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決算シーズンを終えて:私のチャート分析プロセスの振り返り

「決算の中身は悪くなかったのに、どうして下がるんですか」。

7月の後半から、このご質問が続いています。
私も同じものを見ていました。

数字は出ています。
それなのに価格は逆を向きました。

こういう月は、振り返りのやり方そのものが試されます。

今回は決算シーズンの区切りで私が必ずやっている振り返りの手順を、そのままお見せします。

今日のゴール

・振り返りを「当たった・外れた」で採点するのをやめる理由がわかります

・判断を4つの工程に分けて採点する手順を持ち帰れます

・次のシーズンに向けて直す箇所を1つに絞る決め方がわかります

1. 振り返りは結果ではなく工程で採点する

結論:結果だけで採点すると、たまたま当たった雑な判断が生き残り、手順を守った負けが捨てられます。

ご相談のなかで私がよく見かけるのは、「この読みは当たった」「これは外した」の2列で終わっている振り返りです。

損益という言い訳のきかない数字が残るので、採点としては明快に見えます。

ただしこの方法には副作用があります。

当たった判断が、なぜ当たったのかを問われないまま合格になるという点です。

根拠が薄いまま入った取引がたまたま伸びれば「当たり」の列に入り、手順を守って想定した水準で撤退した取引は「外れ」の列に落ちます。

これを何カ月か続けると、手元に残るのは運のよかったやり方だけになります。

私が採点しているのは結果ではなく、判断に至るまでの工程です。
工程が守れていて負けたなら、それは想定内の損失として合格にします。

工程を飛ばして勝ったなら金額がプラスでも不合格にします。
この採点をしないと、相場付きが変わった瞬間に何も残りません。

2. 7月に何が起きていたのか

7月は「材料の良し悪し」と「価格の方向」が素直につながらなかった月でした。

まず事実を数字で確認します。
日経平均株価の終値は、7月1日が70,474.96円でした。

そこから7月15日に68,751.51円、7月16日に66,835.54円、7月17日に64,141.12円と続き、16日は前日比1,915.97円安、17日は同2,694.42円安になりました。

2営業日で4,600円以上を失った計算です。

ところが連休明けの7月21日は66,232.19円と、前週末比2,091.07円高の急反発になりました。

その後も戻りきらず、7月28日の終値は62,364.92円で、前日比2,566.27円安となっています(数値はいずれも日本経済新聞社公表の終値)。

7月1日と比べると8,110.04円、率にして11.5%の下落です。

7月28日は5月21日以来の安値でもありました。

報道で整理されていた背景は、前日の米半導体株の下落、韓国株の大幅安、中国国有企業が半導体製造装置(露光装置)の製造を始めたという報道でした。

そのうえで「主要企業がいずれも好決算を発表した後の下落」であり、新規上場や大型増資が相次いで需給も悪化していた、という整理が出ていました(株探マーケット日報・2026年7月28日)。

整理すると外部から降ってきた悪材料と、すでに高く織り込まれていた期待と、増資などで重くなっていた需給が同時に重なった局面です。

決算の中身が悪くなったから下げたわけではない、というところが今回のポイントになります。

なお、3月期企業の第1四半期決算はまだ全部が出ていません。

東証は第1四半期決算短信について「各四半期終了後45日以内に開示することを原則とします」としており、6月末が四半期末の会社の期限は8月14日です(JPX上場会社向けFAQ)。

