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こんにちは、「笑顔工学」の専門家、木村光範です。
「笑顔工学」についてはこちらの記事をご覧ください。

私は、DX(デジタルトランスフォーメーション) を推進する仕事を
多くしております。
DXとは、デジタルの力を使い、業務の仕組みを変え、利益を生み出すことなのですが、そう聞くと、大きなシステム導入やAI活用を想像する人が多いかもしれません。

しかし私は、DXの本質はもっと身近なところにあると思っています。
そのうちの1つが、
小さな約束を守ってもらえる仕組みをつくることです。

仕事は、小さな約束でできている

会社の仕事は、小さな約束の積み重ねでできています。

この日までに入力する。
この場所にファイルを置く。
この形式で報告する。
変更があったら共有する。
確認したらチェックを入れる。
困ったら早めに相談する。

一つひとつは小さなことですが、
この小さな約束が確実に守られることで、
仕事が、きちんと進んでいきます。

小さな約束ですから、守られなくても、
すぐに致命的にならないことも多いです。
しかし、守られていないと、少しずつ混乱が生じます。

情報が見つからない。
誰が対応したかわからない。
同じ確認を何度もする。
後から修正が増える。
誰かの記憶に頼る。

結局、声の大きい人や気が利く人に負担が偏ります。
これは、個人の能力の問題だけではありません。
小さな約束を守りにくい仕組みになっていることが、
原因である場合が多いのではないかと考えます。

人は、約束を破りたいわけではない

現場でデータが入力されない。
報告が遅れる。
決めたルールが守られない。
新しいシステムが使われない。

そんなとき、つい言いたくなります。

「ちゃんと入力してください」
「ルールを守ってください」
「なぜやってくれないんですか」

でも、本当にそうでしょうか。

多くの場合、人は約束を破りたいわけではありません。

忙しすぎる。
入力項目が多すぎる。
どこに入力すればよいかわからない。
入力しても何に使われているかわからない。
現場の流れとタイミングが合っていない。
そもそも、その約束の意味が共有されていない。

こうした状態で「守ってください」と言っても、続きません。

約束を守れない人が悪いのではなく、
守りにくい約束を、守りにくい形で置いてしまっている
ことが問題なのです。

DXは、約束を守りやすくする技術である

だからこそ、DXが必要です。

DXとは、人を監視するためのものではありません。
人を責める材料を集めるためのものでもありません。

本来のDXは、
現場の小さな約束を守りやすくするためにある
と言っても良いと思います。

入力を簡単にする。
迷わない画面にする。
必要な情報だけを聞く。
同じことを二度入力しなくてよくする。
忘れそうなことを通知する。
変更があれば自動で共有される。
見たい人が、見たい情報にすぐたどり着ける。

