された男が、AI裁判官に自分の無実を証明するために奔走する話だ。近未来が舞台で、街角の監視カメラや個人のスマホなど、あらゆるデバイスに残された映像記録を使って真実を追っていく。罪状を審判するAIが社会インフラとして浸透した世界を描いていてなかなか面白い。しかしこれからというところで睡魔が襲ってきた。続きは次の便へ持ち越しである。

写真はオフィシャルサイトより

上海でインターネットが消えた

上海浦東空港での乗り継ぎは約90分。残念ながらターミナル移動と保安検査だけで終わってしまい、空港そのものを観察する余裕はほとんどなかった。ただラウンジで面白い体験をした。館内のWi-Fiに接続したのだが、Xが繋がらない。Facebookが繋がらない。LINEも繋がらない。GoogleもAmazonも繋がらない。ChatGPTをはじめとするAIサービスも全滅。日経サイトもダメ。ラウンジなら何とかなるだろうと思っていたのだが甘かった。うーん不便。ところがなぜか、Yahoo! JAPANだけはサクサク繋がる。なんぞこれ。中国のインターネット事情を肌で感じた瞬間でしたよ。

上海浦東国際空港のターミナル周辺

ボスの『快楽の園』を見たくなる

アムステルダム行きの機内で『Mercy』の続きを見る。なかなか興味深かった。AI関連の仕事をしている人には結構おすすめかもしれない。ところで長距離フライトのヘッドフォンは、個人的にはBOSE QuietComfort 35がいまだに最強だと思っている。有線接続できるので、変換プラグを使って機内エンタテインメントに繋げばそのままノイズキャンセリング環境で映画が楽しめる。これが本当に快適なのだ。

そしてなぜかiPadにダウンロードしたアマプラ映画が復活したので、今度は『謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス』というドキュメンタリーを見る。ボスの生誕500年を記念してプラド美術館が制作した作品で、代表作『快楽の園』を中心に、その謎に包まれた人生と作品世界を追っていく内容だ。これが実に面白い。画家本人についても興味深いのだが、圧巻なのは『快楽の園』の解説である。あの異様な絵の中に何が描かれているのか、なぜ描かれたのか。下書きはどうだったのか。細部を追いながら解説されると実物が見たくなる。いつかプラド美術館に行かなくては。

ドローンも成層圏までは来ないでしょう

中国東方航空という選択

さて中國東方航空ヨーロッパ便の機内サービスについて。機内Wi-Fiは、これも中国国内と同じような制限がかかっていて、日本で普段使うサイトには行けず、米国のAIサービスも一切利用できない。前述の通り機内エンタテインメントの日本語対応もない。音楽コンテンツも無く、機内販売も機内誌もない。中東系の航空会社などと比べるとだいぶ寂しい気もするが、考えてみれば安いし、ヨーロッパまで直行で快適に運んでくれるのだから十分なのかもしれない。つかの間のデジタルデトックスにもなる。

搭乗したヨーロッパ便

結論として、いろんなモノがないことを前提にしつつ、中国東方航空は機体、食事、サービスともに想像以上に快適だった。実際、周囲の乗客はヨーロッパ人が圧倒的に多かった。なるほど人気があるわけだ。

そんなことを思いながら、飛行機はヨーロッパへ向かっている。

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阿部光史 mitsushi abe 書く時間は、僕にとって小さな実験室です。 サポートいただけたら、新しい思考と、おいしいコーヒーを少しだけ増やせます。 いつも読んでいただき、本当にありがとうございます。