【ベルリオーズ作品編曲】フランツ・リストのピアノ曲紹介
この記事ではエクトル・ベルリオーズの作品の編曲や関連作品を紹介します。
ある芸術家の生涯の出来事 - 幻想大交響曲 (ベルリオーズ) S.470
ベルリオーズの有名な「幻想交響曲」の初期稿のピアノスコア(トランスクリプション)。リストの「標題音楽(Program Music)」という考え方に大きな影響を与えた作品。1833年作。ベルリオーズによる原曲は最初は出版社が見つからず1845年にやっと初版されるが、このリストによる編曲は1834年に原曲より先に出版されている。シューマンが幻想交響曲の批評をする際には原曲ではなくこのリスト編曲の楽譜を参照した。ベルリオーズは初期稿から1845年の初版に至るまで改訂を重ねているが、ピアニストたちはこのリスト版のピアノスコアを演奏する際に、そのベルリオーズによる改訂も含めて演奏することもある。第4楽章のみ後に改訂される。第5楽章はリストの死の舞踏で有名なグレゴリオ聖歌「怒りの日」が引用されている。
演奏はイディル・ビレット。
第1楽章 夢、情熱
第2楽章 舞踏会
第3楽章 野の風景
第4楽章 断頭台への行進
第5楽章 魔女の夜宴の夢
イデー・フィクス - ベルリオーズの旋律によるアンダンテ・アモローソ S.395
イデー・フィクス(固定楽想)とはベルリオーズの用いた作曲技法で、簡単にいうとワーグナーのライトモティーフのようなもの。幻想交響曲で固定楽想として使用されている旋律を主題として書いた夜想曲。1846年作。この曲は後に改訂され、幻想交響曲の第4楽章のトランスクリプションの前奏曲として用いられる。
演奏はピエール・レアク。
幻想交響曲(ある芸術家の生涯の出来事)の断頭台への行進 (ベルリオーズ) S.470a
ベルリオーズの「幻想交響曲」のトランスクリプションの第4楽章を後に改訂した際に、ベルリオーズの主題を使用した作品とセットにしたもの。1865年作。
第4楽章への序奏 - イデー・フィクス 〔第2稿〕 S.470a/1
ベルリオーズの幻想交響曲で使用されている固定楽想(イデー・フィクス)を主題として用いたリストのオリジナル作品の第2稿。曲種は夜想曲。第1稿から第2稿で調性がイ長調からロ長調へ変更されている。
第4楽章 断頭台への行進 〔最終稿〕 S.470a/2
ベルリオーズの「幻想交響曲」のトランスクリプションの第4楽章を改訂したもの。自筆譜はアメリカ議会図書館に所蔵されている。音楽の輪郭をよりはっきりさせるために、技巧的な複雑さを省いている。
ベルリオーズの「レリオ」の主題による交響的大幻想曲 S.120
ベルリオーズが自身の幻想交響曲への続編として書いた叙情的モノドラマ「レリオ、あるいは生への復帰」の2つの主題を使用してリストが書いたピアノと管弦楽のための幻想曲。1834年作。この作品の自筆譜は行方不明だったが、近年フランスのとあるオークションで出品された。
演奏はミシェル・ベロフ独奏、クルト・マズア指揮によるライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団。
イタリアのハロルド "4部の交響曲" 〔ヴィオラを伴うピアノスコア〕 (ベルリオーズ) S.472
ベルリオーズのヴィオラ独奏を伴う交響曲である「イタリアのハロルド」をリストがヴィオラ独奏付きピアノスコアにしたもの。ベルリオーズは最初に書いた原稿を実際に出版する際に改訂した。およそ1836年作。1879年初版。ちなみにリストはベルリオーズ作品の普及に熱心に取り組み、「ベルリオーズとハロルド交響曲」という記事も書いている。
演奏はジェラール・コセ(ヴィオラ)とフランソワ=ルネ・デュシャーブル(ピアノ)。
第1楽章 山におけるハロルド - 憂愁、幸福と歓喜の場面
第2楽章 巡礼者の行進 - 夕べの祈祷を歌う
第3楽章 セレナード - アブルッチの山人が、その愛人によせる
第4楽章 山賊の饗宴 - 前後の追想
