メリクリ、アケオメ
12月は仕事が忙しい。どうしてこうも忙しいのか、まったく毎日がくたくただ。
クミからのメッセージがLINEに届く。
「コンヤ8ジニ イツモノバショ二 シュウゴウ」
僕はため息をつく。いつもこれだよ。
クミと付き合い始めて半年になる。最初のうちはかわいい娘だな、と思っていたけど、何と言うかワガママ。そんな小悪魔的なところも魅力の一つなんだけど、いい加減にして欲しいなと思うところがある。いつも一方的にデートの時間を決めて、そしてこの命令口調なのだ。
僕はメッセージを無視することにした。だいたい12月は忙しいのだからいつものように会えないことは何度もクミには伝えてあるのだ。
「今日会える? 時間ある?」
とかかわいい言い方ができないものだろうか? 僕はクミのことなど忘れて、忙しい仕事の中に没頭した。
だけど、それ以来クミからの連絡が途絶えた。メッセージも電話もメールも来なくなった。メッセージを送っても、電話をしても、メールをしても、返事は無かった。クミの身に何かあったのだろうか? クミのアパートに行ってみても、ずっと部屋に戻ってきた様子が無い。何かの事件に巻き込まれたのだろうか? 僕は不安になる。
そうは言っても仕事が忙しい。不安に思いながらも、僕は仕事に没頭する。いったいどうしたんだろう?
僕がクミからのメッセージを無視したのは始めてのことだ。彼女は僕がメッセージに返事をしなかったこと、約束を守らなかったことに腹を立てているのだろうか? でも約束って言ったって彼女の一方的な通知だし、それを守る義務などないのだ。とは思いながら、不安な気持ちになる。
もう僕たちは終わりなのだろうか? それよりなにより、クミは生きているのだろうか?
そのまま二週間が経って、僕の手元に一枚のポストカードが届いた。ニューヨークの街並みが映った写真。送り主はクミだ。僕は仕事で疲れた体のままアパートの部屋のソファーに座り、ポストカードに書かれたクミの言葉を確認する。
★ ★ ★
今、ニューヨークの友達のところにいます。
本当は数日の旅行のつもりだったけど、ここがすっごく気に入って帰りたくないの。
クリスマスもパーティがあるんだ。
年末のカウントダウンもココで過ごすよ。
だから、
メリクリ、アケオメ!
P.S. 大好きだよ。
★ ★ ★
僕はニューヨークの街並みを眺める。バーボン・ウィスキーをオン・ザ・ロックにして、ジャズを聴きながら飲んだ。
僕はニューヨークを思い浮かべる。クリスマス・イブは独りで過ごそう。ニューヨークにいる彼女に、僕はスパークリング・ワインで乾杯するよ。
おわり
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言葉だけでは伝わりません。
コメントはチップとともに。
「謎解きはディナーの後に、みたいに言うな!」