【シューベルト作品編曲】フランツ・リストのピアノ曲紹介
この記事ではシューベルト作品の様々な編曲を紹介します。
大幻想曲 "さすらい人" (シューベルト) S.366
リストのお気に入りであったシューベルトのピアノ独奏曲「さすらい人幻想曲」をピアノと管弦楽のための協奏曲へ編曲したもの。1851年作。シューベルトの独奏曲よりピアニストへの技巧的負担は少ない。この編曲もとても人気のある時期があった。
演奏はアルフレート・ブレンデル独奏、ミヒャエル・ギーレン指揮のウィーン・フォルクスオーパー管弦楽団。
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章
幻想曲 (さすらい人) Op.15 〔指導版〕 (シューベルト) S.565a
シューベルトの「さすらい人幻想曲 D760」のリストによる校訂版。この作品の学習者に新たな示唆を与えるもの。通常校訂譜は編曲が加えられることはないが、リストはオッシアとして新たな選択肢を用意したり、追加パッセージを加えたりしている。よって「リスト編曲版」とみなしても問題はない。およそ1868年作。リストにとって重要な作曲技法「循環形式」を使用した先駆的作品であり、リストは非常に大きな影響を受けている。
演奏はジェルジ・オラヴェッツ。
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章
ハンガリーの旋律 〔第1稿〕 (シューベルト) S.425
シューベルトのピアノ連弾曲「ハンガリー風ディヴェルティメント D.818」をピアノ独奏曲へ編曲したもので、リストはタイトルを変更している。1838年から1839年にかけて作られた。「ハンガリー風」といってもハンガリー民謡を使用しているわけでなく、「ハンガリージプシー音楽風の」という意味。シューベルトによる原曲は3楽章制のひとつの作品としているが、リストは独立した3つの曲とし、個別に演奏してもよしとしている。当時第2番のハンガリー行進曲が人気となり、リストは第2番のみ何回も変更を加えて出版している。ちなみにハンガリー行進曲はブゾーニによるピアノロール録音が残されている。
演奏はジェルジ・オラヴェッツ。
第1番 S.425/1
第2番 ハンガリー行進曲 〔ディアベッリ第1版〕 S.425/2i
第3番 S.425/3
ハンガリーの旋律 (ハンガリー風ディヴェルティメントより/2手のため) 〔簡易稿〕 (シューベルト) S.425bis
リストはシューベルトの「ハンガリー風ディヴェルティメント D.818」のトランスクリプションを作り「ハンガリーの旋律」と名付けた。その曲集を短縮、簡素化したもの。1846年作。おそらくリストはこの曲集が(第2番を除いて)あまり取り上げられていないと気付いていたため、より多く取り上げられるため演奏しやすいものを作ったと推測される。この稿は150年以上絶版となっていた。
演奏はドミニク・チェリ。
第1番 S.425bis/1
第2番 ハンガリー行進曲 〔ディアベッリ第2版〕 S.425bis/2
第3番 S.425bis/3
行進曲集 (ピアノフォルテのための編曲) (シューベルト) S.426
シューベルトのピアノ連弾曲のいくつかの行進曲を組み合わせてピアノ独奏編曲したもの。1846年作。リストはこの3つに「ハンガリー行進曲 S.425/2」を加えて、「シューベルトの4つの行進曲」という管弦楽曲も作っている。
演奏はマルク=アンドレ・アムラン。
第1曲 葬送行進曲 - 葬送大行進曲 S.426/1
シューベルトのピアノ連弾曲「6つの大行進曲 D.819」の第5番のトランスクリプション。
第2曲 大行進曲 S.426/2
シューベルトのピアノ連弾曲「6つの大行進曲 D.819」の第3番と「葬送大行進曲 D.859」を組み合わせたもの。
第3曲 性格的大行進曲 S.426/3
シューベルトのピアノ連弾曲「2つの性格的行進曲 D.886」の第1番と第2番、「6つの大行進曲 D.819」の第1番と第2番の素材を組み合わせたもの。
軍隊行進曲 - 演奏会用大パラフレーズ (シューベルト) S.426a
