始める前に必ず決めること
こんにちは、「笑顔工学」の専門家、木村光範です。
「笑顔工学」についてはこちらの記事をご覧ください。
さて、本日は5月3日、憲法記念日です。
憲法といえば、国の基本となるルールです。
憲法と同じように、
人や組織が何かを始めるときにも、
土台となる考え方が必要だということについて
本日は考えていこうと思います。
国に憲法があるように、会社にも理念があります。
事業にも目的があります。
そして、プロジェクトには、最初に定めるべき「憲章」があります。
プロジェクト憲章
プロジェクトマネジメントの世界には、
プロジェクト憲章という考え方があります。
プロジェクト憲章とは、簡単に言えば、
このプロジェクトは何のために存在するのか
誰のために行うのか
何を目指すのか
誰が責任を持つのか
どこまでを対象にするのか
を、最初に明らかにするものです。
計画書よりも、スケジュールよりも、タスク一覧よりも
前に作成するべき土台です。
なぜなら、目的が曖昧なまま計画を立てても、途中で必ず迷うからです。
最初は小さなズレでも、時間が経つと大きな混乱になります。
関係者が増えるほど、解釈も増えます。
良かれと思って始めたことが、
いつの間にか誰も幸せにしない仕事になってしまうこともあります。
だからこそ、始める前にプロジェクト憲章を定めることが重要なのです。
このプロジェクトは、何のためにあるのか。
誰の笑顔につながるのか。
何を大切にして進めるのか。
このあたりの共通認識を、プロジェクトを始める前に決めるのです。
憲章を、判断のよりどころにする
プロジェクト憲章は、単なる書類ではありません。
私は、憲章とは判断のよりどころだと思っています。
迷ったときに戻る場所であり、
意見が分かれたときに確認する場所です。
そして、忙しさに流されそうになったときに、
再度確認して、原点に立ち返ることができるためのものです。
たとえば介護の現場でDXを進めるなら、こういう憲章が必要です。
このDXは、職員の記録時間を減らすために行う。
このDXは、利用者さんと向き合う時間を増やすために行う。
このDXは、管理者だけが便利になるものではなく、現場全体の負担を軽くするために行う。
このDXは、人を管理するためではなく、人が人らしく働ける環境をつくるために行う。
ここまで定めておけば、判断が変わります。
便利そうな機能があっても、現場の負担が増えるなら慎重になります。
データが取れても、それが人を責めるために使われるなら違うと判断できます。
効率化できても、利用者さんの尊厳が損なわれるなら立ち止まれます。
憲章があるから、判断がブレにくくなるのです。
「何をしないか」を決めることも大切
憲章で大切なのは、何をするかだけではありません。
何をしないかを決めることも大切です。
DXプロジェクトでは、
つい「あれもできる」「これもできる」と広がっていきます。
勤怠もやりたい。
記録もやりたい。
請求もやりたい。
採用もやりたい。
教育もやりたい。
経営分析もやりたい。
もちろん、将来的には全部つながるかもしれません。
しかし、最初から全部やろうとすると、ほとんどの場合うまくいきません。
現場が混乱します。
開発が複雑になります。
費用も時間も膨らみます。
そして、最も大切な目的が見えなくなります。
だから、最初に決める必要があります。
今回は何を実現するのか。
今回は何を捨てるのか。
今回はどこまでやれば成功なのか。
これは、経営全般にも通じることではないでしょうか。
おかしなことはしない。
目的に合わないことはしない。
人を不幸にする効率化はしない。
理念から外れることはしない。
この「しない」を決める力が、プロジェクトを守ります。
技術の前に、理念がある
何事にも技術は重要ですが、
その前に理念が必要です。
何のために使うのか。
誰のために使うのか。
どのような社会を目指すのか。
そこがなければ、技術は簡単に目的を失います。
AIは便利です。
しかし、使い方を誤れば、人を追い詰める道具にもなります。
データは有効です。
しかし、使い方を誤れば、人を数字だけで判断する道具にもなります。
システムは強力です。
しかし、使い方を誤れば、現場の自由や創意工夫を奪うこともあります。
だからこそ、最初に憲章が必要です。
技術を使う前に、思想を定めるのです。
効率を求める前に「徳」すなわち、人を大切にし、信頼を損なわない判断の軸を置きます。
そして、仕組みをつくる前に、人へのまなざしを確認します。
これが重要なのではないでしょうか。
笑顔工学としてのプロジェクト憲章
私の理念は、
「すべての人が笑顔で在り続ける社会づくりに貢献する」
というものです。
この理念から考えると、
プロジェクト憲章にも必ず入れるべき内容があります。
このプロジェクトは、誰の笑顔につながるのか。
その笑顔は、一時的なものではなく、続くものなのか。
現場の誰かに無理を押しつけていないか。
利用者さん、職員、家族、経営者、地域のそれぞれにとって意味があるのか。
そして、徳に反していないか。
私は、これを笑顔工学の世界での
プロジェクト憲章の在り方だと考えています。
プロジェクトは、タスクの集まりではありません。
人の思いと、時間と、資源を使って、未来を少し変える取り組みです。
だからこそ、始める前に問う必要があります。
私たちは、何を実現したいのか。
誰を笑顔にしたいのか。
何を大切にして進むのか。
この問いがあるプロジェクトは、強いです。
途中で困難があっても、戻る場所があります。
意見が分かれても、対話の軸があります。
忙しくなっても、目的を見失いにくくなります。
憲法記念日に考えたいこと
憲法記念日は、国の土台に思いを向ける日です。
そして私は同時に、自分たちの仕事の土台にも思いを向けたいと思います。
会社の土台は何か。
事業の土台は何か。
DXの土台は何か。
プロジェクトの土台は何か。
自分自身の判断の土台は何か。
土台が曖昧なまま進めば、どれほど速く動いても、どこかで崩れます。
逆に、土台がしっかりしていれば、変化の時代にも踏ん張ることができます。
プロジェクト憲章とは、単なる管理文書ではありません。
始める前に、目的と責任と大切にする価値を明らかにするためのものです。
まとめ
システムを入れる前に、憲章をつくる。
AIを使う前に、目的を定める。
業務を変える前に、誰の笑顔のためかを確認する。
その一手間が、プロジェクトを迷子にしないのだと思います。
私はこれからも、ICTと経営工学、そして笑顔工学を通じて、単なるデジタル化ではなく、人が人らしく在り続けるためのDXを進めていきたいと思います。
技術の前に、理念を。
効率の前に、徳を。
計画の前に、憲章を。
憲法記念日に、そんなことを考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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