祝福と誓い - 「ベンヴェヌート・チェッリーニ」の2つの動機による (ベルリオーズ) S.396
ベルリオーズのオペラ「ベンヴェヌート・チェッリーニ」を普及させるためにリストが出版した作品。1852年作。
演奏はアルフレート・ブレンデル。
「イタリアのハロルド」の巡礼者の行進 〔第2稿〕 (ベルリオーズ) S.473ii
ベルリオーズのヴィオラ付き交響曲「イタリアのハロルド」の第2楽章「夕べの祈祷を歌う巡礼の行列」のトランスクリプション。1862年改訂。
演奏はフェン・ビアン。
「ファウストの劫罰」の妖精の踊り(ワルツ) (ベルリオーズ) S.475
ゲーテの「ファウスト」に基づくベルリオーズの劇的物語「ファウストの劫罰」より。およそ1860年作。このリストによる編曲は出版譜によっては「妖精の踊り」や「妖精のワルツ」という具合にタイトルが定まらないが、ベルリオーズのオリジナルスコアは「妖精のバレエ」となっている。
演奏はジュゼッペ・アルバネーゼ。
「宗教裁判官」序曲 (ベルリオーズ) S.471
ベルリオーズは「宗教裁判官」というオペラを作ろうとしたが結局完成せず、その序曲だけ出版した。そのトランスクリプション。1833年作。
演奏はフェン・ビアン。
「リア王」序曲 (ベルリオーズ) S.474
ベルリオーズの「リア王序曲」のトランスクリプション。1833年作。リストの編曲が出来た後にベルリオーズはこの作品を改訂している。この編曲はイギリスのリスト協会により1987年に初めて出版される。(リスト本人が公で演奏していなければ)この作品の初演は1987年のウィグモアホールのレスリー・ハワードによるもの。
演奏はフェン・ビアン。
アルバムの綴り "ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ" (レリオ) S.167g
リストが他人のために書き留め贈呈した、ちょっとした譜面。ベルリオーズの「レリオ」の旋律を引用している。1835年作。
【関連作品】
夕べの祈祷を歌う巡礼の行列 (交響曲「イタリアのハロルド」より) 〔第1稿〕 (ベルリオーズ) S.473i
ベルリオーズの交響曲「イタリアのハロルド」の第2楽章のリストによるトランスクリプションの未発表の初稿。1836年から1837年にかけて作られる。第2稿より原曲に忠実。
「ファウストの劫罰」の妖精の踊り 〔第1稿〕 (ベルリオーズ) S.474a
妖精の踊りの初稿で、写譜家による写譜がワイマールのゲーテ=シラー・アルヒーフに所蔵されている。
【その他】
幻想交響曲 〔ペトロフ編〕
ロシアの名ピアニストだったニコライ・ペトロフはリスト版の幻想交響曲を若干編曲して演奏している。
第1楽章 夢、情熱
第2楽章 舞踏会
第3楽章 野の風景
第4楽章 断頭台への行進
第5楽章 魔女の夜宴の夢
幻想交響曲 〔デュシャーブル編〕
フランスの名ピアニスト、フランソワ=ルネ・デュシャーブルはピアニスティックなリスト版「幻想交響曲」をシンフォニックに編曲している。
● 楽譜紹介
新リスト全集の楽譜では今回ご紹介した楽曲は以下のものに収録されています

・ある芸術家の生涯の出来事 - 幻想大交響曲 S.470
・「宗教裁判官」序曲 (ベルリオーズ) S.471
・「リア王」序曲 (ベルリオーズ) S.474
・「イタリアのハロルド」の巡礼者の行進 〔第2稿〕 (ベルリオーズ) S.473ii
・イデー・フィクス - ベルリオーズの旋律によるアンダンテ・アモローソ S.395
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・祝福と誓い - 「ベンヴェヌート・チェッリーニ」の2つの動機による (ベルリオーズ) S.396
・「ファウストの劫罰」の妖精の踊り(ワルツ) (ベルリオーズ) S.475
・第4楽章 断頭台への行進 〔最終稿〕 S.470a/2

・イタリアのハロルド "4部の交響曲" 〔ヴィオラを伴うピアノスコア〕 (ベルリオーズ) S.472
それではみなさま良い一日を