シューベルトのとても有名な「3つの軍隊行進曲 D.733」の第1番のピアノパラフレーズ。およそ1870年頃に作られたと推測される。リストの作品カタログでこの曲が言及されることは滅多にない。この曲のピアノ独奏編曲としてはタウジヒ(リストの弟子)によるものが非常に有名で、タウジヒが死去した際にリストはその追悼文にてタウジヒによる編曲を絶賛した。おそらくリストはタウジヒの編曲への配慮から、自身の編曲の出版を控えたと推測される(結局後に出版された)。
演奏はシプリアン・カツァリス。
即興曲 Op.90/2 (変ホ長調) 〔指導版〕 (シューベルト) S.565b/1
シューベルトの「即興曲 D.899/2」のリストによる校訂版。およそ1868年作。リストによるオッシアが別の選択肢として提供されている。リストはシューベルトの即興曲を全曲校訂しているが、この2曲のみ編曲といえるほどの改編があり「リスト編曲版」とも呼べる。
演奏はキアーラ・ベルトリオ。
即興曲 Op.90/3 (ト長調) 〔指導版〕 (シューベルト) S.565b/2
シューベルトの「即興曲 D.899/3」のリストによる校訂版。およそ1868年作。リストによるオッシアが別の選択肢として提供されている。リストはシューベルトの即興曲を全曲校訂しているが、この2曲のみ編曲といえるほどの改編があり「リスト編曲版」とも呼べる。このD.899/3は19世紀にはト長調で演奏されることが多く、このリスト校訂版もト長調になっている。
演奏はキアーラ・ベルトリオ。
即興曲 Op.90/3 (変ト長調) 〔指導版〕 (シューベルト) S.565b/2
レスリー・ハワードはこのリストの校訂版を修正して変ト長調で演奏している。
【関連作品】
ハンガリーの旋律 第2番 ハンガリー行進曲 〔ルッカ版〕 S.425/2ii
シューベルトの作品を基にした「ハンガリーの旋律 S.425」は第2番の「ハンガリー行進曲」のみ人気がでて、リストはこの第2番を数回、改訂を加えて出版した。この版もそのうちのひとつ。およそ1840年作。
ハンガリー行進曲 〔リショー版〕 S.425/2iii
シューベルトの「ハンガリー風ディヴェルティメント D.818」の編曲「ハンガリーの旋律 S.425」の第2番「ハンガリー行進曲」は当時人気があり、リストは何度も改訂し、出版している。これはリショー社により出版されたもの。およそ1840年作。この版は後にロシア国立音楽出版社により再版されている。オッシアのある部分は可能な限り多くオッシアを使用している。
ハンガリーの旋律 第2番 ハンガリー行進曲 〔ゾフィー・メンターのための稿〕 S.425/2iv
ゾフィー・メンターはリストの弟子を代表する女流ピアニスト。リストは彼女のために特別に自身の作品への追加パッセージや変更パッセージを書いてあげた。1879年作。メンターのために書いたパッセージの自筆譜は全てアメリカ議会図書館に所蔵されている。
ハンガリー行進曲 〔第3版〕 S.425/2v
シューベルトの「ハンガリー風ディヴェルティメント D.818」の編曲「ハンガリーの旋律 S.425」の第2番「ハンガリー行進曲」は当時人気があり、リストは何度も改訂し、出版している。この「第3版」は「ディアベッリ第1版」と「ディアベッリ第2版」を混ぜ合わせ、新たな序奏や間奏を追加したもの。1879年作。
ハンガリー行進曲 〔第3版・異稿〕 S.425/2vi
「ハンガリー行進曲」の第3版のオッシアを演奏したもの。1879年作。
ザウアーの即興曲 OP.90/3
リストの弟子エミール・フォン・ザウアーはリスト校訂版のシューベルトの「即興曲 Op.90/3」をト長調で演奏している。
カーゾンのさすらい人幻想曲
イギリスの名ピアニストであったクリフォード・カーゾンのデビュー録音はリスト編曲のさすらい人幻想曲だった。共演はヘンリー・ウッド指揮のクイーンズ・ホール管弦楽団。
● 楽譜紹介
新リスト全集の楽譜では今回ご紹介した楽曲は以下のものに収録されています

・ハンガリーの旋律 〔第1稿〕 (シューベルト) S.425
・ハンガリーの旋律 (ハンガリー風ディヴェルティメントより/2手のため) 〔簡易稿〕 (シューベルト) S.425bis
・行進曲集 (ピアノフォルテのための編曲) (シューベルト) S.426
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・ハンガリー行進曲 〔第3版〕 S.425/2v
それではみなさま良い一日を
