【ピアノ協奏曲】フランツ・リストのピアノ曲紹介
この記事ではリストのピアノ協奏曲を紹介します。
ピアノ協奏曲 第1番 S.124
リストの代表的なピアノ協奏曲。1830年代から書き始め、複数回の改訂を経て1856年に完成にいたるが、その最終稿以前の原稿には「交響的協奏曲」と書き入れている。楽章分けはされていないが4部に分けて考えることができる。ヘンリー・リトルフへ献呈されているが、リトルフも4つの「交響的協奏曲」を書いていて、それら作品からの影響も考えられる。主題変容という技法を用い全体の統一感を高めている。初演はリスト独奏、ベルリオーズの指揮で行われた。リストはワーグナーらと共に革新派とみなされていたため、保守派の論客エドゥアルト・ハンスリックにこの作品を「トライアングル協奏曲」と揶揄されてしまう。
演奏はスヴャトスラフ・リヒテル独奏、キリル・コンドラシン指揮によるロンドン交響楽団。
ピアノ協奏曲 第2番 S.125
第1番同様にリストの代表的なピアノ協奏曲のひとつ。1839年に書き始め、1861年完成。若き日に草稿が書かれ後年手直しをして完成させたこと、単一楽章であること、草稿の段階で「交響的協奏曲」と書かれていたことなども第1番と共通している。その一方で外面的な部分もある第1番に対し、こちらは概ね内省的、叙情的。複数楽章制ではなく主題変容の技法を使用した大きな単一楽章の(当時としては珍しい)形式を使用した弁明としてリストは「新しいワインには新しいボトルが必要なのだ」と語っている。弟子のハンス・フォン・ブロンザルトへ献呈され、リスト指揮&ブロンザルト独奏で初演された。
演奏はスヴャトスラフ・リヒテル独奏、キリル・コンドラシン指揮によるロンドン交響楽団。
ピアノと弦楽のための協奏曲 "呪い" S.121
ピアノと弦楽のみという珍しい編成のための単一楽章の協奏曲。通称「呪い」と呼ばれるが、リスト自身が序盤の主題をそう呼んだからそのような通称で呼ばれるようになった。およそ1833年に書かれた。その序盤の主題は「嵐 S.160/5」の序盤の主題との類似性を指摘されている。また中盤では「忘れられたワルツ 第3番 S.215/3」と似通った旋律も聞かれる。
演奏はミシェル・ベロフ独奏、クルト・マズア指揮によるライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団。
協奏曲 (変ホ長調) S.125a
リストが出版せずにお蔵入りにしたピアノ協奏曲で第1、第2番と同様に単一楽章。およそ1836年から1839年にかけて書かれた。この作品の自筆譜は以前は「ピアノ協奏曲 第1番 S.126」のために書かれた初期の譜面の一部だと誤解されていたが、ジェイ・ローゼンブラット教授が別の作品だと断定したもの。通称「ピアノ協奏曲 第3番」と呼ばれている。この作品の譜面を再現するためにローゼンブラット教授はモスクワ、ワイマール、ニュルンベルクに散らばっていた自筆譜をかき集め、さらに写譜家による写譜も使用して再現した。
演奏はスティーヴン・メイヤーの独奏、タマーシュ・ヴァーシャリの指揮するロンドン交響楽団。
悲愴協奏曲 〔リスト/ロイス共編〕 S.365b
ピアノ独奏曲「演奏会用大独奏曲」をリストの弟子エドゥアルト・ロイスがピアノ協奏稿へ編曲し、リスト自身がいくつかの変更を加えたもの。1885年から1886年にかけて作られた。リストはこの編曲をロイスのものとして出版するように手配したため、リストの作品カタログでこの作品が言及されることは少ない。
演奏はルイ・ロルティ独奏、ジョージ・ペーリヴァニアン指揮によるハーグ・レジデンティ管弦楽団。
【関連作品】
ピアノ協奏曲 第1番 〔1854年稿〕
奏者のオーザン・マーシュ自身が発見したとされる1854年に書かれたピアノ協奏曲第1番の自筆譜。最終稿との一番大きな違いは、ピアノを伴奏として幻想的なクラリネットソロがあるところ。
演奏はオーザン・マーシュ独奏、ポール・フリーマン指揮によるロンドン・フィルハーモニー管弦楽団。
管弦楽の無い協奏曲 S.524a
「ピアノ協奏曲 第2番 S.125」の初期の草稿で、この時点ではとりあえずピアノ独奏として書かれている(ただしリストはピアノ独奏曲の譜面においても他の楽器挿入をほのめかす書き込みをすることがあり、この曲にも書かれている)。およそ1839年作。本来は無題だが、上記タイトルはシューマンに倣ってハワードが付けたもの。
アルバムの綴り S.163a/1
2000年にサザビーのオークションで出品されたもの。譜面にはリストの自筆で「3 avril 1828」(1828年4月3日)と書かれている。「ピアノ協奏曲 第2番 S.125」のスケッチにて素材として使用され、変形はしているものの最終稿にもその名残が見られる。
巡礼の年 第1年 スイス 第5曲 嵐 S.160/5
旅人のアルバムからの改訂ではなく、この曲は新たに作られた作品。タイトルはバイロンの詩「チャイルド・ハロルドの巡礼」による。ピアノ協奏曲「呪い S.121」の冒頭との類似性を指摘されている。練習曲に近い性格。
演奏はアルフレート・ブレンデル。
忘れられたワルツ 第3番 S.215/3
4つの忘れられたワルツは後期作品であり、優美で洗練されたワルツ。この第3番は1883年作。
演奏はスヴャトスラフ・リヒテル。
8つの変奏曲 (創作主題による) S.148
自作主題の変奏曲。セバスチャン・エラールに献呈。同じ主題が「ピアノ協奏曲 (第3番) S.125a」にも使用されている。
演奏はエステラ・テレルマン。
華麗なるアレグロ S.151
フンメルやチェルニーの影響を抜けきれていない習作的ショウピース。主題が「ピアノ協奏曲 (第3番) S.125a」へ転用されている。
演奏はフランス・クリダ。
華麗なるロンド S.152
同じくフンメルやチェルニーの影響を抜けきれていない習作的ショウピースで、主題が「ピアノ協奏曲 (第3番) S.125a」へ転用されている。
【その他】
ピアノ協奏曲 第2番 〔カツァリス編〕
ピアニストのシプリアン・カツァリスがリストの協奏曲第2番をピアノ独奏編曲している。
ザウアーによるピアノ協奏曲 第1番
リストの二人の弟子の共演による1938年の歴史的録音。演奏はエミール・フォン・ザウアー独奏とフェリックス・ワインガルトナー指揮によるパリ音楽院管弦楽団。
ザウアーによるピアノ協奏曲 第2番
同じくエミール・フォン・ザウアー独奏とフェリックス・ワインガルトナー指揮のパリ音楽院管弦楽団による演奏。
それではみなさま良い一日を
