AIのちょっとズレた日常 (第10部 前編)その1|全10話39
AI、片づけを歴史編纂にしてしまう
机の上を片づけていた。
紙がある。
メモがある。
古い封筒がある。
何かの控えがある。
捨てるつもりでAIに見せた。
「これ、分類するとしたら?」
AIは答えた。
「個人史の断片です」
また大げさなことを言う。
と思ったが、少し黙った。
たしかに、そこには用事があった。
誰かと連絡した跡があった。
何かを考えた形が残っていた。
紙は邪魔だ。
でも、全部ゴミとも言い切れない。
AIは続けた。
「保存価値は目的によります」
それは本当にそうだ。
歴史とは、残ったものではなく、残すと決めたものでもある。
片づけのはずが、急に編集会議になった。
机の上は、まだ片づいていない。