こうした仕組みがあると、人は自然に約束を守れるようになります。

「ちゃんとやってください」と言い続けるのではなく、
ちゃんとできるように設計することが、
DXの大切な役割ではないでしょうか。

小さな約束が守られると、信頼が生まれる

小さな約束が守られる会社には、安心感があります。

あの情報はここを見ればわかる。
この数字は信頼できる。
変更があれば共有される。
誰か一人の記憶に頼らなくていい。
困ったときに、状況が見える。

この安心感が、信頼になります。

信頼は、大きな言葉だけでは生まれません。
理念を掲げることも大切です。
夢を語ることも大切です。

しかし、日々の小さな約束が守られていなければ、
人は安心して働けません。

小さな約束が守られ続けていると、
現場が安心して仕事ができるようになり、
改善が進み、笑顔が増えていきます。

この循環を、デジタルの力を借りてつくることこそ、
DXの本質なのだと思います。

責めないために、見える化する

ここで大切なのは、見える化の目的です。

見える化というと、
誰ができていないかを明らかにすることだと思われがちです。

しかし、それでは人は萎縮します。

本当に必要なのは、
責めるための見える化ではありません。
助けるための見える化です。

どこで止まっているのか。
誰が困っているのか。
どの作業に時間がかかっているのか。
どの約束が守りにくいのか。
どのルールが現場に合っていないのか。

それが見えれば、人を責める前に、仕組みを直すことができます。

人を責めるDXではなく、
人を助けるDXにしていきましょう。

この考え方が、とても大切なのです。

約束を破られても、責めない

もちろん、どれだけ仕組みを整えても、
約束が守られないことはあります。

人間だからです。

忘れることもあります。
間に合わないこともあります。
体調が悪いこともあります。
思わぬ事情が起きることもあります。

そのときに、人を責めないことも、大切です。

「なぜできなかったのか」と責める前に、
「どうすれば次はできるか」を一緒に考えるようにします。

約束を破った人を裁くのではなく、
約束を守れる環境を整えることが大切なのです。

これは、甘やかすことでは決してありません。
強い組織をつくるための姿勢を共有するということなのです。

責められる組織では、人は隠すようになります。
責められない組織では、人は早めに相談できます。

早めに相談できる組織は、必ず強くなります。

自分自身も責めない

そして、これは自分自身にも言えることです。

自分で決めたことができなかった。
返信が遅れた。
入力を忘れた。
やると言ったことが進まなかった。

そんなとき、自分を責めすぎないことも大切です。

もちろん、反省は必要です。
しかし、責め続けても前には進みません。

大切なのは、自分を責めることではなく、
自分が守れる仕組みをつくることではないでしょうか。

予定に入れる。
通知を使う。
メモを残す。
人に宣言する。
小さく分ける。
無理な約束をしない。
遅れるときは早めに伝える。

自分を律するとは、自分を痛めつけることではありません。
自分が約束を守れるように、自分を支えることです。

笑顔で続けられる仕組みをつくる

私は、すべての人が笑顔で在り続ける社会づくりに貢献する
という理念で生きています。

ですから、自分自身が、いつも笑顔でいることを
大切にしたいと思っています。

笑顔とは、無理に明るく振る舞うことではありません。
無理ではなく、心から感謝をし喜んで生きていくということです。

DXも同じです。

使うたびに責められている気持ちになるシステムでは、
永く続きません。

入力するたびに面倒だと感じる仕組みでは、定着しません。

何のためにやっているかわからないデジタル化では、
人は笑顔になれません。

笑顔で続けられる仕組みにするためには
どうしたら良いのか、というと、答えはシンプルです。

現場の人が楽になる。
管理者が安心できる。
経営者が判断しやすくなる。
お客様への価値が高まる。

そのために、デジタルを使うのです。
そうすれば、関わる人の笑顔が増えていくでしょう。

DXは、信頼のインフラづくりである

DXは、単なる効率化ではありません。

小さな約束を守りやすくすること。
約束が守れなかったときに、責めずに直せること。
情報が自然に流れること。
人が安心して働けること。
信頼が積み上がること。

そう考えると、DXは
信頼のインフラづくりとも言えるのではないでしょうか。

道路や水道のように、当たり前にあって普段は目立ちませんが、
けれど、それが整っているから、人は安心して動けるのです。

小さな約束が自然に守られる会社は、強く温かい会社です。
こういう仕組みがあれば、私が千年企業と呼んでいる
永続する仕組を有する企業になるのではないでしょうか。

まとめ

大きなDXを始める前に、今日できることがあります。

現場で守られていない小さな約束を一つ見つけてみて、
なぜ守りにくいのかを考えてみましょう。
そして、過去を責めずに、仕組みを少し変えていきましょう。

入力項目を一つ減らす。
保存場所を一つにする。
通知を一つ入れる。
手順を一枚にまとめる。
二重入力を一つなくす。
相談しやすい空気をつくる。

それだけでも、現場は変わります。

DXとは、遠くにある大改革ではありません。

今日、誰かが約束を守りやすくなること。
今日、誰かが責められずに済むこと。
今日、誰かが少し笑顔で働けること。

その積み重ねが、
すべての人が笑顔で在り続ける社会につながっていくのだと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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