「信頼関係」を口にすると信頼されない
こんにちは、「笑顔工学」の専門家、木村光範です。
「笑顔工学」についてはこちらの記事をご覧ください。
「信頼関係」という言葉を言ってくる人と
どうも信頼関係が築けないな、と感じることって
ありませんか?
もちろん、信頼関係は、とても大切なものです。
仕事も組織も、人と人との信頼なしには成り立ちません。
でも、
「私を信用してください」
「信頼関係が大切でしょう」
「そんなことを確認するなんて、信用していないんですか」
と言われるとき、警戒してしまうのは
私だけではないのではないでしょうか。
セキュリティは「信用しない」ことから始まる
「ゼロトラスト」というセキュリティの考え方があります。
簡単に言えば、
「最初から安全だと決めつけず、その都度きちんと確認する」
という考え方です。
昔は、会社のネットワークの中に入っている人や端末なら、
ある程度信用するという考え方が一般的でした。
しかし、クラウドが広がり、社外から仕事をし、
さまざまな端末やサービスを利用する時代になりました。
「社内だから安全」
「いつもの人だから大丈夫」
「一度ログインしたから信用する」
だけでは守れません。
そこで、必要な認証を行い、アクセスできる範囲を限定し、
記録を残す仕組みが主流になってきています。
これは、利用者を疑っているからではありません。
安心して利用してもらうために、
最初の信用だけに頼らない仕組みになっているのです。
「信頼しているから確認しない」は危ない
仕事のプロジェクトでも、
「あの人に任せてあるから大丈夫」
「担当者しか分からないけれど、ずっとやっているから大丈夫」
「うちは信頼関係で仕事をしているから、細かな記録はいらない」
ということがあるかもしれません。
一見すると、人を大切にしているようにも聞こえますが、
担当者が休んだらどうなるでしょう。
認識が食い違ったらどうなるでしょう。
数字に間違いがあったらどうなるでしょう。
ですから、常に、
誰が、いつ、何をしたのか。
いま、どこまで進んでいるのか。
何を根拠に判断したのか。
といった、必要な情報を、
必要な人が確認できるようにしていくことは大切なのではないでしょうか。
記録を残し、情報を共有し、仕事を見えるようにすることは、
人を信用していないからではありません。
むしろ逆です。
人を信頼して仕事を任せるために、
信用だけに依存しない仕組みをつくるのです。
「確認すること」と「疑うこと」は違う
ところが、こうした仕組みを導入しようとすると、
「そんなに管理する必要がありますか」
「私のことを信用していないんですか」
という話になることがあります。
でも、確認することと、疑うことは違うはずです。
セキュリティで本人確認をするのは、
その人を犯罪者だと思っているからではありません。
銀行が暗証番号を求めるのも、
顧客を疑っているからではありませんよね。
暗証番号が無かったら、他の人になりすまされて、
あなたの口座が守られないから、暗証番号があるわけです。
すなわち、確認する仕組みがあるからこそ、
安心してサービスを提供できるのです。
これは、組織も同じではないでしょうか。
進捗が見えるから、何度も「どうなっていますか」と聞かなくていい。
記録があるから、「言った」「言わない」で争わなくていい。
数字が共有されているから、誰かの説明だけを信じなくてもいい。
このような仕組みがあることで、むしろ余計な疑いが減っていきます。
信頼は「求めるもの」ではない
ここまで考えてみると、冒頭の違和感の理由も分かってきます。
私はたぶん、
信頼してもらうことを、相手に求める
ということに違和感を感じているのです。
約束を守る。
できないことは、できないと言う。
間違えたら認める。
期限に遅れそうなら、早めに伝える。
必要な情報を隠さない。
それを繰り返しているうちに、
「あの人なら大丈夫だろう」
と思われるようになる、これこそが「信頼」なのだと思います。
「私を信用してください」と言った回数で、
信用が増えるわけではありません。
むしろ、信用を強く要求されるほど、
「なぜ、そこまで信用してもらう必要があるのだろう」
と感じてしまうことさえあります。
人間関係も、セキュリティと同じ
セキュリティの世界では、「信用してください」だけでは
システムを守れません。
だから、権限が明確になり、認証という仕組みがあります。
そして、記録が残ります。
この積み重ねが、安全な状態をつくります。
考えてみれば、人間関係も同じなのかもしれません。
「信頼関係を大切にしよう」と何度言っても、
それだけで信頼関係はできません。
約束を守る。
誠実に説明する。
都合の悪いことも伝える。
間違えたら謝る。
相手が困っていたら助ける。
そんな小さな行動の積み重ねによって、
いつの間にか信頼関係ができているのです。
信頼とは、言葉ではなく、行動の履歴なのだと思います。
まとめ
本当に信頼される人ほど、
「私を信頼してください」とは、
あまり言わないのかもしれません。
DXもセキュリティも、人間関係も同じです。
「信じてください」と求めるのではなく、
安心して信じられる状態をつくる。
それが、本当の意味での「信頼関係」なのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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