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イエロー・サブ・マリン

※これまでのお話。

イエロー・サブ・マリン

 「ビードロ吸う」のメンバーが、久しぶりに集結した。
 彼らはバンドであり、便利屋であるのだが、ここのところはそれぞれにソロ活動をしていた。
 メンバーは「ボール任しとけ」、「ジャム例の」、「障子張りする」、「リンゴ擦った」の4人だ。

 今回の依頼はシェアハウスのトラブルを解決して欲しいとのことだった。
 便利屋の仕事だ。
 だけどもそれは、彼らでなければできない仕事だった。
 いや、結果的にそうであっただけの話だが。 

 仕事の依頼者は世田谷区にある一軒家を借り、3人で共同生活をしていた。3人はnoteというソーシャルメディアネットワークで知り合ったとのことだった。
 noteがなんであるのかは、テレビで「がっちりマンデー」を観ていたので知っていた。だけどもそんなところで知り合って共同生活をすることになるなんてことがあるのだなあ、と彼らは思った。どうでもいいけど。

 そのシェアハウスで暮らしているのはイエロー、サブ、マリン、の3人だった。
 イエローはヒーローオタクで食べるの大好き。そのため食いしん坊キャラの黄色からとってイエローというハンドルネームを使っている。
 サブは任侠者映画が好きでコワオモテ。そのためハンドルネームをサブとしている。
 マリンは紅一点だが気が荒い。キャバクラ嬢をやっており、貞操観念が緩いので、他の同居人から迫られても受け入れてもいいつもりで一緒に住んでいるが、気性が荒いので誰も手を出さない。
 こんな三種三様な三人であるが、共通の楽しみであるnoteという共通点からそれなりに上手くやってきた。
 それがここに来てトラブルなのだ。

 彼らは生活も趣味もぜんぜん違っており、生活スタイルも合わないので、やっぱり共同生活には無理があったのだ。
 最初はよかったけれども、今ではお互いに顔も合わせたくないというのだ。
 だけどもなぜだかnote内ではうまくやっていた。リアルとバーチャル、それはやっぱり別物なのだ。ネットではうまくやれても、一緒に生活をするにはいろいろと問題があったのだ。

 ボール任しとけ、はボールに関することだけでなく、何かと頼りになる男だ。そして彼にはアイデアがあった。
「ビードロ吸う」の得意技は何と言ってもバンド演奏だ。
 音楽は心だ。音楽が愛だ。音楽は薬だ。音楽があれば、何でもうまくゆく。そう思った彼はメンバーを集めて楽器をシェアハウスのリビングへと持ち込んだ。
 そして「愛こそはすべて」を歌った。あのビデオのように。
 みんなが集まって歌えば、きっとうまくゆく。みんなの心が楽しくなって仲良くなれる。

 だけどもダメだった。絶対にうまくゆくと思っていたのに。
 「だめかあ」
 メンバーはみながっかりした。
 ここはリンゴ擦ったの出番だということでリンゴを擦って配ってみたがだめだった。


「これはもうあの曲を歌うしか無いね」
 うん、そうだ、そうだ。

「街の~はずれに~♪
 たたず~む~シェアハウス~♪
 酒を~片手に~♪
 みんな~で~酒盛り~♪

 行こう~僕らも~♪
 集ま~る~リビング~♪
 楽し~く募れば~♪
 愉快な~仲間~♪

 みんな~住んでるイエロー・サブ・マリン♪
 イエロー・サブ・マリン、イエロー・サブ・マリン♪
 みんな~住んでるイエロー・サブ・マリン♪
 イエロー・サブ・マリン、イン・シェアハウス♪」

 演奏は最高だった。
 みんな喜んでいた。
 これは、僕たち、私達の歌だ。
 ここは、みんなのシェアハウスだ。
 みんな仲良くしよう。

「解散!」

 いい思い出ができたね。
 感動のラストライブだった。
 いいこともわるいこともあった。

 ありがとう、「ビードロ吸う」

おわり。


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甘野充 言葉だけでは伝わりません。 コメントはチップとともに。 「謎解きはディナーの後に、みたいに言うな!」