【ドイツ関連】フランツ・リストのピアノ曲紹介
この記事ではドイツ語文化圏(オーストリアや一部スイス含む)に関連する曲を紹介します。
フンメルの大七重奏曲 (第1番) S.493
オーストリア系作曲家ヨハン・ネポムク・フンメルの「七重奏曲 第1番 Op.74」のトランスクリプション。1848年作。原曲はピアノが主役で他の楽器は伴奏の役割に回っているため、ピアノ独奏曲に編曲しても違和感ない。この曲はピアノ五重奏曲もあり、その七重奏曲と五重奏曲ともにリストがピアノパートを校訂しているが、その校訂作業がこの曲のトランスクリプションを作るきっかけとなった。ベートーヴェンの七重奏曲のトランスクリプションほど原曲に忠実ではない。
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章
「アルフレート王」よりアンダンテ・フィナーレと行進曲 (ラフ) S.421
リストの秘書をしていたヨアヒム・ラフのオペラ「アルフレート王」より。1853年作。このオペラの普及のために作られた編曲作品だが効果はあまりなかった。
演奏はソヨン・ケイト・リー。
第1曲 アンダンテ・フィナーレ S.421/1
第2曲 行進曲 S.421/2
ラフの「ワルツ Op.54/1」への序奏とコーダ S.551a
リストサークルの一員だったヨアヒム・ラフの「奇想舞曲 Op.54/1」に序奏とコーダを付け加えたもの。1880年頃に作られたと推測される。リナ・ラーマンの著書「Liszt-Pedagögium」に掲載されたが、「変イ調のワルツ」への追加と誤って言及された。後に正しい作品(Op.54/1)が判明する。
ダンテのソネット "いと優美で誠実なり" (ビューロー) S.479
リストの弟子で当時の偉大なピアニスト、指揮者であったハンス・フォン・ビューローの歌曲の忠実なトランスクリプション。1874年作。その歌曲の詩はダンテによる。
演奏はジョヴァンニ・ベルトラッツィ。
ツィゴイネル・ポルカ (コンラーディ) S.481
リストの秘書であったアウグスト・コンラーディの管弦楽作品の編曲。この曲は舞曲が連なった曲。およそ1847年に作られた。ちなみにこの曲のコンラーディ本人によるピアノ稿もある。ツィゴイネルとはジプシーの意。リストの編曲はハンガリー風味が強調されている。
デッサウアーの歌曲集 S.485
オーストリアの作曲家ヨーゼフ・デッサウアーによる歌曲のリストによるトランスクリプション。1846年作。デッサウアーは優秀な歌曲作家であり、ショパンにOp.26のポロネーズを献呈されている。
演奏はヴァレリー・トライオン。
第1曲 誘惑 S.485/1
原曲はヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフの詩による。
第2曲 二つの道 S.485/2
原曲はジークフリート・カッパーの詩による。
第3曲 スペインの歌 S.485/3
原曲はクレメンス・ブレンターノの詩による。
「七つの大罪」より愛の情景とフォルトゥナの水晶玉 (ゴルトシュミット) S.490
ウィーンのアマチュア作曲家アダルベルト・フォン・ゴルトシュミットによるオラトリオ「七つの大罪」による。1880年作。ゴルトシュミットの作風はワーグナーやリストの影響が大きい。作品はアマチュアっぽいところがあるが、リストは作品の価値を高めるために改善し編曲している。
演奏はマーティン・カズン。
第1曲 愛の情景 S.490/1
第2曲 フォルトゥナの水晶玉 S.490/2
ユリウス・ヴォルフの「タンホイザー」による3つの歌曲 (レスマン) S.498
ユリウス・ヴォルフの戯曲「タンホイザー」へオットー・レスマンが書いた歌曲のリストによるトランスクリプション。およそ1882年作。レスマンはジャーナリスト、劇場管理人、プロデューサーでもあり、この歌曲は舞台用に作曲された可能性もある。