これは決算シーズンの総括ではなく、7月ぶんがひと通り出そろった時点の中間レビューになります。

3. 私が採点する4つの工程

私は1カ月の判断を、シナリオ・水準・量・記録の4工程に分解して1つずつ採点しています。

この4つに落ち着いたのは、振り返りで詰まる原因がだいたい「そもそも書いていない」「数字にしていない」「量を決めていない」「残していない」のどれかだったからです。

手法の巧拙で切るのではなく、事前に決めてあったかどうかで切っています。

そこがこの分け方の特徴でだから崩れたのがどこだったのかが具体的に見えます。

工程1:シナリオを上下2方向で書いたか

決算前に「上に行く理由」と「下に行く理由」を両方書いたかどうかを見ます。

片方しか書いていない月は、分析ではなく期待をしていたことになります。

「好決算が出れば上がる」という一方向のシナリオしか用意していなければ、7月28日のような下げ方には対応のしようがありません。

上方向のシナリオを書いた時点で、それが崩れる条件も同時に書けているか。

ここが工程1の合否になります。

工程2:撤退する水準は、入る前に数字で書いてあったか

「なんとなく下げてきたら」ではなく、価格で置いてあるかを見ます。

移動平均線でも直近安値でも構いません。

大事なのは、入る前に数字で書いてあることです。

7月28日については、報道でも75日移動平均線を割ったという整理が出ていました。

こういう水準を事前に置いていれば、その日の判断は「決める」ではなく「照合する」で済みます。

置いていなければ、下げている最中に基準を作ることになります。

工程3:跨ぐ量は、跨ぐ前に決まっていたか

決算をポジションを持ったまま迎えるかどうかは、当日の気分ではなく事前のルールで決まっているべきものです。

ここで私が見るのは、跨いだかどうかではなく跨ぐ量を跨ぐ前に決めていたかです。

決算のように価格が一気に飛ぶ場面では、途中で判断を挟む余地がありません。

寄り付きの時点で結果はほぼ決まっているので、そこで損益の幅を決めているのは判断の精度ではなく建玉の量のほうです。

7月のように2営業日で4,600円動く場面では、この差がそのまま口座の残高差になります。

工程4:記録がなければ、そもそも採点できない

最後は記録です。

見るのは、何時に、何を見て、どう判断したのかという3点になります。

そのとき自分がどう感じていたかまで残っていれば理想的です。

記録が残っていない月は、そもそもレビューができません。

思い出せる範囲で振り返ると、人は都合よく編集します。

私はここに生成AIを使うことがあります。

書き溜めた判断メモを読ませて「同じ言い回しで迷っている箇所を抜き出して」と頼むと、自分では気づけない癖が返ってきます。

判断そのものを任せるのではなく、記録を読み返す作業を手伝ってもらうという使い方です。

4. 「好決算なのに下がる」をプロセスでどう扱うか

7月の相場で改めてはっきりしたのは、決算内容と株価の方向が同じレイヤーにないということです。

決算は「事実」のレイヤーにあります。

株価は「その事実がどこまで先に織り込まれていたか」と「そのとき誰が売買できる状態だったか」のレイヤーで動きます。

振り返りでも、この2つは分けて採点します。

1つは内容の読みで、決算の数字や事業の方向についての読みが合っていたかどうか。

もう1つは反応の読みで、その内容に市場がどう反応するかの読みが合っていたかどうかです。

内容は合っていたのに反応を外した、という結果は珍しくありません。

この2つをまとめて「外した」と書いてしまうと、次に直すべき場所が分からなくなります。

内容の読みが外れているならリサーチの手順を直します。

反応の読みが外れているなら、織り込みと需給の見方のほうを直します。

5. 次のシーズンに向けて直すのは1つだけ

レビューをすると、たいてい3つも4つも直したいところが出てきます。

それでも私は毎回1つに絞っています。
同時に変えると検証ができないからです。

シナリオの書き方と撤退水準の置き方と建玉の量を一度に変えて次のシーズンの成績が良くなっても、何が効いたのかは分かりません。

だから直すのは1工程だけにして、次のシーズンはその1点だけを見ます。

地味ですが、この積み方でしか手順は固まっていきません。

6. 「あなたの場合」への橋渡し

ここまでが振り返りの型の一般論です。

4工程の枠は誰が使っても同じですが、中に入る数値は自分の時間軸と手法で変わります。

撤退水準を移動平均で置くのか直近安値で置くのか値幅で置くのか。
イベントを跨ぐ量を口座に対して何%までにするのか。
記録をどこまで書くか(書きすぎる設計にすると、記録そのものが続かなくなります)。
レビューをシーズンごとに回すのか、月ごとに回すのか。

このあたりは保有期間や許容できる下落幅で変わるので、他人の数値をそのまま持ってきても機能しません。

枠は今回お持ち帰りいただけたはずなので、そのうえで中身を自分用に詰めるのが次の一段になります。

まとめ

・振り返りは結果ではなく、判断の工程で採点します

・好決算が出ていても価格が下がる局面では、結果ベースの採点はほとんど運の採点になります

・採点する工程は、①シナリオを上下2方向で書いたか ②崩れる水準を数字で先に置いたか ③イベントを跨ぐ量を事前に決めたか ④判断の記録が残っているか の4つです

・直すのは毎回1工程だけにします

決算シーズンは、当たり外れがいちばん目立つ時期です。

だからこそ、この時期の振り返りを結果で終わらせるかどうかで、その後の数カ月の精度が変わってきます。

最後に

工程に分けて採点する枠そのものは、どんな相場でも使い回せます。

一方で、撤退水準の置き方やイベントを跨ぐ量の決め方は、時間軸と手法によって具体的な数値がまったく変わります。

そこで、この振り返り方を自分の手法に合わせて組み立てられるようにしたい方に向けて、チャート分析の手順化とレビューの設計を体系的に学ぶ案内をLINEで送っています。

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※本記事は情報提供・教育目的であり、特定の金融商品の売買推奨や、利益・元本の保証ではありません。

掲載の株価・統計値は執筆時点(2026年7月29日)の公表値に基づきます。

投資判断はご自身の状況に応じて行ってください。

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