数字より、守るべきもの
こんにちは、「笑顔工学」の専門家、木村光範です。
「笑顔工学」についてはこちらの記事をご覧ください。
不正会計の事件などが報道されるたび、
どれほど優れた経営戦略や成長ストーリーがあっても、
最後に組織を支えるのは誠実さであり、
そしてその誠実さを日々の行動に根づかせるのが感謝なのだ、
ということに気づかされます。
企業経営において、数字はもちろん大切です。
売上、利益、成長率、株価。どれも企業の現在地を示す重要な指標です。
しかし、数字はあくまで「結果」であって、
「目的」そのものではありません。
もし数字の達成だけが絶対化されてしまえば、
人はやがて「どう達成するか」よりも
「達成したように見せること」に引き寄せられてしまうものです。
「数字を必達する」という経営者は、
いずれ数字を作り出す(捏造する)誘惑に駆られる
偽りの達成で失われるのは、根本にある信頼です。
信頼は、企業にとって最も大きな資産です。
そして信頼は、派手なスローガンや立派な計画から生まれるものではありません。日々の小さな誠実さの積み重ねからしか生まれません。
誠実とは「都合の悪い真実」を扱う力
誠実という言葉は、きれいごとのように聞こえることがあります。
でも本当の誠実さは、むしろ厳しいものではないでしょうか。
うまくいっていないときに「うまくいっていない」と言えること
目標に届かないときに、無理に飾らず「未達です」と報告できること。
問題が起きたときに、誰かに押しつけず、自分たちの課題として引き受けること。
誠実とは、単に嘘をつかないことではありません。
都合の悪い真実から逃げないことです。
組織の中で不正やごまかしが生まれるとき、
多くの場合、最初から悪意だけで始まるわけではないのだと思います。
「今回だけは何とかしよう」
「来期で取り返せばいい」
「関係者をがっかりさせたくない」
そんな小さな妥協が積み重なり、
やがて取り返しのつかない事態になるのです。
私も、かつて、急速に悪化する経営の数字を直視せず、
楽観的な数字をもとに経営を続け、
取り返しのつかない事態になった経験があります。
だからこそ、心から言えます。
都合の悪い真実からは、決して逃げてはいけないのです。
大切なのは、結果が悪いときほど、
真実をそのまま扱える組織であることではないでしょうか。
厳しさや圧力や見栄ではなく、現実を正しく見て、明るく仲良く対話を重ね、1つずつ信頼を積み重ねていくことが、持続的な成長をし続ける組織には必要不可欠です。
感謝のない場所では、人は「道具」になる
そんな中、大切なことは「感謝」だと考えています。
「感謝」というと、礼儀やマナーの話に見えるかもしれませんが、
ここで言う感謝は、組織の根幹に関わる姿勢です。
感謝がある組織では、人は「数字を出すための部品」ではなく、
尊重される存在として扱われます。
現場で踏ん張る人、葛藤しながら判断する人、
勇気を出して問題を伝える人。
そうした一人ひとりの存在に対して、
「いてくれてありがとう」という感覚があるかどうか。
そこが決定的に違うのだと思います。
感謝のない組織では、相手を「使う対象」と見るようになります。
目標を達成するために動かす人。
責任を引き受けさせる人。
都合が悪くなれば黙らせる人。
そうなると、どうしても、関係性が冷え込んでいきます。
反対に、感謝がある組織では、無理が起きたときでも
早めに気づけるようになります
「この負荷は大きすぎないか」
「この目標設定は現場を追い詰めていないか」
「この報告の裏に、言えない苦しさはないか」
そのように考えることができるようになります。
感謝をすると、
相手の献身や苦労を見ようとすることにつながります。
それは、不正を防ぐための重要な土台にもなります。
「言える空気」が、組織の未来を守る
誠実さも感謝も、結局は組織の空気に表れます。
問題を見つけた人が声を上げられる状況にあるでしょうか。
上司に対して「それは危険です」と言える組織になっているでしょうか。
そして、経営トップに対しても、取締役会や監査の立場から本気で異議を唱えられるような会にになっているでしょうか。
この「言える空気」があるかどうかが、
組織の成熟度を決めるのだと思います。
きちんと言いたいことが言えないことが常態化した組織は、
外から見ると強そうに見えても、内側ではとても脆いものです。
なぜなら、真実が上に届かないからです。
真実が届かなければ、判断は必ず狂います。
判断が狂えば、優秀さもスピードも、
やがて組織を誤った方向へ加速させてしまいます。
だから本当に必要なのは、恐れによる統制ではなく、
誠実な対話による統治です。
トップには、異論を受け止め、より良い方法を探求する力が必要です。
管理の厳しさ以上に、現場の声を聴く謙虚さが
企業の信頼を守ります。
感謝は、見えない支えに気づく力
私たちはつい、成果を出した人にだけ光を当てがちです。
しかし実際には、どんな成果も一人では生まれません。
数字の裏には、現場で汗をかく人がいます。
失敗を未然に防ごうとする人がいます。
法務、経理、監査、総務のように、
目立たなくても組織を支えている人たちがいます。
そして市場には、その企業を信じて資金を託す投資家がいます。
商品やサービスを選んでくれる顧客がいます。
企業活動を支える地域社会があります。
そもそも、その事業を始めた人(創業者)がいます。
最初のお客様となってくれた方がいます。
そして、創業者は、その両親が居なければ生まれてきませんでした。
その1つ1つ、1人1人から受けた
見えにくい支えに気づくことが「感謝」なのだと言えます。
自分たちは多くの信頼の上に立っています。
自分たちの数字は、自分たちだけのものではありません
この感覚があれば、決算書一つ、報告書一つ、もっと丁寧に扱うはずです。
なぜならそれは単なる書類ではなく、信頼への返答だからです。
誠実であることは、弱さではなく強さである
時に、誠実であることは非効率に見えるかもしれません。
正直に課題を認めれば、批判を受けることもあるでしょう。
目標未達をそのまま出せば、評価が下がることもあるかもしれません。
それでも、誠実さを手放してはいけないのです。
なぜなら、誠実であることは「弱さ」ではなく、
長く信頼されるための強さだからです。
一時的に数字を整えることはできても、
失った信頼を取り戻すには長い年月がかかります。
そして、その過程で最も苦しむのは、現場で懸命に働く人たちです。
だからこそ、経営において最優先されるべきは、短期的な見栄ではなく、長期的な信頼であるはずです。
これから私たちが大切にしたいこと
社会全体が成果やスピードを求める時代だからこそ、改めて大切にしたいことがあります。
それは、
「できなかったことを正直に言えること」
「支えてくれる人に感謝できること」
「間違いを認め、やり直せること」
この当たり前を、当たり前のまま守ることです。
誠実さは、信頼を生みます。
感謝は、関係を育てます。
その二つがそろってはじめて、組織は人を幸せにしながら成長できるのだと思います。
数字は大切です。
でも、数字より先に守るべきものがあります。
それは、人としてのまっすぐさであり、
支え合って生きていることへの敬意です。
企業も、社会も、私たち一人ひとりも、」
誠実であること
感謝を忘れないこと。
その積み重ねの先にしか、本当の信頼も、持続する豊かさもないのだと、
私は改めて思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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