演奏はヴァレリー・トライオン。
第1曲 陽春は来たり S.498/1
第2曲 酒宴の歌 S.498/2
第3曲 君は僕を見つめ S.498/3
薔薇 - ロマンス (「ゼミーレとアゾール」より) (シュポーア) S.571
ルイ・シュポーアのオペラ「ゼミーレとアゾール」より。1876年初版。このオペラは忘れ去られていたが、このオペラ内歌曲「薔薇」だけは「薔薇は優しく咲き乱れ(Rose softly blooming)」という大衆歌として親しまれていた。
演奏はソヨン・ケイト・リー。
タウジヒの「奇想ワルツ 第3番」への序奏と終結部 (J.シュトラウスⅡ世) S.571a
リストの弟子カール・タウジヒの作品「新ウィーンの夜会 - 奇想ワルツ 第3番」はヨハン・シュトラウスⅡ世の「投票 Op.250」を原曲とする奇想ワルツ。その作品への序奏と終結部。およそ1880年作。かつてアメリカでこの序奏部と終結部のみが独立した作品として出版されたこともあった。音楽学者ロバート・スレルフォールがこの作品をタウジヒの作品への追加部と断定した。自筆譜はアメリカ議会図書館に所蔵。
ゴータの王侯の棺桶島 - ザクセン=コーブルク=ゴータ公エルンストの歌曲 S.485b
ザクセン=コーブルク=ゴータ公であるエルンストII世の歌曲のトランスクリプション。1842年作。その歌曲の詩はアポロニウス・フォン・マルティッツによる。エルンストの客人としてリストがコーブルクの領地に滞在していた際に作曲。1985年に初めて出版される。
演奏はジョエル・ヘイスティングス。
やあ! - 「トニー」より狩りの合唱とシュタイアー人 (エルンスト) S.404
ヴィクトリア女王の従兄であったザクセン=コーブルク=ゴータ公エルンストII世のオペラ「トニー、または報い」より。1849年作。リストはこのオペラの指揮をしたこともある。
演奏はハン・チェン。
アルバムの綴り (ゴットシャルク) S.166s
リストが他人のために書き留め贈呈した、ちょっとした譜面。1870年作。リストの弟子でオルガニストのアレクサンダー・ゴットシャルクの旋律を引用している?
アルバムの綴り "ラルゲット" (ヘンゼルトの協奏曲) S.167p
リストが他人のために書き留め贈呈した、ちょっとした譜面。1883年作。アドルフ・ヘンゼルトの「ピアノ協奏曲 第2番 Op.16」の第2楽章より旋律を引用している。
アルバムの綴り "ライプツィヒ" S.163d/i
「憂欝なワルツ S.214/2」の旋律を使用した楽想。1840年作。
アルバムの綴り "ウィーン" S.164a
「憂欝なワルツ S.214/2」の旋律を使用した楽想。1840年作。
アルバムの綴り "ライプツィヒ" S.164b
何の旋律か不明。1840年作。
アルバムの綴り "デトモルト" S.164d
何の旋律か不明。1841年作。
アルバムの綴り "アレグレット" (ベルリン) S.167n
リストが他人のために書き留め贈呈した、ちょっとした譜面。1842年作。
● 楽譜紹介
新リスト全集の楽譜では今回ご紹介した楽曲は以下のものに収録されています

・フンメルの大七重奏曲 (第1番) S.493

・「アルフレート王」よりアンダンテ・フィナーレと行進曲 (ラフ) S.421
・ダンテのソネット "いと優美で誠実なり" (ビューロー) S.479
・薔薇 - ロマンス (「ゼミーレとアゾール」より) (シュポーア) S.571
・ツィゴイネル・ポルカ (コンラーディ) S.481
・デッサウアーの歌曲集 S.485
・「七つの大罪」より愛の情景とフォルトゥナの水晶玉 (ゴルトシュミット) S.490
・ユリウス・ヴォルフの「タンホイザー」による3つの歌曲 (レスマン) S.498
・ゴータの王侯の棺桶島 - ザクセン=コーブルク=ゴータ公エルンストの歌曲 S.485b
それではみなさま良い一日を
